こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は「外国人社員を雇用する上で注意すべき事(在留カード編)」についてお話していきたいと思います。
新型コロナウイルスの蔓延により日本への入国が制限されていた外国人も次第に戻りつつある中で、海外から外国人社員を雇用したい日本企業、今後留学生が再度日本へ入国されるようになってきたら、だんだんと外国人社員を雇用したいという会社の声を聞くようになりました。
今回は外国人雇用を行う上で抑えておくべき在留カードのチェック方法に関して重点的に説明していきたいと思います。
日本に滞在する外国人は出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、日本に滞在する理由兼根拠となる在留資格の範囲内でもって就労活動が認められています。この在留資格には、
① 就労範囲の制限がなく就労することが出来るもの
② 就労範囲の制限有で就労することが出来るもの
③ 許可申請に基づき就労が可能になるもの
④ 滞在中は許可申請関係なく全く就労が出来ないもの
等、就労可能かどうかの要件の違いで、大きく4つに分けられています。
①に関しての代表例は、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」となります。これらの資格は、就労してはいけない職業は原則無く、日本国籍の方と同様に自由に職業に就く事が出来ます。
②に関しての代表例は、「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」等があります。あらかじめ在留資格認定の申請をする際に、雇用される会社ではどのような業務に就くのか、その職業に就くのにふさわしい能力・資格が外国人に備わっているか、日本国籍の社員では対応できない程の専門業務を任せるのかどうか等を厳しく審査され、認定されれば申請に基づいた業務にのみ就労することが出来ます。
③に関しての代表例は、「留学」「家族滞在」、外国人社員の扶養を受けて日本に来日する「短期滞在」等のビザです。資格外活動許可を別途入管庁に申請することで週28時間以内、夏季休暇、冬季休暇等の一定の条件の下、週40時間以内で勤務が許されています。ただし風俗営業の仕事には就けない事となります。
④に関しての代表例は、「文化活動」、その他「特定活動」資格で来日する方です。来日中の就労は原則一切制限されています。
この中で、週40時間まで勤務することが出来る在留資格は、
①と②となります。
また、基本的に就労範囲に制限がなく働く事が出来る在留資格は、
①と③となります。
①の場合、日本人と同様にフルタイムで雇用する事が出来るので、長期雇用の正社員を雇用することに向いています。ただ①の在留資格で来られている方は、おおむねハローワークや職業紹介等の求人募集サイトは使わず、配偶者や来日している親戚のコネクションを使った就職である「自己開拓」が多いため、外国人雇用をする上で求職者にリーチしにくいというデメリットがあります。
②については、各在留資格の要件に合えば日本人と同様にフルタイムで雇用する事が出来るので、長期雇用の正社員を雇用することに向いていますが。働ける職種がある程度決まっているので、自社の既存社員では育成できない業務を外国人社員に任せたい会社や、採用する外国人社員の能力が入社後想定よりも見合わなかった場合にも「社内風土がグローバル化にするために外国人雇用が必要だ」と人件費を支払う事はある種勉強だと思える会社には有効な在留資格だと個人的に考えます。
③については、原則1週間に28時間以内までしか働かせることが出来ないですが、風営法に違反しない限り就く職種に制限がないので、比較的外国人社員の能力や得意分野に応じて入社後でもフレキシブルに就労させることが出来るというメリットがあります。
最後に上記を踏まえての外国人社員を雇用する上でのアドバイスですが、
・必ず在留カード記載の「在留資格」「就労制限の有無」はチェックしましょう!
・就労制限の有無に「就労不可」と書かれていた場合も裏面に資格外活動許可が付記されているかを確認しましょう!
という事が大事です。といいますのも、在留資格のルールに則らず働くことが認められていない外国人を雇用した会社は、「不法就労助長罪」として故意過失関係なく3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科が科される可能性がありますのでご注意ください。
もう一つの注意点としては、外国人社員の雇い入れ、離職の際には氏名や在留資格、在留カードの番号等のハローワークへの届け出が必要となる事です。雇用保険に加入する外国人に関しては資格取得届の提出の際に同時に届け出られますが、労災保険のみの留学生の際には、外国人雇用状況届出書を忘れずにハローワークに提出するようにしましょう。
本日は「外国人社員を雇用する上で注意すべき事(在留カード編)」についてお話させていただきました。弊所でも外国人雇用等の相談をいつでも受け付けておりますので、弊所にお気軽にお問い合わせください。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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