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執筆者の写真田村陽太

【第51回】海外企業との接点の作り方(他者開拓 前編)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日のテーマは、これから海外マーケットで事業を行っていく中小企業が、海外案件を獲得していく為に重要な「海外企業との接点の作り方(他者開拓、前編)」についてお話していきたいと思います。



自社の事業概要や強み、顧客の課題に対してどのように問題解決していくかを自社でどのようにPR・ブランディングしていけば良いかの具体例を前回お話させて頂きました。



自己開拓の方法は、自社について詳しく事業を知った上での商談となるので、事業の親和性が高い分野であれば受注に繋がる可能性が高く、顧客との信頼関係作りも一度上手くいけば長続きしやすい等のメリットもありますが、より多くの海外企業の目に触れてもらうチャンスは少ないというデメリットもあります。



その為、海外ビジネスを攻略したい企業は、海外顧客との接点作りでもう一つ重要な方法である、「他者開拓」の手法を学ぶ必要があります。「他者開拓」とは字のごとく、自社の事業活動や強みを他者である第三者にPRしてもらい、海外顧客に働きかけて海外とのビジネスを築いていくものです。



自己開拓で海外事業を開発していく事は、自社の強みを一番知っている状態で相手顧客の課題解決をする為、自信を持って海外企業との商談に望めます。



一方で「売りたい売りたい」が強くなり、海外顧客から商談途中に距離を置かれてしまったり、また値段の交渉の際に足元を見られてしまったりと、想定している販売価格よりも安く値踏みされてしまう事も良くあります。



ですので、現地の海外企業の事業概要や商談スタイル等海外顧客について詳しい第三者や、また海外の国々と深く付き合いがある公的機関を通じて自社の製品やサービスを販売する他者開拓は、海外ビジネスを攻略する上でアプローチすべき有効な手法です。



「他者開拓」の具体的な方法としては以下が挙げられます。



①国内の商社に販売してもらう

日本国内で海外向けの取引を扱っている商社に依頼し、海外顧客への販売を推進していく事も一つの手法です。商社の中にはあらゆる製品を扱い、また最近では投資等を絡めた事業プロジェクトのハンドリングも手掛ける「総合商社」と、分野や製品、業種を絞って取引を行っている「専門商社」の二つがあります。



日頃取引のある商社があれば、その会社の担当者に海外取引の可能性に関して相談してみる事が重要です。また今までに一度も商社と取引をした事が無い企業であれば、まずは自社の事業分野の親和性が高い専門商社とお付き合いを始める事が良いかと個人的には考えております。



総合商社とのビジネスは、後程説明する現地海外代理店を通じたプロジェクトベースでの引合からビジネス上のお付き合いに発展する事が良くあります。



商社との付き合いに関しては海外企業との接点が増える事や海外輸出等の貿易実務に関する手間が省けるというメリットもありますが、海外企業との商談の進め方を自社でハンドリングする事が難しいという一面もあります。



日頃から会社が海外企業と商談する上で譲れないポイント(値段やロット等)を整理して、商社の担当者と密なコミュニケーションを行っておくことが非常に重要です。




②現地代理店を通じて海外顧客に販売してもらう

海外にも日本の商社と同じように、国内だけでなく日本等の海外製品・サービスを扱う代理店企業が多く存在します。自社の事業内容や扱う製品と類似した製品を扱っている現地企業に代理店事業を担当してもらう事も他者開拓アプローチの一つの手法です。



現地代理店を通じてビジネスを行うメリットとしては、現地の海外企業との接点を多く持ち、また現地企業の評判や財務状況等、日本国内では深く取得できないような情報を多く握っている為、海外取引がよりスムーズにいく事があります。



また自社の製品が大型機械や精密機械等の現地での細かなメンテナンスや調整が必要な製品であれば、サービスメンテナンス対応を請け負ってくれる現地海外企業もあり、海外顧客のサービス満足度を高める事にも繋がります。



デメリットとしては、日本企業だからこその製品・サービスについての理解が乏しく、海外企業との取引の際も、「商品の質」ではなく「価格勝負」のような値段交渉に重きをおく商談となってしまう事が良くあります。



また、口銭(マージン)や契約の内容によっては、精力的に自社の製品を現地で販売してくれない等、国内の商社と取引するよりも定期的な打ち合わせや進捗管理等の業務が発生する事もデメリットの一つです。またどこかの回で、「良い海外代理店の見つけ方」に関してもお話したいと思っておりますので、ぜひお楽しみにしていてください。



本日は「海外企業との接点の作り方(他者開拓 前編)」についてお話しました。次回も続編で他者開拓後編をお話させて頂きます。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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