こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~日本にワーキングホリデーに来た人を雇用する際の注意点~➀』についてお話していきたいと思います。
弊所へのお問合せとして、「海外から日本へ期限付きでワーキングホリデーに来ている方を自社で採用する際にどう対応をすれば良いか?」というご相談が増えております。在留カードも所持して滞在資格もあるし、自社で通常通り雇用できるのではないかと思っていても、「実際に雇用する際に何か特別な注意点があるのでは?」と心配される企業様も多く聞きます。
本日はそのようなワーキングホリデーで日本に滞在資格がある方を採用する際に企業がどのような点に注意すれば良いか、そして雇用する際のチェックポイント等についてお話しできれば幸いです。
【ワーキングホリデーとは何か?】
今回のテーマの話をスムーズに進める為に、最初に「ワーキングホリデーとは何か?」についてお話していきたいと思います。ワーキングホリデーとは、18歳以上30歳以下(国によっては25歳以下もあり)の若者が海外で一定期間滞在しながら働くことができるビザ制度です。観光をしながら海外という異文化を体験し、生活費を現地で稼ぐことができるため、多くの若者に人気がある制度となっております。
現在日本は29か国とワーキングホリデーの制度を導入しております。日本の人が協定の該当国へワーキングホリデーで訪問する事や反対に海外の方が日本へワーキングホリデーで来日する事も可能です。
その他ワーキングホリデーのビザ発行要件として、海外への往復渡航費用や滞在中の生活費等が支払いできる位の生活基盤があるかどうかもビザ発行要件に関わってきます。
【ワーキングホリデーで就ける職種】
ワーキングホリデーの外国人を雇用する際の注意点は、日本人を雇用する際の注意点と基本的には一緒ですが、風俗営業に就く事は出来ません。雇用主がそのような業種の場合ワーキングホリデーの外国人を雇用できない可能性がある事に注意が必要です。
ワーキングホリデーで来日される方は、在留カードと別に、所持するパスポートに「指定書」と呼ばれる勤務可能な業務内容の詳細が記載されています。採用面接時には必ず在留カードの在留期限と指定書の中身は必ず目を通す必要があります。
【ワーキングホリデー中の住民手続き、健康保険、年金等】
また、ワーキングホリデーの外国人は原則ビザ発行から1年間の滞在期間となっている為、日本への住民票の異動が原則必要となります。また、滞在中の加入保険に関してですが、健康保険は、市役所で加入する国民健康保険の場合、加入が出来ない場合があるので原則滞在中は、外国人自身で任意に医療保険に加入する必要が出てくる可能性があります。
国民年金に関しても、20歳以上60歳未満の方でしたら加入義務があります。ワーキングホリデーで1年以内に母国へ帰国した際にも、今までに納付した国民年金保険料が脱退一時金として支給されるケースもあります。脱退一時金制度の詳しい内容につきましては、市役所や年金事務所等でご相談くださいますと幸いです。
【ワーキングホリデー中の給与支払方法について】
上述したケースは会社の社会保険に加入せずにワーキングホリデーで働く場合の話ですが、例えば週30H以上勤務する等会社の社会保険に加入する際は、原則日本人を雇用するのと同様のルールとなります。例えば給与を支給する際も給与から健康保険料や厚生年金保険料を天引きし、その分を会社支払い分と合わせて事業主が納付する形となります。
ワーキングホリデーで来日される方は1年以内に母国に帰国する為、日本の税法上「非居住者」という扱いとなります。その為、給与支払い時の源泉所得税の控除額は課税金額の20.42%となり、通常の給与支払いと特殊となりますので、ご注意ください。
本日は『労務管理Q&A~日本にワーキングホリデーに来た人を雇用する際の注意点~➀』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話させて頂きます。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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