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執筆者の写真田村陽太

【第226回】『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~⑤』



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~⑤』についてお話していきたいと思います。



前回は【外国人社員が産休・育休を取得する際の会社が取り組むべき事項】として、



①    育児介護休業法や産休・育休取得制度の紹介を定期的に行う

②    産休・育休取得に関する意向や休業・復帰イメージを面談する

③    業務の引継ぎや休業中・復帰後の業務開始イメージを共有しておく

④    育児介護休業法上、就業規則上対応すべき人事労務管理手続きを行う



があるというお話をしました。今回も④からお話していきたいと思います。



まず、従業員の産前休業(出産予定日の6週間前)から産後休業(出産後8週間の休業)までの間に会社が対応すべき人事労務管理手続きは以下となります。



【産前産後休業中の人事労務手続き】


①    産前休業の申請書の提出



産前休業に関しては、従業員本人が会社へ請求の下、取得する事が出来ます。そのため、従業員の休業の取得の意思を明確にするために、従業員から産前休業の取得申請書の提出をしてもらうことが重要です。



多くの場合は、産前休業の後に取得する産後休業や育児休業を取得する事を前提に、育児休業終了までの期間を休業としてまとめて取得申請を行うパターンが多いです。



②    産前産後休業中の社会保険料の免除手続き



産前休業を取得した日の属する月から、産後休業が終了した日の翌日の属する月の前月までの健康保険料(介護保険料も)と厚生年金保険料が、会社・従業員ともに免除となります。



産前休業を取得した日から速やかに、もしくは遅くとも産後休業終了日から1カ月以内に管轄の年金事務所へ「産前産後休業取得者申出書」を提出する必要があります。



ちなみにですが、社会保険の中でも、「雇用保険料」に関しては支払った給料の額に応じて保険料額が変わりますので、たとえ月の途中から産前休業に入ったとしても、産前休業開始前日までに勤務した実績に伴う給与額に応じて、雇用保険料は給与から控除されますので注意が必要です。



③    産休中の出産手当金の手続き



産前産後休業中に関しては、ノーワークノーペイの原則の下、休業中は無給という扱いでも法律上特に問題ありません。産前・産後休業中の生活保障の意味合いの下、管轄の協会けんぽや健康保険組合に対して「出産手当金」の申請を行うことが出来ます。



出産手当金に関しては、申請の主体は、従業員本人となります。なぜならば、出産手当金は会社の健康保険に加入している方のみ受けられる制度であり、健康保険法上、出産手当金の申請・受給主体は被保険者(産休を取得する従業員)だからです。



従業員が産前産後休業中について、会社のルール上給与を受け取れない場合、健康保険から出産手当金を受給するために、従業員自身で申請書を記入・提出する事が原則となります。



しかし、出産手当金の申請には、事業主証明欄の記入が必要なため、会社はこの部分で協力する事が必要です。事業主証明欄の記入の部分のみ協力するパターンもあれば、出産手当金の申請に全面的に会社が協力するパターンもあります。



出産手当金は、全部の産前産後休業期間を月末ごとに区切って申請する為、(1)1か月おきに手当金を申請するパターンや、(2)産後休業が終了した後まとめて休業期間中の手当金を申請するパターンの大きく2つが考えられます。



ただし(1)の場合で出産前に1回目の出産手当金を申請する場合は、出産後の出産手当金申請でも医師の証明を受領する必要があるため、病院への証明書を計2回以上従業員が取得しなければならない事も考えられます。



病院にもよりますが、出産手当金の医師の証明を記載してもらう費用も証明書発行1回あたりである程度の費用がかかるケースもあります。そのため、出産手当金の入金タームは遅くなりますが、従業員のコスト的には産後休業終了後にまとめて申請する方が良いかと個人的には思います。



本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~⑤』についてお話させて頂きました。次回も続きからお話していきたいと思います。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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