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  • 代表 田村陽太

【第75回】貿易実務書類の準備方法(輸入編➀)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日のテーマは、海外企業から製品を輸入する際に書類作成の必要がある「貿易実務書類の準備方法(輸入編➀)」についてお話していきたいと思います。



以前のニュース第53回~56回までで日本企業が輸出する際に準備すべき貿易実務書類に関してお話しました。今回はその反対のケースで、輸入する際に取り交わしておくべき書類に関してお話していきたいと思います。



➀信用調査レポートの発行



輸入先企業の製品ラインナップや価格帯、オプション等をホームページで情報収集した後、輸入したい企業が倒産する恐れがないのか、製品の品質を高める為の開発費や製造費等に資金を捻出できているか等の状況把握をすべく、信用調査を行う事が重要です。



会社のバランスシート(貸借対照表)や損益計算書等から何に対して企業が投資しているか、資金繰り等で問題なく稼働できているか等のある程度の輸入先企業の経営診断を行う事が出来ます。



また、売上高の推移や投資目的等から国内・海外どちらに今まで事業戦略の重きを置いてきて、今後はどのように進めていきたいかの相手企業の戦略や意図もある程度サーチする事が出来ます。



事前に相手企業(輸出側の企業)が考えるべき行動を予測し、メールやオンライン面談でのやり取りの際にそれを踏まえてコミュニケーションを取る事は交渉において非常に重要な事ですので、信用調査は今後の交渉の為にも必ず行っておくことが重要です。



②秘密保持誓約書(NDA)

製品を輸入する際に、製品のキャパシティが自社の工場や事務所等の環境の設置基準を満たしているかを確認するための個人情報を取得したり、また製品のソフトをインストールする際に自社にとって重要な情報を開示しなければならなかったり等の、輸出側企業へ不特定多数の情報開示を行う必要がある場合は、第三者への情報漏洩防止やサイバーセキュリティ対策の為、秘密保持誓約書の締結を行う事が重要です。



その際には、第54回のニュースでも記載していますが、開示対象者は誰か、対象となる秘密情報は何か、その場合の罰則や適用除外は何であるのか等事細かに定義する事が重要です。そして、NDAを締結する際には、相手企業よりも早く自社のひな形を作成し相手側に提供するのが良いです。



その理由としては、

➀自社に有利な条文の記載で誓約書締結までの交渉をハンドリング出来る

②NDAの添削は膨大な時間がかかるので、時間的労務的コスト削減となる

③コストや時間的な制限から、ある程度不利な条件でもNDA締結に応じてくれる



事が挙げられます。



また、NDAには片務的NDA(輸出者、輸入者どちらかが責任を負うもの)と双務的NDA(輸入者、輸入者どちらも秘密保持の責任を負うもの)の大きく2つパターンがあるので、どちらで進めていくかも誓約書の中身や状況を見て判断していく必要があります。



仮に片務的NDA の形式で、輸出者から輸入者へ秘密情報保持義務を依頼された場合、NDAの締結の上で、輸入者が意識すべき事は、契約書に記載されている事項のみに関して責任を負う(法律用語で限定列挙と言います。) 形式で誓約出来る事です。



反対に輸出者としては、契約書に記載されている内容以外の事例に対しても責任を負わせる(法律用語で例示列挙と言います。) 形式で契約出来る事を意識すべきです。



輸入者としては、契約書で義務とされたことのみを遵守するように、責任範囲を出来るだけ小さくしてNDA締結の交渉を行う事が重要です。ただ、NDA締結のトラブルとしてよくある事は、条文や規定に一切掲載されていなかった、NDA締結の当事者どちらもその損害が通常発生するとは予見できない場合の損害(特別損害といいます)が起きた際の対応をどのようにするかという事です。



あらゆるリスクを想定し、そのようなトラブルが起きた際の対応をどうするかについてもNDAに含めるかという交渉をむやみに続けてしまうと、契約書の記載内容が膨大になり、輸入者、輸出者共に契約の遵守内容にチェックに労力やコストがかかるので、あまりに指摘しすぎて藪蛇にならないような契約内容の交渉を行う事が非常に重要です。




今回は、「貿易実務書類の準備方法(輸入編➀)」に関してお話させて頂きました。次回は続編で貿易実務書類の準備方法(輸入編②)についてお話していきたいと思います。