• 代表 田村陽太

【第37回】日本企業が海外駐在員の労務管理を行う上で重要な事(⑦給与支払いや健康保険の療養費申請・税務手続き等の毎月の税務・労務管理)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は【海外駐在員を派遣するまでの人事部がすべきステップ】の第七段階目を行う上で⑦給与支払いや健康保険の療養費申請・税務手続き等の毎月の税務・労務管理を行う上で重要な事をお話致します。



海外駐在員を派遣する前に、駐在時の基本給や諸手当(ハードシップ手当、家族帯同手当、単身赴任手当、時間外手当等)に関して社内で制度構築を行い、対象駐在員と合意の下給与を支給する事となりますが、給与の支払い方は非常に複雑です。



日本本社から駐在員が所持している口座に振り込むのか、海外現地法人から振り込むかによっても違いますし、また海外駐在員の日本での口座に振り込むのか、海外で作った口座に振り込むのかによっても、税務的に違いが出てきます。



日本本社での籍は残しつつも海外駐在員として勤務するという事で、日本の国税庁としては適切な給与支給でなおかつ駐在員の所得税の納付逃れがないように、現地法人から適正な支給をしているのか、給与の支給の流れが明確な形なのか(振込明細や出向先の現地法人と日本本社間での支払契約書が交わされているのか等)を非常に厳しく管理しております。



ですので、駐在員に対して給与を支給する際には、本人の家族構成や滞在時の生活における必要経費がどうなのか等、従業員との面談も適度に重ねながら、滞在する海外での現地法令を遵守し、企業や駐在員が余分な時間や経費等のコストをかけず、また事務手続きが煩雑にならないように多角的な視点で注意する必要があります。



また海外駐在中に駐在員が負傷したり、病気にかかったりした際の医療対応をどのようにすれば良いか、実務で悩まれる企業も多いです。海外駐在員と日本本社との雇用関係が継続している場合には会社で加入する健康保険を利用して、海外駐在中のケアにかかった費用を保険請求するとしている企業もあります。



ただ、海外駐在中の負傷に関する健康保険の利用に関しては、原則駐在員の立て替え前払いとなり、後日自己負担額を除いた金額が返金となる等時間的・キャッシュフロー的な事がネックとなる一つです。また日本の保険診療を利用できる海外の医療機関によっては、選択できる機関が限られたり、医療機関での待ち時間が多大になる事から、日本の健康保険を利用する事で反対に療養費用の申請をすることが大変になる事もよくあります。



ですので、公的な健康保険に加入するだけでなく、民間の海外旅行保険に加入する事を検討する事も選択肢の一つです。ただ、海外旅行医療保険でも医療対象外となる歯科医療、妊娠、出産、持病の治療等に関する費用負担を会社でどこまでの金額を支給するかを検討しなければなりません。



日本で加入している公的健康保険と海外旅行保険での補償額で賄えきれない金額を会社でいくらまで支給するか検討する際には、国内勤務者と海外駐在者との福利厚生のバランスや対象海外駐在員の治療歴や赴任時の年齢、通常生活における素行を考えた公平な補償金額の設定、赴任国での医療水準レベルがどの程度か等を総合的に考える事が重要です。



また海外赴任中の治療費が増大にならないように、予防の観点で栄養管理や健康管理用のWEBアプリケーションの提供やスポーツジムの会員権等の福利厚生を会社で積極的に支給していく事も重要です。



また海外駐在中に持ち家や土地を第三者に貸与して家賃収入等を得る場合には、日本国内での確定申告が必要になったり、また持ち家の購入の際の住宅ローンによる所得税控除を利用していた駐在員に関しては、海外駐在中に住宅ローン控除利用中断手続きが必要になったりと日本国内で税務手続きが発生する事もあります。



その際には日本国内で発生する税務手続きをお願いする納税管理人を選任する必要があります。海外駐在員の親族や会社の顧問税理士に依頼する事が多いので、海外駐在中に発生しそうな税務手続きがあるかどうかを次期駐在員に詳細にヒアリングし、会社でどのように税務手続きに関わるかを考える事が重要です。



以上で、給与支払いや健康保険の療養費申請・税務手続き等の毎月の税務・労務管理を行う上で重要な事をお話しました。次回は⑧海外駐在員の日頃の健康管理・メンタルヘルス管理をする上で重要な事を詳しくお話していきたいと思います。

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