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  • 田村陽太

【第111回】ウィズコロナでの企業の海外進出は海外駐在員or現地ローカル社員どっちに任せる?(ローカル社員考察編②)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「ウィズコロナでの企業の海外進出は海外駐在員or現地ローカル社員どっちに任せる?(ローカル社員考察編②)」についてお話していきたいと思います。



前回は、ローカル社員に海外事業を任せた際のメリットについてご説明しました。今回はその続きでローカル社員に任せた際に直面する課題を中心にお伝えしたいと思います。



【ローカル社員に海外事業を任せた場合の課題】

⑪秘密情報の漏洩や商標・特許等の製品サービスに関わる情報管理が難しい

⑫海外の業務進捗が出張ベースでないと掴めない可能性がある事

⑬急なトラブル時の対応方法と責任範囲の明確化をどうすべきか



の大きく3つが考えられるかと思います。



⑪については、現地ローカル社員に業務の権限を委譲していく事で、どの範囲までの情報をローカル社員に共有するか、取引先や販売先までどの情報を共有するかの線引きやコントロールが難しくなることが挙げられます。



事前に情報管理規程を作成し現地法人内の事業所で共有したり、重要情報に関する取扱いに関わる誓約書等をローカル社員一人一人と個別に取り交わしたり等の対応が必要となりますが、距離的・時差的な所から完全に情報管理するのは難しい事となります。



対策としては綿密な現地法人とのオンライン会議等の実施や、定期的な日本本社の海外事業社員の出張機会を作る(現地法人の管理体制にプレッシャーをかける意味でも、特定の社員だけでなくローテーションで出張に行くのがふさわしいと考えます)等の日本本社側の通常の実務的な対応で対処する事も必要だと考えられます。



一方で、海外事業に関しては重要情報が漏洩したり、模倣品が作られたり等、完璧までに情報管理ができない事を前提にして、日本本社で扱っている製品・サービスよりも安価かつ質的にやや劣っている製品を別途開発して、海外事業用のモデルを販売して事業活動を進めるというのも一つの選択肢です。



⑫については、⑪とも関連しますが、いかにオンライン会議で海外現地法人の状況を把握できたとしても、全ての情報が詳らかにされて日本本社に届くわけではない事は心しておかなければなりません。人間誰でも都合良い事は話したがりますが、都合悪い事や聞かれていない事は話さないですよね。海外でも一緒のことです。



「従業員の成果が出ているかどうか」で進捗管理していくのが、海外ローカル社員のマネジメントでは重要ですが、あまりに任せすぎてしまうと海外現地法人の仕事の仕方も疎かになりがちになるので、一定の緊張感やプレッシャーが日本本社から来ている体制を作る事はとても重要です。



対策としては、日本本社からの出張者には通常の商談フォローだけでなく、チェックリストを使って海外現地法人の巡視やチェックを行う業務等も含めて行ってもらうのが重要です。そうする事で現地ローカル社員が万が一の不正を行わない為の抑止力になると考えます。



⑬に関してですが、原則的な事をお伝えすると、基本的には海外の現地法人で雇用した従業員の責任は海外現地法人でとります。海外現地法人をローカル社員で運営していくという事は、現地法人の雇用主を別途ローカル人で配置して、そのローカルの雇用主がローカル社員を雇用しマネジメントしていくという事に大枠ではなっていきます。



仮に何か現地顧客とのクレームが生じた際でも、日本本社として業務上の落ち度がなく、海外現地法人の通常のオペレーションで生じたものに関しては、現地法人で責任をとることになります。



ただ、例えば今回のような場合で問題となるケースとして、現地法人のローカル社員の更なる知識の向上の為に日本に研修に来てもらったり、雇用主を経営会議に参加させるために来日させたりしたときには、日本に来日した際に得た情報で以て海外顧客に誤って伝えた事をきっかけにクレームになった場合はどうするかの問題も起こりうる可能性があります。



これらの対策としては、海外現地法人と日本本社との間の責任範囲を明確にした契約書の締結を行う事はもちろん、海外現地法人との間のやり取りで発生したコミュニケーションを必ずメール等の書面で残しておく事が重要です。



上記の例でいえば、

・日本に研修に来たローカル社員にはどこまでの内容を研修したのか?

・ローカル社員の研修中の理解度はどうだったのか?

・最終的にローカル社員に習熟度試験を受けさせてみたらどんな評価だったのか?

・研修を受けてみてローカル社員はどういう感想をもったのか?



等の報告書を細かく作り、最終的にはローカル社員の確認の署名をもらう等の対策が必要かと思います。



本日は「コロナ禍において企業の海外進出は海外駐在員配置or現地ローカル社員に任せる?ローカル社員考察編②」についてお話しました。次回は(まとめ編)をお話したいと思います。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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