こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は海外駐在員を抱える日本企業が課題としている「海外駐在員が現地活動を成功させるために重要な事(営業編)」をお話させていただきます。
海外駐在員が赴任国で新規営業案件の獲得、既存顧客のフォローを行っていく事で海外事業の売上を確保していく事が求められます。
国内の顧客に営業する事と海外の顧客に営業をする事では、現地国の産業や経済状況の違い、現地駐在員の考え方の違いにより、営業手法が異なるため、海外駐在員として赴任して最初の内は「どう営業したら良いか?」戸惑いを持たれる方も多いかと思います。
「営業」とは①自社の商品・サービスの強み、提供できる事を明確にし、②顧客のお悩み事・ニーズを詳しくヒアリングし、③いかに顧客のお役に立てるかを自信持ってPRする事だと私個人的には考えております。
海外の顧客に対して営業を行い、海外事業の売上を確保する事も日本での営業と同様①→②→③のプロセスをしっかりと回していく事が重要です。多くの日系企業の人事部は海外駐在員に対して海外営業におけるイロハをみっちりと研修する事はなく、派遣された海外駐在員の個人の経験や力量に任せてしまっている企業も多いです。
その理由として、主に日系企業の海外営業部署は海外現地法人の営業の補佐としての業務の重きが強く、直接海外顧客に営業を行うという機会が少ないにも関わらず、海外営業部というイメージから海外営業研修を行う必要がないと考える人事部が多いからです。
今回は人事部が海外駐在員に対して、海外顧客から営業案件を獲得する上で重要な事を指導・研修していく際のポイントをお話していきたいと思います。
まず①の「自社の商品・サービスの強み、提供できる事を明確にする」点ですが、企業の強みとなるポイントが海外の顧客にも魅力的に映るのかという点を一度海外駐在員と交えて打ち合わせを行う事が重要です。
例えば機械メーカーであれば、自社の品質や提供できる価値が海外の企業にとってオーバースペックの可能性も考えられます。日本企業の製品は壊れないし長持ちするので、製品原価や人件費が海外製品に比べるとかかってしまい、販売価格が高くなり海外顧客にとっては「もう少し安くしてほしい。」という率直な意見を聞きます。
海外の顧客にとって価格が優先事項であるのならば、5年、10年、20年と長期間で機械を利用して頂き、ランニングコストの視点から利用価値を高めてもらったり、現地顧客の製品利用後のイメージをする事の補助を行う等、海外駐在員が企業の強みを別の視点で見てもらって営業できるような支援を行っていく事が重要です。
②の顧客のお悩み事・ニーズを詳しくヒアリングするという事に関しては、海外のバイヤーの現状の課題や問題点、自社の製品・サービスを購入した後に将来的にどうなっていたいのかに関して真剣に聞きだす事が非常に重要です。
詳しく海外顧客からヒアリングするためには赴任国の産業や経済施策に関する知識等の情報収集も非常に重要ですが、まず何よりも海外顧客の話を真剣に聞く事が重要です。
相手顧客からの発言はどのような理由から行われたのか、過去の購買履歴と比較して言動に違いはないのか、将来的な希望するイメージは具体的にどうなのか等、顧客から多くの発言を引き出し、海外駐在員自身が具体的に利用イメージを想起できる状態の構築をサポートする事が重要です。
その為には相手の発言を深掘りできるように、定例的な疑問文(Can you please explain it to me in detail?)や、その疑問文を投げかけた上での思いや理由(「〇〇の理由を知りたいから△△の疑問文を投げかけているのです。」等)を必ず入れて話すように、海外駐在員に対して営業トーク研修を行う事が非常に重要です。
③のいかに顧客のお役に立てるかを自信持ってPRするかに関しては、今まで説明した①②をより幅広く、そしてより深く、様々な顧客の話題にも付いていく事が出来るように海外駐在員自身の引き出しを増やしておく事が重要です。これは①よりも②の相手のニーズの聞き出し力が何よりも重要です。
海外顧客への営業は最初の面談での信頼関係構築、つまり初期対応が非常に重要です。多くの海外顧客と面談を重ねる事で新規顧客ともスムーズに話す事が出来るように、定期的に人事部で英語での話し方に関しての研修や製品・サービス知識の研修等のフォローアップをする事が良いです。
以上、今回は「海外駐在員が現地での営業活動を成功させるために重要な事(営業編)」をお話させていただきました。次回以降のニュースもどうぞよろしくお願い致します。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。
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