
こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『2025年労働法関連法改正と企業の労務管理で対応すべき事①』についてお話していきたいと思います。
労働法関連の分野に関しては、比較的頻繁に法改正が行われております。法改正が行われる事で、働く従業員様だけが情報収集する事だけでなく、雇用する会社側の人事部も労務管理上社内で対応すべき事項が増えてきます。
今回からは今年2025年に予定されている労働法関連の法改正の概要と、それに応じて企業が対応すべき事項についてお話しさせて頂きたいと思います。
まず、2025年中に予定されている労働法関連の法改正分野は以下となります。
① 育児・介護休業法の改正
② 雇用保険法の改正
③ 障害者雇用促進法の改正
➃ 高年齢者雇用安定法の改正
以上4点が主な改正事項となります。今回のニュースからは①から順に説明させて頂きます。
① 育児・介護休業法の改正
ですが、主に11つあります。
(1)子の看護休暇の拡充
(2)所定外労働の制限
(3)育児のためのテレワーク導入
(4)短時間勤務の代替措置
(5)育児休業取得状況の公表義務
(6)介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
(7)介護離職防止のための雇用環境整備
(8)介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
(9)介護のためのテレワーク導入
(10) 柔軟な働き方を実現するための措置の義務化
(11) 仕事と育児の両立に関する意向聴取・配慮の義務化
まず(1)ですが、1年間に5日、子が2人以上の場合は10日、労働者の子の病気等で欠勤を余儀なくされる方に対して、子の看護休暇を取得する事ができます。現行では、1日単位でも時間単位での看護休暇の取得が可能となっております。
この2025年4月の法改正で、子の看護休暇の名称が「子の看護等休暇」となりました。そして、取得できる条件が緩和され、取得できる対象者が広がったのが、今回の法改正の趣旨となります。
まず、取得できる条件ですが、
① 病気・けが
② 予防接種・健康診断
③ 感染症に伴う学級閉鎖
➃ 入園(入学)式、卒園式
に緩和され、また取得できる対象者は、原則、小学校3年生修了までの子を持つ週の所定労働日数3日以上の労働者となりました。
子が小さいうちは、急な発熱や病気等で保育園等から迎えに来るよう依頼され、会社を急に退勤する必要が出てくる事もあります。
最初のうちは年次有給休暇を取得して対処していたとしても、度重なる休暇の取得で自身の年次有給休暇が無くなり、欠勤扱いとなる労働者も出てきます。
そのような欠勤扱いでの昇給や賞与の減額等による賃金の低下等を防ぎ、ワークライフバランスを両立できるようにする一助として、この子の看護等休暇が導入されたという背景があります。
また、小学校に上がってもインフルエンザ等の学級閉鎖により、急に学校へ通う事が出来なくなり、小学校低学年のうちは親が不在の間に一人で過ごす事も難しいという状況も出てきます。
子自身は心身元気で、保護者が帰宅せざるを得ない状況でも、現行のルールですと、子の看護休暇が使用できない事から、子の看護等休暇の取得条件が緩和されたという背景があると個人的には考えます。
本来年次有給休暇は労働者自身の心身を休ませ、リフレッシュする事で就業意欲や生産性を促進する事を意図したものです。
将来的には、突発的な休みに関しては子の看護等休暇を使用するよう進め、日本企業の生産性向上をさらに高めたいという背景があると個人的には考えます。
次に(2)ですが、現行3歳未満の子を養育する労働者が、会社に請求することで所定労働時間を超える残業を免除してもらえる制度があります。
こちらの条件が、「小学校就学前の子を養育する労働者」に条件が緩和されました。最近では共働きの家庭が増え、子を保育園に預けて父母共に会社で働く家庭が増えています。
保育園に通う間等子が小さいうちは、急な発熱や病気等で保育園等から迎えに来るよう依頼され、会社を急に退勤する必要が出てくる事もありますし、残業をこなしながら育児を両立する事は心身ともに健康を維持して生活するのが難しくなるという事があります。
そのような背景もあいまって、残業が前提の会社で働くことは難しいという理由から、フルタイムの会社ではなく、パートタイムの会社で働くことを選ぶ家庭もありました。
そのような状況を打破し、父母共にフルタイムで勤務する事を厭わない社会にしたいという目的から、この所定労働外の残業免除の条件緩和が導入されたと個人的には考えます。
本日は『2025年労働法関連法改正と企業の労務管理で対応すべき事①』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話ししていきたいと思います。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
社会保険労務士事務所Sun&Careerホームページはこちらです。
インターネットラジオ・ポッドキャスト番組「企業と従業員の働き方を考える 『社労士ラジオ サニーデーフライデー』」のリンクはこちらです。
社労士労務顧問、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター、ポッドキャスト番組制作等のご依頼はお問い合わせフォームまでご連絡ください。
Comments