こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『副業社員を会社で雇用する際のポイント⑤』についてお話していきたいと思います。
前回のおさらいですが、会社で副業制度を導入する上での注意すべき点としては大きく5つあると私個人的には考えております。
➀副業制度を導入する目的や定義づけをしっかり行う
②副業が出来る対象者や副業の内容を精査する
③運用書類や就業規則等の帳簿書類の準備を行う
④万が一の労務トラブルの際の懲罰、人事処分のプロセスを明確化する
⑤副業先への連絡等対象従業員へ綿密な説明を行う
今回は『②副業が出来る対象者や副業の内容を精査する』についてからお話していきたいと思います。
会社で副業を許可する際に入社年数や今までの社会人経験年数を考慮する事も重要です。例えば、新卒採用をしてすぐの方も副業対象者とすると、対象従業員の本業での業務習得の計画が思うようにいかず、組織の運営が上手く機能しない事に繋がる可能性もあります。
副業を認める事で、副業先が雇用系の業務の場合は、本業以外の副業での労働時間も考慮しなければならなくなります。そのため本業での労働時間や残業時間にも一定の制約をかける必要が出てくるため、繁忙期や部署の職種柄スキルアップも兼ねて一定程度残業をしてもらいたい時にでも、対象従業員に残業をしてもらう事が難しい状況に繋がる事もあります。
また中途採用の方に関しての副業は、入社後何年にするかも社内で規定しておいた方が個人的には良いと思います。中途採用の方は一定程度社会人経験もある事から仕事の進め方や段取りについてはうまく対応できるかと思いますが、周りの従業員とのコミュニケーションを円滑に行っていく為には一定程度年数も要する為、新卒採用してすぐの入社の方と同様、副業許可に一定の年数を必要とするルールにする事も大事です。
また許可の対象とする副業の内容も社内でしっかりと精査する必要があります。前回のニュースでもお伝えしました通り、
・雇用・非雇用(業務委託等)等の副業の勤務形態をどうするか
・本業と同業種、あるいは異業種での副業は可能かどうか
について考える必要があります。その理由としては、副業を許可した事によって退職等の人材流出に繋がる可能性もある為です。
雇用系の業務に関しては、「副業」という本業での拘束時間の制約がある為、業務の難易度は比較的低くなり、本業の収入の補填という意味合いで働く方も多くなる傾向にあります。一方、非雇用(業務委託等)系に関しては、時間関係なく業務を遂行するという性質上、本人の能力が高ければ高い程、副業の業務の難易度は高くなる傾向にあります。
つまり、副業での仕事がうまく行けば行く程自身のスキルがつき、今の本業を辞めて副業先に就職したり、自身で独立開業したりする可能性も出てきます。また非雇用(業務委託等)系の業務は時間関係なく業務量によって報酬をもらえるスタイルである事から、現在の雇用での本業の給与体系とは全く異なる事が多いです。
副業先での仕事がうまくいけば行く程、昇進や昇格等の余程の事が無い限り、収入が変わらない本業での業務に嫌気がさし対象従業員が本業を退職してしまう可能性もあります。
また、本業と同業種を許可するか、異業種までを副業として許可するかも社内で考える必要があります。これは先述した、同業種での副業を許可する事によって、競合他社への就職等で本業での人材流出に繋がってしまう事もリスクとして考える必要があります。
また人材流出の観点だけでなく、個人情報漏洩防止の観点でも考える必要があると個人的には思います。副業を許可する事で、対象従業員の自社以外の会社との接点も増えます。本業で所持していた電子データや紙媒体のデータを他社の社員に盗み見られる可能性もありますし、副業先の社員とのコミュニケーションを行う上で、うっかり本業の会社の秘密情報を漏洩してしまう可能性も出てきます。
副業を許可する際に対象従業員と個人情報漏洩に関する誓約書等を取り交わし、従業員への抑止を行う事も大事ですが、情報が漏洩してしまってはすでに遅いです。ですので、そもそも副業の対象業務として何を規定するかを社内でよく話し合って決定するのが重要だと個人的には思います。
本日は『副業社員を会社で雇用する際のポイント⑤』についてお話させて頂きました。
次回からも続編で、副業を会社で導入する際の会社の注意点についてお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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