こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『海外駐在員のモチベーション維持は、個人向け支援だけでなく企業向けにも支援していくべき理由②』についてお話していきたいと思います。
今回も続編で弊社が海外駐在員という『個人』向けの支援だけでなく、海外駐在員を雇用する『企業』向けの支援に力を入れているかの理由ついてお話していきたいと思います。
前回のおさらいですが、その理由としては大きく3つあります。
➀海外駐在員自身で悩みや問題点を異国で抱え込まないようにするため。
②海外駐在員制度を継続させる為に知見やノウハウを社内にフィードバックする必要がある為。
③海外駐在員の悩みは個人的な問題だけでなく、属する企業等組織的な問題が関係する為。
今回は①の続きから深掘りしてお話していきたいと思います。
積もり積もったストレスや不満が海外駐在員自身のメンタルヘルス不調や就業意欲の低下等のマイナス面に影響する事で、うつ病を発症したり、それによって自殺等の労働災害に繋がる事も否めません。
外務省が公表している「2021年海外邦人援護統計」によりますと、在外公館から報告があった日本人の死亡者580人のうち、自殺・同未遂での死亡者は65人で全体の約1割強を占めています。
その全てが企業の海外駐在員であるという訳ではないかと思いますが、海外駐在員という業務のハードさから勘案すると比較的多くの割合を占めている可能性は否めないかと思います。
海外駐在員が駐在中に自殺等の労働災害を起こした場合、企業は労働契約法第5条で定める安全配慮義務違反として被災者の遺族等から損害賠償請求をされる可能性もあります。
日本の大手メーカーで海外駐在していたエンジニアの方が過重労働により自殺し、その遺族が雇用していた会社に対して1億円の損害賠償請求をしたという報道を以前お読みになった事がある方もいらっしゃるかと思います。
今後判決が出るのか和解等の交渉になるかという進展が出てくるかと思いますが、このような損害賠償請求事案になる事で、メディアで多く報道されることで企業イメージの低下やそれによって自社の事業活動が相当程度しにくくなる事も否めません。
このような背景から、海外駐在員自身が異国で悩みを抱え込まないようにするためには派遣する企業の労務管理体制まで踏み込んで支援しなければならないと思います。そういった思いで弊社では海外駐在員支援サービスを行っております。
②海外駐在員制度を継続させる為に知見やノウハウを社内にフィードバックする必要がある為。
「習うより慣れよ」と良く言うものですが、海外駐在員の仕事の難しさや大変さはいかに実際に体験してみないと分かる事は出来ないと思います。つまり、実際に海外駐在する事は無いにしても、派遣する企業関係者が海外駐在員自身に駐在中のお話やお悩みを「直接肌身を感じて」聞く事は非常に重要かと思います。
具体的に話すと、カウンセリングサービスを使って第三者から海外駐在員の様子を聴くのではなく、直接企業が海外駐在員に直接話を聞く事が出来る体制を築かなければ真に海外駐在員が働きやすい職場を作る事は不可能だと私個人的には考えております。例えば、
・海外駐在員がどのように普段仕事をしているのか
・日本本社が労務管理をしていて見えない潜在的に抱えている業務は何か
・日本本社として海外駐在員を支援する上で出来る事は何か
等実際に駐在している海外駐在員自身のキャラクターや能力等、個々によって悩んでいる事や問題点が異なるからこそ海外駐在員に直接詳しくヒアリングし、社内の人事労務管理体制を築く事が重要です。
本日は『海外駐在員のモチベーション維持は、個人向け支援だけでなく企業向けにも支援いくべき理由②』についてお話させて頂きました。次回も続編で②の続きからお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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