こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~年次有給休暇の時間単位使用、半休単位使用を導入するべき?~④』についてお話していきたいと思います。
前回までのニュースでは、半日単位、時間単位有給のメリット、デメリットや会社で有給休暇制度を運用していく上での考え方やポイントをお話させて頂きました。今回はその続きをお話していきたいと思います。
前回は【会社で年次有給休暇制度を運用していく際のポイント】として、
➀年次有給休暇に関する制度や留意点を会社から従業員にしっかりと説明する
②年次有給休暇を使用する上での「権利」と「義務」を従業員にしっかりと説明する
③定期的に年次有給休暇制度の運用制度のチェックや見直しを行う
があるというお話をしました。今回は③からお話していきたいと思います。
③については、部署や雇用形態等、社内での年次有給休暇の取得状況によって、実務での運用自体を都度社内でチェックする事が非常に重要です。具体的な話で言うと、
・有給の半日単位、時間単位有給の取得を認める範囲をどうするか
・有給休暇の取得申請期日をどうするか
・有給が取得できる従業員に偏りが無いか
等のところからチェックする事が重要です。
例えば、外回りが多く、比較的管理者からの指揮命令下におきにくい営業や外勤等の外回りの職種においては、営業と営業の間のスキマ時間に簡単な所用を済ませてしまうパターンもあるので、従業員の休息よりも、何かある目的を達成する為に使用する傾向が高い、時間単位有給や半日範囲等の使用を制限するのも一つです。
理由としては、有給を使用した方と一緒に働く同僚や部署の方の就業意欲モチベーションを下げる事を防止する事が一つに挙げられます。
また、有給休暇の取得申請をする期限についても、今までの有給休暇を取得した方の引継ぎ方法や、休暇取得後の業務のフォロー方法、有給休暇取得中の顧客からのクレーム等トラブルが無かったか等有給休暇を取得した従業員の様子等を見て、最適な日にちを設定する事が良いかと思います。
この際に重要な事は、従業員が有給休暇を取得申請した際には、必ず上長がこれらの引継ぎ等有給休暇を取得する上で組織が円滑に回るかどうかを含めて対象社員からヒアリングする事が非常に重要です。
有給休暇を取得する事を拒むことは上長として絶対に行ってはいけませんが、その有給休暇を取得する上で事前にやるべき業務や対応を従業員が行っているかを判断する上で、上長と対象従業員の面談の実施は非常に重要です。
また、ヒアリングを行う事で、その他の従業員の業務量や業務の難易度等も把握できる事があり、有給休暇を取得する事が出来る社員が一部に偏る理由等も把握できるので、有給取得時の面談は推奨します。
本日は『労務管理Q&A~年次有給休暇の時間単位使用、半休単位使用を導入するべき?~④』についてお話させて頂きました。第4回までで有給休暇の概要や、取得方法、企業として対応すべき事項についてお話してきました。
最近では年5日の有給休暇の取得義務化が巷でも謳われて、世間にも大分浸透してきたかと思いますが、それでも有給休暇を取得する行為は本来従業員から会社へ「申請」する行為なので、従業員によって有給休暇を取得する数や頻度は大きく差が出る部分です。
従業員によっては組織で働く他の社員を気遣い、ほどほどに使用する方もいれば、意に介さず自分の権利として有給休暇を取得する方もいらっしゃいます。
必要以上に周りを気にしてしまい、自分の主張をあまりしないというのは個人的には残念な気がしますが、ここまでで私がお伝えしたかったのは、「自らの権利を主張するなら自らの義務も果たそう」という事です。
これは私の今までの経験に基づいた個人的な考えですが、あらゆる権利を主張する人に限って、一方でその方に義務の履行を迫ると全くやってくれない、対応が遅いという方は非常に多いです。
有給休暇の取得を進める運用に関しては、従業員の人間性が非常に如実に出る指標になります。社内で有給休暇取得の運用の検討を進める際には、是非とも今回のニュースをご参考にしてくださいますと幸いです。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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