こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『中小企業の人事部がやるべき業務やミッションとは?~③』についてお話していきたいと思います。本日は続編で、中小企業の人事部が行うべき業務の労務担当について中心にお話していきたいと思います。
それでは労務部門の方々がどのような業務を行っているかですが、4月から3月までの1年間で大まかにいうと以下の業務が挙げられます。
4月~7月
〇新入社員の社会保険手続きや給与情報登録、入社時書類締結
〇年度末退職の方の社会保険手続き
〇36協定等の年度で都度更新する書類の提出
〇新年度の住民税額の給与への反映・登録
〇労働保険年度更新や社会保険算定基礎届の提出
8月~10月
〇社会保険料の改定対応
〇労働時間管理、健康診断結果等労働安全衛生の管理対応
〇就業規則の修正、整備
11月~1月
〇年末調整対応の準備、給与計算への反映
〇年末賞与支給のための評価面談、給与計算への反映
2月~3月
〇労働関係法改正の整理
〇年度末退職者の方の退職フォロー、やり取り
となります。
まず4月~7月ですが、4月に入社した社員のための社会保険手続きや給与情報の登録、入社時書類の作成・締結対応等を行います。
また年度末の3月に退職した社員の社会保険手続きや住民税等の市役所への異動届の提出等を行う業務も発生します。
そして、時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)や変形労働時間制の届け出等の年度で都度提出する書類の作成等の業務も発生します。
また、毎月の給与から住民税を控除し、会社が立て替えて納付する(特別徴収)方式をとっている会社では、新年度の住民税通知書が各市町村から届くので、その額を給与情報として登録する必要があります。
また1年間分の労働保険料の申告・納付作業である労働保険年度更新や、9月分の健康保険料・厚生年金保険料を決定する社会保険算定基礎届等の提出対応も7月に行います。
次に8月~10月ですが、労務担当においては比較的閑散期の時期となります。この時期の間に普段行うことができない重要事項である労務管理周りの業務を重点的に行っていく事が多いです。例えば、自社の就業規則の整備や年次有給休暇の取得状況、労働時間の管理等を行う等が挙げられます。
次に11月~1月ですが、従業員から毎月給与計算で控除している源泉所得税額を年間の所得額で清算し、この時期に従業員へ給与で還付徴収等を行う「年末調整」を行う必要があります。
また、年末賞与を支給する会社では、会社の業績管理や、従業員の評価面談、賞与原資の対象従業員への割り振り等を行い、年末賞与の計算、振り込み対応を行う必要があります。
そして2月~3月は、4月からの労働法分野における法改正に関しての情報収集や次年度に行うべき労務管理事項の整理を行います。また、比較的多く退職者が発生する年度末退職者とのやり取りやコミュニケーションを行うのもこの3月となります。
上記が各月の代表的な業務となりますが、これに付随して毎月発生する給与計算対応を行っていく事も人事部の労務担当には求められます。
以上が労務担当の1年間のスケジュールとなりますが、1年間にある程度の繫閑はあるといえども、非常に多くの業務を日々行っていることが分かります。
また、会社と従業員の毎月の接点の機会である「給与明細」を作成するのも人事部の労務担当のお仕事となります。
従業員の生活の安定や会社への安心感の醸成にも寄与するこの給与計算を、このような各月の定例業務を行いながら対応するとなると、日々細かい仕事が求められ、集中力や神経を使う等、大変なお仕事であることも分かります。
前回のニュースでお話ししました、採用部門のお仕事とはまた毛色が違う、内務のお仕事が多いのがこの労務部門の特徴となります。
人事部に配属された場合は多くの場合この労務部門も経験する事になるため、人との対話等比較的コミュニケーション力が求められる採用担当と、細かい業務への集中力や注意力が求められる労務担当、どちらの仕事も対応できるよう早いうちから職種理解を進めて頂けるとよいかと個人的には思います。
本日は『中小企業の人事部がやるべき業務やミッションとは?~③』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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