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執筆者の写真田村陽太

【第34回】日本企業が海外駐在員の労務管理を行う上で重要な事(④海外派遣候補社員への海外派遣に関する説明・合意を取得する)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は【海外駐在員を派遣するまでの人事部がすべきステップ】の第四段階目、④海外派遣候補社員への海外派遣に関する説明・合意を取得する上で重要な事をお話致します。




第30回のニュースでお伝えしましたが、海外駐在員として派遣する際に転籍の形態でなく在籍出向という形での派遣を行う場合に関しては、従業員への合意は法律上必要ないという事になります。



しかし、日本とは違う異国の地で勤務する際には環境が様々変わりますので、会社からの一方的な説明だけでなく従業員が海外派遣に納得いくような合意をもらうようにすることが重要です。




その理由として、海外駐在員として勤務する上で大きく変わる環境の中で、給与・福利厚生以外に以下が挙げられます。



(1)日常生活


日本にいれば、自宅から会社に通勤する事が何気ない日常となって無意識に行っていたことが、海外駐在となると慣れない住居から慣れない職場まで通勤しなければならないという、一転としてストレスフルな日々を過ごすようになったと感じる方も多くいらっしゃいます。



街の景色や街行く人から聞こえる言葉が全く違ったり、飲食店に行っても自分が知らない言葉が飛び交い、例えば日本にいれば夜の居酒屋でサラリーマンから聞こえる自分の会社の悩みや文句を聞く事で、「私も明日から頑張ろう!」と気持ちを切り替えていたりという機会もない等、仕事での悩みの切り替えも出来ないという事も海外駐在員からよくある悩みとして聞きます。



(2)家庭生活


単身で海外赴任する方も海外駐在員には多くいますが、配偶者や子女を帯同して海外赴任する方も多くいらっしゃいます。海外に普段から慣れている方であれば海外生活もポジティブに楽しんでくれる方もいますが、初めての海外駐在で配偶者が大きなストレスを感じてしまったり、また子女の中には思春期等、精神的に多感な時期に海外経験をする事でその後の人格形成や価値観の構築等に影響したり等の事もあると海外駐在員の方から良く聞きます。



(3)労働条件


海外赴任前までは日本本社の従業員として部課の中で自身に割り当てられた業務を中心に仕事に取り組んでいた事が、海外赴任となった後は現地会社の重要な職務を担ったり、部下を持ち従業員を指導する側となったり等の現地業務を担うだけでなく、日本本社への業務進捗の報告や情報共有、日本からの顧客や重役の海外出張時のアテンド等の日本本社との業務も継続して行われなければならない等、業務量が一気に増える事も多いです。



海外赴任となった途端、想定していたよりも日本で担っていた業務量が2倍3倍に増加したと感じる海外駐在員の方も多くいます。



上記のように海外赴任すると環境が大きく変わるので、海外駐在対象者に対して海外赴任前にそのような事を事前にイメージしてもらう事が非常に重要です。特に出張ベースで頻繁に海外の顧客と商談していて海外駐在に今すぐ行きたい、海外駐在しても大丈夫だと思っている方に関しては、海外赴任する事で意識のギャップがある方も多いので、丁寧に人事部が説明してあげる事が重要です。



出来れば海外駐在経験者も交えて自身の海外赴任経験談を意見交換できる機会を設ける事が重要です。また海外駐在者の不安の一つとして「海外赴任後の自身のキャリアがどうなるか」が良く事例としてあります。出来れば海外駐在経験者と人事部、海外駐在対象者の三者で面談して質疑応答が出来る機会を設けてあげると、海外駐在対象者も安心して海外赴任に気持ちを切り替えてくれる事に繋がるので重要です。



以上で、海外派遣候補社員への海外派遣に関する説明・合意の取得を行う上で重要な事をお話しました。次回は居宅探しや日本人学校探し等対象従業員・扶養家族の生活支援等サポートする事について重要である事を詳しくお話していきたいと思います。






執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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