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【第185回】『従業員採用時に取り交わす必要がある書類とは?④』

執筆者の写真: 田村陽太田村陽太


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は続編で『従業員採用時に取り交わす必要がある書類とは?④』についてお話していきたいと思います。



(4)従業員連絡先申出書



この申出書は、従業員がお休みの時に緊急で連絡を取りたい時や、音信不通で本人と連絡が取れない時に、事前に申告してもらった第三者と連絡を取る為に取得しておくためのものです。



普段従業員が通常通り会社に出社していれば特に使用する事が無い書類ですが、個人的には会社は従業員から事前に取得しておくべきものだと考えております。その理由としては2つあります。



➀無断欠勤による退職を会社のルール上合理的に行っていく為

②損害賠償請求事案等従業員にクレームを行う際に重要な情報の為



以上の理由が挙げられます。



➀として考えられるのは、例えば以前は元気に働いていた社員がある時会社に来なくなり、音信不通となるケースです。短期間ならまだしも1週間や2週間等比較的長期となってくると、会社としても事業の継続に支障をきたす為退職扱いとして処理したいと思う会社もいるかと思います。



ただ民法上のルールとして、退職については退職日の2週間前までに事業主に「申し出る事」が必要となります。無断欠勤はその申し出る行為が確認できていないため、従業員の退職の意思を確認できず、会社は本来従業員を退職扱いにする事はできません。



その為会社の就業規則内の退職条項部分に『従業員の行方が不明となり,14日以上連絡が取れないとき』等の項目を入れ、その間会社としては従業員連絡先申出書に記載の従業員本人の連絡先や緊急連絡先に連絡を入れる事で出勤を促す対応をする事が多いです。



上記の対応をしてまでも、従業員と例えば上記14日間連絡が取れない場合は雇用契約の解除、つまり自然退職として就業規則上のルールで処理する事が多いです。



従業員連絡先申出書を会社のルールとして取得していないと(例えば従業員本人のSNSしか知らない等)このような音信不通の状態になった場合にスムーズな本人との連絡が取りにくい為、私個人的には取得しておいた方が良いかと思います。



②としては、例えば先日ご説明した誓約書の条項に準じて通常の業務を超えて発生した従業員への損害賠償請求を行う事案が発生し、従業員本人と連絡が取れなくなった場合に、申出書に提出してもらった緊急連絡先に連絡する上で重要となります。



従業員本人への損害賠償請求を会社として確実に行っていきたい場合は本従業員連絡先申出書以外に『身元保証書』を従業員側から提出してもらう方法もあります。



ただ身元保証書まで提出する事に心理的負担が発生し、従業員の早期の退職に繋がる可能性もある事を危惧し、身元保証書を提出させずに従業員連絡先申出書を取得し、損害賠償請求事案等トラブルが発生した際に緊急連絡先に連絡するのにとどめておく会社も多いです。



前回の誓約書でもお伝えしましたが、本従業員連絡先申出書を提出して頂く事であらゆる労働トラブルを未然に防ぐことはできません。トラブルが起きてからも会社が従業員と真摯にコミュニケーションを取る事は必ず必要です。



従業員が入社してから将来にわたって会社と労働トラブルを起こす可能性を最低限減らすための「抑止力」の意味合いが強いものである事をあらかじめ理解しておくことが重要です。



本日は『従業員採用時に取り交わす必要がある書類とは?④』についてお話させて頂きました。



今回までで、一般的に会社が従業員から取得すべき書類に関してお伝えしてきました。今までのニュースを見ていただきました通り、従業員と取り交わしをする書類には必ずその意味や目的があります。



従業員としては必要以上に会社と入社時書類を取り交わす事に不安を感じる事もあるかと思いますが、一方で、書類締結の目的や意味を分かりやすく従業員に伝える事で、将来の労働トラブルを事前に従業員と「見える化」し、安心して働いてもらえることにも繋がります。



会社の在籍期間の長短は人それぞれですが、会社の経営者や従業員、誰でも「穏便に」働きたいと誰でも思っているかと思います。労働トラブルという非常事態を発生させず、穏便に働けるような環境にする為に、雇用の際に従業員と締結すべき書類について会社で考えて頂けると良いかと思います。



労務顧問のご依頼等いつでもご相談お請けしておりますので、お問合せフォームからご連絡をお待ちしております。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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