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執筆者の写真田村陽太

【第215回】『労務管理Q&A~特定技能の外国人社員を雇用する際に注意すべき事とは?~③』



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『労務管理Q&A~特定技能の外国人社員を雇用する際に注意すべき事とは?~③』についてお話していきたいと思います。



前回は【特定技能で外国人社員を採用する際に企業が行うべき事】として、



➀対象外国人の職歴、属性等の細かな確認

②登録支援機関でのサポート等の検討

③事前の雇用中、雇用終了時のビジョンや計画作成



があるというお話をしました。今回は②からお話していきたいと思います。



特定技能での在留資格を申請するにあたって、企業側は外国人社員を通常雇用する際に必要な



・既存の日本人社員との賃金、待遇等との差別の禁止

・外国人社員を雇用できる程度の財務的基盤があるか



等、その他にも企業が対策すべき事項はありますが、それらを企業側として対応する一方で、外国人社員の生活サポートや言語サポート等の、日本で住み、働く上での基本的な姿勢や生活態度等を支援する必要があります。



その為、特定技能の外国人社員を雇用する上では、企業内でそのような生活支援を行う一方、「登録支援機関」と呼ばれる外部機関に委託して外国人社員のサポートを行う事も考える必要があります。



主に特定技能の外国人社員に対して企業側が行う責務として代表的なものは、



・事前ガイダンスの実施

・入国時の支援

・日常生活の支援

・職場適応支援

・相談・苦情対応

・日本語教育支援

・定期的な官公庁への状況報告



が代表的には挙げられます。これらを自社で対応する事が出来るのであればよいですが、会社の時間的、労力的に難しいのであれば登録支援機関へ委託する事を考えるのも一つです。



登録支援機関に委託して外国人社員に対して生活サポート等を行う事は、在留資格の申請をスムーズに行うためにももちろん重要ですが、もっと重要である事は、外国人社員自身が安心して職場で働き、職場で能力を最大限発揮できるようにする為です。



その他の外国人社員を雇用する上でよく申請される在留資格として、「技術・人文知識・国際業務」がありますが、この在留資格やその他の在留資格等に共通して言えることは、外国人社員その方の専門や特性がまず備わっていて、それらの外国人社員を企業が活用するという事が前提となります。



その為、企業と外国人社員の関係性で言うと、「企業のニーズ」よりも「外国人社員の専門性」が優位にあります。また、外国人社員の専門性を生かせるような業務を企業が与えていない場合、対象の外国人社員に付与された在留資格は原則失効となってしまいます。



一方、在留資格の特定技能に関しては、前述しました企業と外国人社員の関係性で言うと、「外国人社員の専門性」よりも「企業のニーズ」が優位にあります。



外国人社員の専門性自体が、言語や業務内容等、通常の日本人社員と同等もしくはそれ以下であったとしても、日本企業で活躍できる人材の確保をする手段として、「特定技能」での外国人社員の雇用は行う事が出来る制度となっております。



上記の背景から、特定技能の在留資格で外国人を雇用する事においては、あらかじめ企業と従業員の相性やニーズが相互に合っているかの「マッチング」がそこまでしっかりと行われず、企業のニーズありきで雇用を開始する事がほとんどです。



対象の外国人社員が技能検定を合格したり、技能実習の修了要件も良好であったりと職場で勤務する上での要件を備えているにも関わらず、実際に企業で働いてみると、うまく職場に適合できていなかったり、人材育成が思うようにいかなかったりする事は良くあります。



その為、外国人社員自身が安心して職場で働き、職場で能力を最大限発揮できるようにする為には、職場でのOJTの内容以外に外国人社員のストレスや不安に思っている事を最大限除去し、職場での勤務に一生懸命取り組めるようにする事だと私個人的には思っております。



職場のOJTにおいてしっかりと外国人社員に教育しない、外国人社員とのコミュニケーションを職場で行わない等、企業自身が自社で必死に行うしかどうしようもない事を行わない事は企業の責任であり、それらを出来る事が外国人社員を雇用すべき企業が必ず対応すべき責務であり、大前提だと私個人的には考えております。



ただ単に、特定技能の在留資格で外国人社員を雇用する為だけに短期的に企業は対策を行うのではなく、外国人社員が10年も20年先も将来的に職場で活躍していく為にはどうしていくべきかを長期的に考えながら、企業は特定技能の在留資格において外国人社員を雇用していくべきだと私個人的には思います。



本日は『労務管理Q&A~特定技能の外国人社員を雇用する際に注意すべき事とは?~③』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話させて頂きます。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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