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  • 田村陽太

【第85回】グローバル企業の安全配慮義務対策について


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は企業が従業員を雇用する上で、人事労務管理上取り組まなければならない「安全配慮義務」、特に海外関連の労務を行う上でどのように安全配慮義務を企業が遂行していかなければならないかについてお話していきたいと思います。



といいますのも、先日公益財団法人千葉県産業振興センター様からのご依頼で、昨年9月末から12月前半までの全6回に分けて、「職場における安全配慮義務 ~社員が辞めない組織をつくる~」というテーマで同センター様のメールマガジンの連載企画を担当させて頂きました。



公益財団法人千葉県産業振興センター様の連載企画のバックナンバーは下記となります。

https://www.ccjc-net.or.jp/contents_detail.php?frmId=3115



安全配慮義務の概要や安全配慮義務を円滑に遂行できない企業が将来的に抱えるリスク、そして企業が行うべき具体的な取組に関して、全6回でお話させて頂きましたので、お手すきの際上記リンクをご覧くだされば幸いです。



会社が従業員を安全に働かせる義務は、日本国内の日本人社員にとどまらず、もちろん日本企業に所属する海外駐在員や日本国内で勤務する外国籍社員にも適用されます。



例えば海外駐在員であれば、日本と時差が違う事で、仕事のスケジュールが違う事から起こる業務量の増加や、日本と商習慣や生活・文化が違う事で、業務が円滑に進まなかったり、仕事のオンオフが上手く切り替わらずリフレッシュできなかったりする事から、うつ病や精神疾患を抱えてしまう事等の海外での就業上のリスクが考えられます。



また、外国人社員に関しては母国にある企業と全く異なる日本企業の社風や業務の進め方で仕事をしなければならない事でのストレスの増加や、他の日本人社員とのコミュニケーション不足や日本企業で働くルールの理解不足等、言語や文化面での知識が足りない事から業務上の大きな傷害事故等労働災害を引き起こす事リスクも考えられます。



「日本企業で働くのだから、ルールや社風を理解して働いてもらう事は従業員の当然の義務だ。」や「海外の労務は世界各国それぞれルールがあるわけだから、日本本社が全部対応してたら大変だよ。海外駐在員に任せておいたら良いんだよ。」と考える日本企業様がいるかもしれませんが、それは大きな間違いですし、重大な危険性を抱えています。



例えば海外駐在中に起きた業務災害に関しては、基本的には海外赴任国の労働災害保険や民間で行っている保険に加入するのが原則ですが、特別加入と呼ばれる日本の労災保険を海外駐在員に適応させることは実務上可能です。



ただ、労災保険の給付内容に関しては支給限度があり、障害等級によっても給付金額に差があるので、安全配慮義務を怠っていた企業で働いていた従業員から慰謝料や損害賠償を別途請求されることがあります。



その場合、安全配慮義務違反に伴う債務不履行、注意義務違反に伴う不法行為、使用者責任等の民法上、労働契約法上の点から損害賠償請求の裁判を起こされることとなり、何百万円から何億円までの損害賠償額となる事も多々あります。



また外国人労働者が日本国内で起こした業務災害に関しては、日本国内の労働者災害補償保険から給付されますが、日本人社員と同様、労働基準法上の災害補償と呼ばれる使用者責任は果たす必要がありますので、別途慰謝料や損害賠償請求の裁判を起こされることがあります。


そして外国人社員が関わる業務災害のリスクで一番大きい事は、訴訟が長引く可能性が高いという事です。日本人と比較して海外は訴訟の習慣が一般で、権利意識が非常に高いです。日本人同士の感覚でしたら話し合いで済んでしまう話でも、外国人労働者ですと論理的かつ具体的な説明を使用者に求めてくる可能性が高いです。



その為、日本企業は外国人社員を雇用したり、海外駐在員を派遣して勤務させたりする場合にも「異文化で働く従業員が何に困っているか」「何を払拭してあげればより安全かつ就業意欲高く働いてもらえるか」を企業として一生懸命考えてあげる事が非常に重要です。



そして定期的に海外駐在員や外国人社員とコミュニケーションを取る事で、今働く上でおかれている現状や悩み等を社内で情報共有でき、それが企業がスムーズに適切な対処策を取る事に繋がる事で、企業の安全配慮義務を円滑に遂行する事が出来ます。



本日は海外関連の労務を行う上でどのように安全配慮義務を企業が遂行していかなければならないかを重点的にお話しました。安全配慮義務に関しては企業それぞれで行うべき対応や解決策が大きく異なります。よって、安全配慮義務への対応で困ったことがあればお気軽に弊所までご相談くだされば幸いです。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)


産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。


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