こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
今週も前回の続きで、今年の9月に、福岡県福岡市を拠点に海外取引や資金調達が得意な税理士として活動されているオルケスタ税理士法人代表社員の山下久幸さんのYoutube番組「会社と社長のお金を増やすチャンネル」にゲスト出演させて頂きました内容の『人事労務シリーズ2回目 解雇・退職・パワハラなど気をつけること』の前編の放送後記を語っていきたいと思います。
Youtube番組の内容を聞きながら読んでいただけると、より理解が深まると思いますので、下記にリンクを掲載しておきます。
Youtube番組 「会社と社長のお金を増やすチャンネル」
『人事労務シリーズ2回目 解雇・退職・パワハラなど気をつけること』のリンクはこちらです。
https://youtu.be/WjSdqQ4-NxE
◆解雇手続きについて
従業員から会社に対して雇用を中断したいと申し出る事を「退職」、会社から従業員に対して雇用を中止したいと申し出る事を「解雇」と言います。「退職」については、原則退職日の2週間前までに従業員が申し出れば退職する事は認められています。
ただ、「解雇」に関しては過去の裁判例を見ていても、会社としては正当な手続きを取っていたと思っていても後から解雇無効になってしまったり、不当解雇という事で労働組合から多額の解決金を要求されたりと、解雇の手続きを実際に会社が行う事は要件的に非常に厳しい点も多々見受けられます。
労働契約法第16条では、「解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者を辞めさせることはできない。」と規定されています。つまり、当事者の使用者でも労働者でもない第三者がその「解雇」の話を聞いた際に、「その解雇はもっともだ。」と言えるような事由が無ければ解雇は難しいという事です。
解雇が妥当だと判断されるために、重点が置かれる項目として、
・労働者の行為が故意かつ悪質かどうか
・労働者の行動が会社にどれだけ損失や悪影響を与えているか
・会社がどれだけ従業員に対して改善の場を与えているのか
・その会社の改善努力に対して従業員がどれだけ改善しようとしているのか
等が良く見られます。上記が具体的にどうであったかの実態を使用者・労働者当事者同士のやり取りの証拠として残すために、就業規則の整備や就業規則で定められた懲戒処分の内容を書面で残す(反省文や面談結果を残しておく等)事が重要です。
放送内でお伝えしましたが、30日前の解雇予告もしくは30日分の解雇予告手当を従業員にお支払いすれば、会社が従業員を解雇する事は労働基準法上可能です。ただ、先述の労働契約法により、解雇が後から無効となる事もあります。
よって、解雇案件に関しては、労働基準法や労働者災害補償保険法等に基づいて適正に労務管理が出来ているかを指導する労働基準監督署でも事業主への相談対応は助言レベルとなるため、会社で万全に解雇を行うための手続きを踏んでいたと思っていても、いざ裁判で争った際に解雇無効になる可能性は十分に秘めています。
ですので、弊所がお勧めするのはまず会社の業種や社内の部署ごとにどのような労働トラブルが起きるかを想定しておき、そして仮に労働トラブルが起きた際の裁判の判決では、会社側にどれくらいの慰謝料や損害賠償請求が発生しているのかを知っておくことが重要です。
裁判所のホームページで裁判例を検索できるページがあるので、会社の「業種」や「職種」ごとに単語を入力し、どのような判決になったかを調べ簡単でも構いませんので理解しておくことを推奨します。
裁判例や裁判例を反映した就業規則策定に強い弁護士事務所や社会保険労務士事務所と顧問契約を結び、最新の情報収集や知識のアップデートする事も重要です。
本日は、『人事労務シリーズ2回目 解雇・退職・パワハラなど気をつけること』の前編の解説を行いました。次回は後編の解説をしていきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。
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