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【第311回】『これからの雇用に退職金制度は必要なのか?』

  • 執筆者の写真: 田村陽太
    田村陽太
  • 5月15日
  • 読了時間: 5分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。




本日は「これからの雇用に退職金制度は必要なのか?」というテーマでお話ししたいと思います。




会社で従業員を雇用する上で、従業員のモチベーションアップや将来の安心、そして長期的な定着を考える際に、「退職金制度を設けるべきか?」というご相談をいただく事があります。



まず始めに、退職金制度にはいくつかの形があります。



例えば、自社で退職金規程を作り、勤続年数、退職理由、会社への貢献度

などに応じて退職金を支給する方法があります。



また、自社だけで積み立てるのではなく、中小企業退職金共済などの外部制度を活用し、

掛金を拠出して将来の退職金に備える方法もあります。




最近では、退職金制度を設けずに、その分を給与や手当として

前払いする考え方を取る会社もあります。



では、これからの雇用において、退職金制度は必要なのでしょうか?




私個人としては、会社の経営基盤や売上の安定性、どのような人材を確保したいかによって変わると考えています。




今回は、退職金制度を考える上で大切なポイントを3つ整理してみたいと思います。





① 売上が安定している会社は、退職金制度との相性が良い




まず、安定的に売上を確保できる業種や会社であれば、退職金制度は非常に有効だと思います。



例えば、



〇固定のお客様から今後も継続的に発注がある

〇毎年発生する定例業務がある

〇公益性の高い事業など、一定の売上が見込める




このような会社では、安定して業務を回す為に、従業員に長く働いてもらう事が前提かつ重要になります。




特に、従業員自身が新規営業をして売上を作るというよりも、既にある業務を安定的に遂行する事が求められる場合、会社としては人材の定着が大きな課題になります。




そのような場合、退職金制度は、この会社で長く働くメリットを従業員に伝える手段となります。




自社で退職金規程を作るのか、外部の共済制度を使うのかは、会社の資金力や運用方針によって変わります。




ただ、安定的な売上がある会社ほど、長期勤続を促す制度として退職金は検討しやすいと感じています。





② 成長途中の会社は、前払い型の考え方も合いやすい




一方で、これから事業を大きくしていきたい会社や、まだ固定的な売上基盤が十分に固まっていない会社の場合は、退職金制度をすぐに作る事が必ずしも最適とは限りません。




そのような会社では、将来の退職時にまとめて支払うよりも、

今の給与や手当に反映していく方が合っている場合があります。




例えば、



〇今の事業に必要な人材を採用したい

〇今の成果や貢献に対してしっかり報いたい

〇毎年求める役割や能力が変わる

〇事業の方向性がまだ変化しやすい




このような場合には、退職金として後から支払うより、給与・賞与・手当などで都度反映した方が、従業員にも会社の意図が伝わりやすい事があります。




つまり、退職金制度を設けるかどうかは、制度として見栄えが良いかではなく、

今の会社の経営ステージに合っているかで考える必要があります。





③ 大切なのは「何に対して報いているのか」を伝える




退職金制度があるかどうかに関わらず、私が一番大切だと思うのは、

会社が従業員に対して、何に対して報いているのかをしっかりと伝える事です。




雇用契約だけをシンプルに見れば、会社は従業員に業務を命じ、

従業員はその業務を行い、その対価として給与が支払われる関係です。




ただ、実際の仕事はそれだけではありません。




〇従業員がその会社に在籍してくれる事

〇会社の一員としてお客様や取引先と関わってくれる事

〇日々の対応を通じて、会社の印象や信頼を作ってくれる事




そこには、単なる業務遂行以上の価値があります。




退職金制度には、そうした「この会社で長く働いてくれてありがとう」という

報償的な意味も含まれていると思います。




だからこそ、退職金制度を作る場合でも、作らない場合でも、



〇この給与には何の意味があるのか

〇この賞与は何に対する評価なのか

〇この手当はどんな貢献に報いているのか




を、会社から従業員にしっかりと伝えていく事が大切です。



制度そのものよりも、会社がどのような考えで従業員に報いているのか

をメッセージしていく事が重要だと感じています。




まとめ|退職金制度は会社の経営方針に合わせて考える




退職金制度は、全ての会社に必ず必要というものではありません。



安定した売上基盤があり、長く働いてもらう事が事業運営上重要な会社であれば、

退職金制度や中小企業退職金共済の活用は有効な選択肢になります。



一方で、事業が成長途中で、求める役割や人材像が変化しやすい会社であれば、

給与や賞与で前払い的に報いる考え方もあります。




大切なのは、退職金制度があるかないかではなく、会社社が従業員に対して何を評価し、何に報いているのかを明確にする事です。



従業員に安心して長く働いてもらう為には、制度だけでなく、会社の考え方を丁寧に従業員に伝え続ける事が欠かせません。



サンキャリアとしても、会社の経営方針や人材戦略に合った賃金制度・退職金制度の設計をこれからも支援していきたいと考えています。




本ニュースをご覧になり、人事労務管理に関するご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。






執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。


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