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【第120回】育児介護休業法改正と外国人社員支援について(前編)

執筆者の写真: 田村陽太田村陽太



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は2022年4月から順次労働法関連の法改正項目として注目されている「育児介護休業法改正と外国人社員支援について(前編)」をお話ししたいと思います。



今回のニュースでは、今年の育児介護休業法が改正された背景や改正での具体的な内容を中心にお話ししていきたいと思います。



厚生労働省から発表されている「令和2年度雇用均等基本調査」を見ると、女性社員の育休取得率は約8割になっているのにも関わらず、男性社員は1割強程度という事もあり、男性社員が家庭の育児に参加している母数がまだまだ少ないという現状があります。



出産や授乳等女性にしか携われない事も多々ありますが、役所関連の手続きや、生活上の必要な家事(料理、清掃、ごみ捨て、洗濯)等、男性が積極的に参加できる分野も沢山あります。今後男女共働きの家庭が増えてくる中で、男女ともに生活とプライベートが円滑に両立できるように、「育児」は女性のものだけではなく、当たり前の価値観として男性が参画できるような世の中を作っていく必要があると思います。



今年の育児介護休業法の改正は、4月と10月の2段階で法律が改正されていきます。



(2022年4月から)

① 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

② 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

③ 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和



(2022年10月から)

④ 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

⑤ 育児休業を2回まで分割取得



が主な法改正項目となります。4月からの改正内容としては、まず①では、今度妊娠や出産等を控えている生活と家庭の両立が難しくなっていく未来の労働者に向けて、(1) 研修の実施、(2)相談窓口の設置(3) 育休取得事例の収集・提供(4) 育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知のいずれか一つを企業は行う必要があります。



今までは育休制度について労働者が詳しく知るタイミングは、その当事者(妊娠された女性労働者やその配偶者)が育休を取得したいと申し出た時しかほとんどありませんでした。若い世代の中には、男性社員でも育休を取得したいという方が増えてきている事もあり、法律や制度として「育児介護休業」についての情報収集を行い、早めのうちから育休について興味を持ってもらうためにも①の制度を義務化した意味合いがあると思います。



また②に関しては、妊娠や出産の申し出をした女性・男性労働者に対して育休を取得するかしないかを必ず企業は個別に確認しなければならないという義務が課されました。



今までは育児休業を取得するとなると、今までやっていた業務の引継ぎをしなければならない等、職場の部署や係のメンバーに迷惑をかけてしまうという気持ちが働き、本来法律で認められている育休の取得自体を、従業員が会社に対して申し出ることが出来ないというのが育休取得率向上を阻害する一つの課題となっていました。



また男性は実際に出産を経験する事はなく勤務上体調不良になる等の影響がない事から、「本当に育休を取得する必要があるのか?」と職場の上司や同僚から「育休」についての理解をあまり得られなかった事も、育休取得が進まなかった一つの原因ともいわれています。



そのような問題点を解決するべく、会社側から育休取得を行うかの気持ちを確認する事で、従業員は自分から上司に育休取得の件を言い出す必要もなく、部署や人事部からの質問に対して「Yes/No」と簡単に答えられれば、育休が取得でき、育休取得率向上に貢献できるだろうという思いで制度設計されたのかと思います。



③については、契約社員として働く社員の育児休業を取得する要件が、お子様が「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」というルールだけに変更されました。言い換えると、お子様が1歳になるまでの育児休業を取得した後、6か月経過するうちに退職しない事が要件となりました。



会社の中に正社員やパート、契約社員等様々な種別の社員がいる中で、非正規社員と呼ばれる契約社員でも進んで育休を取得する事が出来るような風土作りに今回の法改正は貢献しているかと思います。



本日は「育児介護休業法改正と外国人社員支援について(前編)」についてお話しました。

次回は10月からの育児介護休業法改正を中心に中編をお話ししていきたいと思います。






執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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インターネットラジオ・ポッドキャスト番組「企業と従業員の働き方を考える 『社労士ラジオ  サニーデーフライデー』」のリンクはこちらです。




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