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  • 執筆者の写真田村陽太

【第116回】外国人社員が働きやすい柔軟な勤務制度とは?(後編)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「外国人社員が働きやすい柔軟な勤務制度とは?(後編)」についてお話していきたいと思います。



前回は外国人社員が日本企業に求めるポイントの①定時には仕事を完全に終えたい②有給休暇は完全消化したい、の2つについて詳しくお話させていただきました。今回は残りの③多少の敬語のミスには寛容になってほしい、④コミュニケーション方法の違いを理解してほしい、の2つをお話ししたく思います。



③ 多少の敬語のミスには寛容になってほしい



外国人社員が日本企業で働く際にネックとなるのが、「正しい日本語を使う事が難しい」という事が挙げられます。日本人は学校教育で英語を勉強しますが、実用的に英語を使える方の比率は諸外国に比べて低いというデータも出ています。(参考:EF JAPAN 第2021版 世界最大の英語能力指数 ランキング)



そのため、英語を企業内で使える日本人社員が少ない事の理由もあってか、自ずと社内の共通語は日本語となり、日本企業で働く外国人社員も日本語を使用する事を半ば強制される傾向にあります。



外国人社員にとって、話す事は言葉以外にボディランゲージで相手に伝えられる部分もあり、まだ大丈夫であるという意見がある一方、書き言葉、つまりメールや文書の作成となると苦手意識を持つ方が非常に多いです。



理由としては日本語のひらがな、カタカナ、漢字等の覚える文字や熟語数が多いことももちろんですが、日本語独特の婉曲的な言い回しや敬語の表現に苦労する外国人社員が多いというのもあります。



最近では働き方改革、コロナ禍の影響で、社内でのコミュニケーションも電話や対面でのやり取りではなく、メールやチャット等の文章でのやり取りをすることが増えてきている事もあり、外国人社員が働く上で苦労することがさらに増えたという話もよく聞きます。



そのような背景もあり、時には日本人であれば当然知るべき敬語や言い回しの知識が抜け落ちた状態で外国人社員からメールが送られてきて、苛立ってしまう日本人の社員の方がいらっしゃるのは理解できます。ただそこは一度心で立ち止まって、「外国人社員がわざわざ日本語を覚えて働いてくれているのだ」と大らかな気持ちで外国人社員と接することが非常に重要です。



日本語は日本で働く上では重宝されますが、一歩海外に出ればビジネスの共通語は英語やスペイン語で、日本語は世界的にマイナーな言語にあたります。「日本で働くのだから日本語を覚えるのは当然だ」と考えるのではなく、「今は外国人社員が日本人社員に歩み寄ってくれているのだ」と考えることが大事です。もしかしたら事業の必要に駆られて、社内の共通語が英語等の海外の言語になる事は可能性として十分あるのですから。



④ コミュニケーション方法の違いを理解してほしい



こちらも③と共通の所もありますが、日本人は婉曲的な表現を好む等、言葉や文章に乗っていない表現で相手とコミュニケーションをとる「ハイコンテクスト文化」が主流です。一方で海外の国では、明確に伝えたい事は表現し、かつ言い回しも直接的に相手に表現する「ローコンテクスト文化」が主流です。



日本人同士でのビジネスのやり取りでは、相手の気持ちを敬う事を優先とする風土からか、話し言葉、書き言葉どちらとも、まずは相手の話に共感することから始まり、その後最終的に相手に主張したい内容や行動を促したい内容を話すという傾向にあります。



ただ海外、特に欧米の文化ではまず相手に主張したい事や行動してほしい事等の、「自身の主張」を伝え、その後主張の背景や根拠を伝えるという順序で話す傾向にあります。



そのような背景もあり、日本人社員が外国人社員とコミュニケーションを取ると、「主張ばかりしてくるやつだな。」や「人の話をきいていないやつだな。」と外国人社員に悪い印象を持つ方も中にはいらっしゃるかと思います。ただそれは相手に対して間違った伝わり方がしないよう明確な表現をしようとしているからこそであると、外国人社員の暮らしてきた文化の背景を理解することが重要です。



外国人社員が完璧に日本語をマスターできたとしても、日本人特有の言い回し方までマスター出来ている方はそう多くはありません。(例えば、私たち日本人が英語をマスターしても、相手とコミュニケーションする際に言い回し方が日本人のようになってしまう事はありますよね。それと同じことです。)



日本語だけでなく、日本人の表現方法まで勉強しなければならない外国人社員に一種の尊敬の気持ちを持ち、多少礼儀が出来ていなくても相手を思いやってコミュニケーションを取ることが、今後日本企業が外国人社員を雇用しコミュニケーションを取っていく上では、非常に重要です。



本日は「外国人社員が働きやすい柔軟な勤務制度とは?(後編)」についてお話しました。もちろん今までお話しした①~④の内容を会社の取り組みとして周知し、会社全体で外国人社員とのより良い対応を日本人社員に義務化して根付かせていくという方法も考えられます。



しかし、まずは日ごろ外国人社員と接する直属の上司や同僚等の個人的な取り組みで、そのようなマインドや思いやりを持って働く事から始めることが、各日本人社員が外国人社員とうまく連携して働いていこうと当事者意識を持っていく上で非常に重要かと思います。



弊所でも外国人社員の雇用や定着の為のポイント、海外事業部の運営・マネジメント方法等についてサポートしておりますので、ご用命があればいつでもご相談ください。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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