こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『副業社員を会社で雇用する際のポイント➆』についてお話していきたいと思います。
前回のおさらいですが、会社で副業制度を導入する上での注意すべき点としては大きく5つあると私個人的には考えております。
➀副業制度を導入する目的や定義づけをしっかり行う
②副業が出来る対象者や副業の内容を精査する
③運用書類や就業規則等の帳簿書類の準備を行う
④万が一の労務トラブルの際の懲罰、人事処分のプロセスを明確化する
⑤副業先への連絡等対象従業員へ綿密な説明を行う
今回は『④万が一の労務トラブルの際の懲罰、人事処分のプロセスを明確化する』についてからお話していきたいと思います。
前回のニュースで、就業規則を規定する上で副業の禁止・制限事項に関して記載する事の重要性をお伝えしました。具体例として副業対象者から以下に該当する事実が発覚した時に対象労働者の副業を禁止/制限する事を規定するパターンが多いかと思います。
・労務提供上の支障がある場合
・企業秘密が漏洩する場合
・会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
・競業により、企業の利益を害する場合
・会社がその裁量により不相当と認めた場合
また上述した事柄を故意に引き起こした場合、また過失といえどもそれが何回も繰り返し行われている悪質なものである場合は、自社の就業規則のルールに基づいて懲戒処分を行うという手続きも必要となってきます。
例えば、
戒告(口頭での注意)
譴責(書面提出を基にした注意)
減給
出勤停止
降格
諭旨解雇(勧告に従い退職届が提出された場合は退職扱いとし、提出されない場合は懲戒解雇とする)
懲戒解雇
の各処分のルールを厳密に社内で決め、副業を行う事で発生した会社への実損害や影響等に準じて各処分のどれに相当するかをあてはめ、副業に関する懲戒処分を定義づけるのが良いかと思います。
通常、副業というのは対象労働者に本業以外に違う業務を行う事を許可するものなので、通常予見できる程度の企業秘密漏洩や競業の事実が発覚した場合でも、それを行った対象従業員を厳しく懲罰する事は非常に難しい場合があります。
そのため、副業を許可した結果起こった事実の大きさに基づいて懲罰の処分の程度を決めるのではなく、会社から対象従業員への事前説明を行う上での本人の理解度、問題が発覚した際の指導回数、注意を促した際の反省の度合等、「副業対象」が適切に社内のルールを遵守し、副業を遂行しているか」に絞って、処分の程度を決定するのが良いかと思います。
次に『⑤副業先への連絡等対象従業員へ綿密な説明を行う』ですが、副業を許可する事は自社だけでなくもちろん副業先の会社にも配慮しなければいけない事項が出てきます。
例えば、
副業先の時間外労働の上限(36協定で規定する内容)を超えないよう勤務させること
時間外労働が発生した事での健康状態の管理や把握
等が必要となります。そのため副業を許可する場合には、副業承認通知を対象従業員に交付すると同時に、副業先に連絡しておくべき事項を副業対象者に通知しておくことが重要です。
また副業開始時に想定していた労働時間に基づいて継続的に副業が行われているかを確認するために、副業対象者から定期的に副業実施報告書を受領する事も重要です。その際は業務の内容や労働時間等の把握だけでなく、例えば、
・副業先の変更
・勤務形態の変更(アルバイト/正社員/業務委託等)
そのような細かい部分にも配慮して副業実施報告を定期的に受ける事が重要です。
本日は『副業社員を会社で雇用する際のポイント➆』についてお話させて頂きました。
今回のニュースまでで、副業を会社で許可する際のメリットや注意点についてお話させて頂きました。従業員の人材確保がなかなか難しくなってきている中で、会社ではなく従業員自身が率先して就業しようと取り組む契機となる『副業制度』は今後の日本の産業の活性化の起爆剤となると私個人的には考えております。
そのため、従業員が副業を行う事に前向きになってもらえるよう会社から従業員へのメッセージも伝えながら、副業を許可する上で円滑に社内制度を運用する等の様々な人事労務管理の面から制度設計していく事が非常に重要かと思います。
今回の件でご相談、ご興味等ありましたら、いつでもお問い合わせフォームからご連絡してください。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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