こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『中小企業の人事部がやるべき業務やミッションとは?~➀』についてお話していきたいと思います。本日は中小企業に人事部がなぜ必要となるかの概論部分を中心にお話させて頂きたいと思います。
私たち社会保険労務士が開業して、顧客の皆様へ支援する際、対象となる顧客は従業員規模で言うと、100人未満の中小企業がほとんどになるかと思います。
中小企業で言うと、自社事業を拡大していく為には、営業部門やマーケティング部門、サポート部門、経理部門等の対顧客で業務上必要となる部署に関しては、会社で配置している所は多くありますが、人事部門となると経理部門が一括して担当していたり、または社長や役員等、上層部が直轄して管理していたりする企業も多いという印象です。
人事部の行う業務内容は、労働トラブル等が発生していない場合、年間の繁忙期等はあるにせよ、通常比較的平穏に業務が行う事が出来る部門ではあります。ただ、一度労働トラブルが発生した場合は、人事部が担当する業務は、いかに日々正確性が求められ、また細かい所まで気を配って業務に取り組むべきかが如実に分かる分野の業務でもあります。
言い換えますと、トラブルが起きた際に改めて必要性をより強く感じる部署であります。そして、そのような労働トラブルを未来永劫発生させない為にも通常時から「平穏」に仕事を行う必要がある部署という事も言えます。
その為従業員にとっても社長や役員層にとっても、人事部のお仕事は「間違わない事が当然である」という意識は醸成されやすくなります。間違った業務を行った時にはその後の労働トラブルの引き金になりやすく、「何か労働トラブルが起きたら人事部のせいだ」と見られがちになるからです。
このようなトラブルが発生しないと外部の人からはなかなか必要性が感じられない部署であり、一方で将来的に大きな社内でのトラブルが発生しないように、通常時から責任感をもって仕事をしなければならない人事部は、中小企業だからこそ早く配置し、組織を整備していく必要があると私個人的には思っております。
どうしても経理部等の他の部署が兼任で人事業務を担当する場合、業務の繁忙期の影響で人事業務の対応がおろそかになってしまう事もあったり、人事労務分野の業務は毎年法改正等の影響を受けやすい業務であったりするからこそ、情報収集を怠っていて対応すべきタスクを行えていなかったりというトラブルもあります。
また、社長や役員等、上層部が直轄で人事業務に携わっている場合、他の経営業務で忙しくしているからこそ、人事のお仕事まで手が回らず、日々の労働トラブル防止の為の業務を行う事ができなかったり、経営層だからこそ従業員が日々人事関連の相談がしにくい等、比較的軽めの労働相談から対処する事が難しかったり等のデメリットがあります。
従業員規模100人未満の中小企業だからこそ、人事部を早期に配置し、研修等を行って早期に人事部人材の育成に着手する事が大変重要だと私個人的には思っております。
私たちの事務所では、この中小企業の人事部構築を中心に労務顧問等のサービスで支援させて頂いております。というのも、会社の労務について一番詳しく理解しているのは、人事労務のスペシャリストの社労士資格を持っている顧問社労士ではなく、会社の社長、役員、従業員であり、その最前線で働く人事部の方の支援を行う方が社内の人事がうまく機能すると思っているからです。
社内で労働トラブルが起きた時に、外部の顧問社労士に対応を丸投げしていては「ちゃんと自社の問題に向き合ってほしい」と従業員から会社への信頼は無くなります。
また一方で、顧問社労士としても会社の実情を社内の人々よりもしっかり分かっていないからこそ、法律や判例等の法務の問題で解決したり、他社事例等の一般的な情報で対処しようと表面的に対応してしまったりする事で、会社に不満を抱えている従業員とのトラブルに関して火に油を注ぐ形となり、問題が更に大きくなってしまう事は良くあります。
日々社長や経営層と従業員の「パイプ役」となるべき人事部が、必要な労働に関する知識や対処法をしっかりと身に付ける事で、社内の労働トラブルが起きる前に解決できるような状態や体制を構築できている事が、健全な会社の事業活動を行う上で重要です。
そのような人事部体制を事前に構築すべく、弊社では顧問先の人事担当の方の労務相談に日々乗ったり、知識や情報の提供を行ったり、はたまた日々の労務相談の対応についてのカウンセリングやお悩み相談等も行っております。
本日は『中小企業の人事部がやるべき業務やミッションとは?~➀』についてお話させて頂きました。次回は中小企業の人事部が行うべき業務や必要となる能力やマインド等についてを中心にお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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