こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『副業社員を会社で雇用する際のポイント⑥』についてお話していきたいと思います。
前回のおさらいですが、会社で副業制度を導入する上での注意すべき点としては大きく5つあると私個人的には考えております。
➀副業制度を導入する目的や定義づけをしっかり行う
②副業が出来る対象者や副業の内容を精査する
③運用書類や就業規則等の帳簿書類の準備を行う
④万が一の労務トラブルの際の懲罰、人事処分のプロセスを明確化する
⑤副業先への連絡等対象従業員へ綿密な説明を行う
今回は『③運用書類や就業規則等の帳簿書類の準備を行う』についてからお話していきたいと思います。
副業の目的や副業の対象者等を決定し、副業制度の運営の方向性が決まったら、その制度を規定に落とし込むプロセスとなります。規定に落とし込む観点としては、
・会社全体で周知するもの
・従業員個人と取り交わしを行うもの
の2つの観点で整備していく必要があります。
まず『会社全体で周知するもの』としてメインとなるものには、就業規則があります。就業規則は会社によってどのような規定を準備しているかはまちまちですが、就業規則のメインとなる『本則』部分に副業規程の項目を追加するパターンと、『副業規程』として副業制度を別枠で規定し、作成するパターンがあるかと思います。
個人的には『副業規程』を別枠で作成するのが良いかと思います。理由としては、副業制度は労働基準法等の各種労働法との兼ね合いよりも「社内でどのような方向性で副業を認めていくか」等の社内で決定する事項に規程の内容が左右されるからです。
実際に副業制度を運営してみて、副業規程の一定の項目を修正したり、削除したり等の工数が発生するので、既にある規定に副業制度の項目を追加するのではなく、『副業規程』として別枠で作成する方が、利便性が高くなり、社内での運用がしやすくなると個人的には思います。
また就業規則に盛り込む内容としては、
・副業の定義
・副業の対象者
・副業の申請手続き
・副業の許可期間
・副業の禁止・制限事項について
・副業に関する誓約について
・副業に関する会社の承認と対象従業員への通知
・副業時の定期的な報告について
等を盛り込むのが重要かと思います。社内で運用する際に懸念点となる部分や、社内での副業許可に関する運営が比較的円滑に進むよう、実際の対象従業員の申請フローを社内で考えながら就業規則に落とし込んでいく事が重要です。
『従業員個人と取り交わしを行うもの』としては、
・副業許可申請書
・副業時誓約書
・副業実施報告書
等の取り交わしが個人的には重要になると思います。副業許可申請書は先述した就業規則の内容に則って、対象従業員から副業の利用申請をするというものとなります。先述した副業規程で対象従業員が遵守すべき内容は周知しているものの、対象となる従業員が利用申請するにあたって、就業規則のルールを遵守している事を正式に宣誓してもらう為に利用申請書を準備するのが重要かと個人的には思います。
副業時誓約書に関しては、副業規程内で記載されている注意事項や禁止事項を再度従業員に誓約させ、違反した場合の罰則についてをしっかりと認知・承知の上で副業許可申請をしてもらう事を証明するために必要かと個人的には思います。代表的な記載事項としては、
・個人情報漏洩について
・本業での職務専念義務について
・定期的な副業実施報告等の書類提出について
等を規定するパターンが多いです。万が一注意事項や禁止事項に違反して副業を行った場合に備えて、事前に損害賠償請求額の上限を定めた誓約書や、対象従業員が損害賠償額を弁済出来ない場合に代位弁済してもらう上で保証人との身元保証書等の取り交わしは必要であると個人的には思います。
本日は『副業社員を会社で雇用する際のポイント⑥』についてお話させて頂きました。
次回からも続編で、副業を会社で導入する際の会社の注意点についてお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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