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執筆者の写真田村陽太

【第207回】『労務管理Q&A~年次有給休暇の時間単位使用、半休単位使用を導入するべき?~③』



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『労務管理Q&A~年次有給休暇の時間単位使用、半休単位使用を導入するべき?~③』についてお話していきたいと思います。



前回のニュースでは、半日単位、時間単位有給のメリット、デメリットや会社で有給休暇制度を運用していく上での考え方やポイントをお話させて頂きました。今回はその続きをお話していきたいと思います。



前回は【会社で年次有給休暇制度を運用していく際のポイント】として、



➀年次有給休暇に関する制度や留意点を会社から従業員にしっかりと説明する

②年次有給休暇を使用する上での「権利」と「義務」を従業員にしっかりと説明する

③定期的に年次有給休暇制度の運用制度のチェックや見直しを行う



があるというお話をしました。今回は②からお話していきたいと思います。



②については、年次有給休暇は企業で働く従業員にとっては行使できる「権利」である事を理解してもらうのと同時に、その際に従業員が対応すべき「義務」についてもしっかりと説明しておくことが大事です。



労働基準法上、従業員が有給休暇を取得する際に履行すべき「義務」は規定はありませんが、ここで言及している義務とは、会社の就業規則上規定されている従業員が働く上でのルールを遵守しなければならない「義務」を指します。



例えば、


・あらかじめ取得したい日よりも前もって会社に申請をする

・4日以上等週の所定労働日の半分以上の有休を取得する際は前もって会社に申請をする

・有給休暇を取得している間の他社員への役割分担、業務の引き継ぎをしっかりと行う



等が挙げられます。多くの会社の就業規則では上記のような留意事項を記載し、従業員に有給休暇を取得させる際の義務を履行するよう規定しているパターンが多いかと思います。



大企業等比較的従業員数が多く、対象の従業員が年次有給休暇を取得したとしても代替の社員がカバーできる、あるいはカバーできるシステムを構築している会社に関してはそこまで問題にしなくても良いかもしれませんが、日本の中小企業の多くでは、一人が有給休暇を取っている間に業務を代替する社員の確保やシステムを構築できていない会社は多いです。



有給休暇を取得する本人にとっては権利を行使する事は当たり前の気持ちはあるかもしれませんが、その間に業務をカバーする社員にとっては「仕事量が増えて大変だ」「代替業務が良く分からず、お客さんに怒られた」等有給休暇を取得した社員に対して嫌な気持ちを抱く方も少なくありません。



そのような気持ちを引きずったまま働いてしまうと、例えば上司から部下へのパワハラが発生したり、就業意欲の低下による休職に繋がったりと、雇用管理上の労務トラブルの引き金になってしまう事が少なくありません。



会社の人事労務管理で重要な事は、このような会社で働く従業員の少しの「違和感」を日頃から無くし、労務トラブルの勃発等、火種が大きくなる前に解決していく事だと私個人的には考えております。



その為、入社時の説明や有給休暇を取得する際の説明の際に、有給休暇を取得する事が出来る「権利」の項目も伝える一方、従業員がその際に遵守すべき「義務」を必ず伝える事が必要です。



その「義務」を伝える為に会社で対応すべき一番重要な事は「就業規則の整備」です。法律上規定されていない事項に関して、会社と従業員間の勤務上のルールを規定するものは「就業規則」です。いわば、何か就業上の労務トラブルが起きた際に会社と従業員、どちらに責任があるのかを線引きする為のものが就業規則の効用の一つです。



就業規則は常時10時以上の会社は作成義務がありますが、私個人的には10人未満の会社も就業規則を早期に作成する事を推奨しますので、ぜひ一度ご検討ください。



本日は『労務管理Q&A~年次有給休暇の時間単位使用、半休単位使用を導入するべき?~③』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話させて頂きます。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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