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執筆者の写真田村陽太

【第60回】海外市場での商品・サービスの価格設定(後編)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日のテーマは、「海外市場での商品・サービスの価格設定(後編)」についてお話していきたいと思います。



今回は、既に日本企業が海外現地法人の工場を設立しており、現地で部品や工具等を製造して直接海外現地顧客に販売する際の価格設定に関してお話してきたいと思います。



現地法人が海外顧客に販売する流れとして、さらに二つに分けると

①現地の部品会社から物資を輸入し、現地法人で製造し、現地顧客に販売する

②日本本社から部品を輸出してもらい、現地法人で組み立て、製造し、現地顧客に販売する



が考えられます。


上記①の場合は、現地で物資を輸入し、製造するという流れなので、日本国内で製造し、国内顧客に販売するのと同様、海外顧客が望む価格と品質のニーズを事細かく調査し、価格付けを行っていく必要があります。



➀の場合、日本企業に販売する場合と現地海外顧客に販売する、どちらの可能性にしても相手顧客の求める品質は必ず応えるようにしなければならないのはもちろんです。そして海外の国によっては、製品を製造する際に規制する法律が日本と比較して緩い国もあるので、販売先が現地顧客だったとしても、最終的な納品先が他の海外の国となり、製造元である現地法人が後に納品先から製造物責任違反として摘発される可能性も十分にあります。



ですので、価格設定をする際にはただ単に原価や他現地企業の価格動向を反映した値付けを行うのではなく、販売先である海外企業の使用前後の利用動向調査を含んだ価格設定を行う事が非常に重要です。



具体的には、発注元の企業がどれくらいのロット数で発注するのか、品質に対してどの程度まで水準を求めるのか、それを確かめるために試作や品質テストを行うのか等、発注元企業から製品を受注するための値付けではなく、長期的に信頼のおけるビジネス関係を構築してくれるのかを加味して、商品の価格設定を行う必要があります。



②の場合は、製品の輸入を日本から行い、現地法人で加工し、現地企業に販売するという流れであれば、グループ会社である日本本社からの輸入価格も適正に価格設定を行う必要があります。「移転価格税制」という税金の制度があり、本来は日本企業が直接海外に輸出して日本の売上とするものを、あえて海外子会社を設立し、安い価格で海外子会社に輸出し、現地で組立・製造し海外顧客に販売する事で、日本の売上ではなく海外の売上を高めて、日本での課税を逃れる事が無いようにする制度です。



よって、あまりに安い価格で日本本社から輸入する事が規制されてしまうので、そのコストを含めた価格設定を行う必要があるので、海外現地顧客への販売競争力は低くなります。



ただ、海外顧客から輸入するのではなく、日本製の部品を輸入する面で品質的に保証されているというイメージがつき、日本製の品質担保を海外顧客にPRする事が可能という面で大きなメリットがあります。



また、海外の国によっては、外資の現地法人が海外現地顧客に販売する際に、現地人100%で出資された会社を代理店として経由してでないと海外現地顧客に販売できないという規制がある国々もあります。



その場合は代理店に支払う口銭を含めたコストも反映した価格設定を行わなければならない点も企業として注意しなければなりません。



本日は「海外市場での商品・サービスの価格設定(後編)」についてお話しました。海外顧客にとって日本製品は海外顧客が求める品質を過剰に超えたスペック(オーバースペック)だと思われる企業も少なくありません。



ただ、10年20年と長期的に利用した際の耐久性やクレームや損害賠償を防止できるという安全性に関して日本製品は大変優れているので、必ず企業として海外顧客に販売する上での価格設定をする際には、万が一のトラブルが起こった際の経費を計上し、販売価格に反映させ、そしてその算出根拠を海外顧客に対して明示するようにすることが重要です。



次回以降のニュースもどうぞよろしくお願いします。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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