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執筆者の写真田村陽太

【第222回】『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~➀』



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~➀』についてお話していきたいと思います。本日は、中小企業において自社の外国人社員がいざ産休・育休を取得する際に意識すべきこと、留意すべきことについての概論部分を中心にお話させて頂きたいと思います。



企業で働く従業員が仕事と生活の両立を行い、従業員自身のキャリアを継続出来るよう育児介護休業法の改正が近年行われています。例えば、



2022年4月には、

個別の制度周知・休業取得意向確認と雇用環境整備の措置

有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和



2022年10月には、

出生時育児休業(産後パパ育休)の新設と

育児休業の分割取得



2023年4月には、

従業員が1,000人を超える事業主の育児休業取得状況の公表の義務化



が施行されました。また今後、育児介護休業法関連での改正として、



・3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置

・所定外労働の制限(残業免除)の対象従業員の拡大

・子の看護休暇の見直し

・労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化

・従業員が300人を超える事業主の育児休業取得状況の公表の義務化



等が2025年4月から段階的に施行される予定です。



働く従業員にとっても自身の家庭生活を送っていく中で、このような法改正の内容に触れる事で、今後の出産・育児について考える機会も増えてくるかと思います。



近年、法改正の内容が多い育児介護休業法に関して、企業が人事労務面で対応しなければならない事や自社の従業員に伝えなければならない事項は非常に多くなってきています。


働く従業員にとっては、出産・育児という大きなイベントを控えながら会社で働かなければならず、様々な事を考える必要が出てくるため顕在的・潜在的に精神的なストレスを抱えながら働く必要も出てきます。



日本人社員さえも精神的なストレスを抱えながら働く一方、外国人社員ともなればなおさら相当なプレッシャーを抱えながら働く必要が出てきます。例えば、



・日本の育児介護休業法についての法律に詳しくない

・自社の就業規則や自身の雇用契約についての知識に自信がない

・自身と同様に産休・育休を経験している外国人社員の母数が少ない



等が挙げられます。外国人社員の母語が日本語ではない事から、法律や通達、また国の公的機関から発行されている案内等、比較的難しい日本語を理解する事に抵抗感を感じる外国人社員も多くいます。



また外国人社員の母国での人事労務面での法律と、日本での人事労務面での法律に差異が多くある事から、いつの間にか当然だと考えていた従業員の認識が、実際に自社の就業規則等に照らし合わせた時に叶わない事を知り、今後の産休や育児休業について不安を感じることも多くあります。



また、出産を終えてその後産後休業、育児休業に入っている際にも、日本で頼れる知人が少なく、精神的に孤独を感じたり、利用できる公的なサービスやその後自身の子供が大きくなった時に入園する保育園や幼稚園等の入園申し込みや流れ等が分からず、不安を感じたりすることも多くあります。



単に最新の育児介護休業法に則った自社の制度を整備して、企業の人事労務管理リスクを無くすだけでは、外国人社員の産休・育休取得に関して円滑に進められるわけではありません。



一般の日本人社員から面談等で聴くお悩み以外にも、外国人社員はもっと多く抱えている事があると企業の人事部は想定し、産休前の面談や出産後・育休中のフォロー等を進めていくことが非常に重要です。



本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~➀』についてお話させて頂きました。次回から具体的に外国人社員が産休・育休を取得する際の留意点や実務上の注意点についてお話していきたいと思います。






執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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