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  • 田村陽太

【第125回】M&Aをする際にチェックすべき労務管理のポイント(買い手編、前編)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「M&Aをする際にチェックすべき労務管理のポイント(買い手編、前編)」についてお話します。



第123回、124回で、M&Aをする際に自社の事業を他社に譲り渡す側である「売り手側」の労務管理で重要な点についてお話しました。今回は企業を買収する側「買い手側」についてのお話をしていきたいと思います。




【M&Aで重要な労務管理でのポイント(買い手側)】


① 買収後に未払い残業代等のコストが発生しないように買収前に労務DDを行う

② 買収後の従業員の人事配置をどうするかについて構想しておく

③ 新しい従業員への社内教育は重点的に行う

 


主に以上の3点が重要となります。



① 買収後に未払い残業代等のコストが発生しないように買収前に労務DDを行う



前回、前々回のニュースで、売り手側の視点で社会保険の未加入がないかや未払い残業代が発生しないように注意すべきである等のお話をしました。ただ、これはあくまで理想のお話で、あらゆる経営に関する事項で「人事・労務」の分野において100%ミスなくしっかりと対処出来ている企業は多くありません。



ですので、買収後に現従業員や元従業員から残業代を請求されたり、社会保険の遡及加入の請求をされたり、買収金額以外の追加のコストが発生する可能性は大いにあります。



ですので、必ず買収時の契約締結前までには、労務DD(デューデリジェンス)を実施するようにしましょう。また出来れば、通常顧問契約をしている社会保険労務士事務所とは別の社労士事務所にDD業務を委託することを推奨します。



というのも、人事労務のアドバイスを行う社労士が変われば注意する観点も違う為です。労働時間管理の分野に強い社労士もいれば、高齢者雇用や、配置転換、解雇案件等に強い社労士事務所等、色々な事務所があります。



出来れば労務DD業務を委託する(スポットで依頼する)場合は大手の従業員数が多い社労士事務所に依頼すると、監査の目が行き届き良いかと思います。



話が脱線しますが、社労士事務所を選ぶときに、少人数の社労士事務所を選ぶか、大手の社労士事務所を選ぶかで迷われる企業様は多いのではないでしょうか。私が思うにどちらの事務所も一長一短メリットとデメリットがあります。



またこの話もどこかのタイミングで、本ニュースでお話できれば嬉しいです。



また本労務DDを委託する前に、社会保険労務士会で行っている社労士診断認証制度が実施されているかを確認するのも一つかと思います。社労士診断認証制度とは、労働社会保険諸法令の遵守や職場環境の改善に積極的に取り組み、企業経営の健全化を進める企業を社労士が診断・認証する事業の事を言います。(全国社会保険労務士連合会 社労士診断認証制度ページ抜粋)



具体的には、「経営労務診断基準」に記載された複数の労務管理事項のチェックシートを利用しながら、各労働法違反が無いかを社労士と一緒に点検していくような内容となります。



本格的な労務DDを外部社労士事務所に委託する前に、売り手側の企業に本診断認証制度を利用しているかを確認し、まだ実施していないようであれば顧問の社労士事務所と一緒に診断をやってもらうのが、スムーズな労務DDを行う前の重要な指標となるかと思います。



また本診断制度を売り手側に受講させている事のメリットの一つとして、労務DDで把握できなかった隠れた売り手側の労務管理上の過失について、買い手側は本診断制度の結果を用いて損害賠償請求できる可能性があるという事です。



というのも、上記で説明しました通り、労務DDを委託する際はスポットで社労士事務所に依頼するパターンが多いため、あらかじめ委託内容も明確にし、業務範囲も顧問契約と比較して、狭めて委託するパターンが多いです。



よって、DDの診断内容では把握できなかった隠れた売り手側の人事労務管理上の損失が万が一発覚し、買収後買い手が追加の残業代支払い等の損害を被る可能性もあります。



買い手側が万が一の損害賠償請求を考える際に、労務DD受託者の社労士事務所のみでなく、経営労務診断対応をした社労士事務所にもクレーム出来る可能性を持たせることが、買収時のリスクヘッジとなるので、個人的には推奨します。



本日は「M&Aをする際にチェックすべき労務管理のポイント(買い手編、前編)」についてお話しました。次回は後編をお話ししたいと思います。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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