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執筆者の写真田村陽太

【第175回】海外駐在員の労務管理Q&A~なぜ駐在員の労務管理が重要か?~③


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『海外駐在員の労務管理Q&A~なぜ駐在員の労務管理が重要か?~③』についてお話していきたいと思います。



今回も続編で日本企業が海外駐在員の労務管理をしっかりと行わなければならない理由についてお話していきたいと思います。



前回のおさらいですが、日本企業が海外駐在員の労務管理をしっかりと行わなければならない理由としては大きく3つあると私個人的には考えております。



➀海外駐在員は専門職であるため、適切な成り手が絶対的に少ないから

②日本企業が海外事業を運営するには海外駐在員という存在が必要であるから

③風評被害や損害賠償請求等の企業の損失に大きく繋がるから



今回は③から深掘りしてお話していきたいと思います。



③風評被害や損害賠償請求等の企業の損失に大きく繋がるから



海外駐在員の行うべき役割とは、前回までのニュースでお話している「日本企業と海外現地法人の間を橋渡しする仕事」だけでなく、海外現地法人で勤務するローカル社員が生き生きと働いてくれる為に人材をマネジメントする役割も必要とされます。



以前の回でも、海外に進出する日本企業が現地の外資系企業やローカル企業と比較してどのような点で働きやすいかを列挙してお話させて頂きました。



外資系企業に比べて給与やスキルアップの面では劣る為、どちらかというと「日本好き」な方や「いつかは日本で働いてみたい」方が一度日本企業の社風を体験してみたいという理由で、現地法人の日本企業で働いてみるという方が比較的多いように個人的に感じます。



詳しくはこちらの記事をご覧ください。



【過去回ブログ】【第93回】ローカル企業、日系企業、外資系(欧米系)企業での現地採用比較(前編)






給与や福利厚生等の労働条件の面ではなく、「社風」という会社自体に興味を持ってくれる方が日本企業で働いてくれる傾向に高いので、入社してからの定着度合いで言うと比較的転職回数が多い海外においても、現地の日本企業の勤続年数は高く、定着率は高いように感じます。



ただ、現地法人のローカル社員のマネジメントを行う上でハラスメントや給与の未払い等の労働問題が起きた場合、今まで信頼していた会社への信用が一層低下し、その反動で損害賠償請求等の大きなトラブルに発展する可能性が高いとも言えると個人的に思います。



その為海外駐在員がローカル社員に対して日々のオペレーションで行う教育や研修、そして指揮命令体制に対しても十分に事前に日本本社から指導を行うべきですし、日本国内と海外では会社で働く上でそもそも重要視しているマインドや労働法の違いもある事を熟知して、海外駐在員にはマネジメントしてもらわなければならないと思います。



また、それだけでなく海外現地法人で扱う商品やサービスの品質、価格、ブランドイメージ等のマネジメントなど、日本企業が海外市場でどのように見られるかをコントロールし、その市場の中で確固たる地位を築くためのいわば『広告塔』としての役割も海外駐在員には必要とされます。



日本本社として自社の製品をどのような戦略で販売していくかを決定し、本社が責任を取れる範囲内で海外市場の顧客に商品やサービスを販売していくのが大前提です。しかし地理的かつ時間的にも距離がある海外現地法人のマネジメントにおいて、常に日本本社が海外現地法人を直接コントロールするのは非常に難しいです。



一方で「郷に入っては郷に従え」というように、基本的には海外市場の販売戦略を決める上で現地ローカル社員の考え方や価値観をある程度取り入れて進めていくのが日本企業の海外事業においては必須だと私個人的には思っております。



その為、常に日本本社からの指示に従って営業していては、海外市場において戦略の意思決定等のスピード感において他の外資競合他社に劣りがちな日本企業は、海外市場において売上のパイを確保するのが非常に難しいと個人的には思います。



そういった中で海外駐在員が日本本社の意向や方向性を確認しながら、一方でローカル社員の日々の業務を適切にハンドリングしていく事が非常に重要です。現地ローカル社員を適切にケアしてマネジメントしない為に本来提供してはいけない品質で販売してしまい、顧客からのクレームを受け、損害賠償請求をされるリスクも存在します。



また顧客への情報開示について現地ローカル社員を教育していなかった事から秘密情報漏洩によるクレームから損害賠償請求を受ける可能性もあります。これらのトラブルが多く発生していくと、現地顧客だけでなく、海外現地で活動する日本企業からの印象も悪く映り、ビジネスがしにくくなるという風評被害にも発展する可能性があります。



本日は『海外駐在員の労務管理Q&A~なぜ駐在員の労務管理が重要か?~③』についてお話させて頂きました。次回は今までお話してきた内容を再度まとめ、海外駐在員の労務管理の重要性についておさらいしていきたいと思います。



執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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