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執筆者の写真田村陽太

【第8回】外国人を企業で雇用していく為に(⑤雇用契約を結ぶ)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。


本日のテーマは「⑤雇用契約を結ぶ」についてお話させて頂きます。


面接に来た外国人の求職者を採用しようと決定したら、次に雇用契約の締結の段階へと移ります。外国人社員との雇用契約に関しては、原則的に日本人社員と締結する内容と一緒ですが、外国人に契約内容を漏れなく伝達する上で注意しなければならない点が沢山ありますのでこれからしっかりとおさえていきましょう。




【1.従事すべき業務の内容を明確に説明】


外国人社員を正社員として雇用する会社に関しては、「総合職」と記載したくなるかと思いますが、日本企業特有の配置転換やジェネラリスト育成が制度的に外国人社員に理解されにくく、自身は営業職で就くと思っていた外国人社員が、人事部や経理部等の他の部署に異動した際に、認識の違いでトラブルになる事も多々あります。



日本の人事制度や評価制度を加味した配置転換のルールをしっかりと外国人社員に説明し、ただ単に「総合職」として記載するのではなく、「労使の希望や状況に応じて社内の職務に総合的に就いてもらいます」と記載するのも書き方の一つかと思います。


【2.休日、休暇に関する事に関して】


会社の休日は年間何日か、定例の曜日で休日があるのか、年間カレンダーで休日数が決まっているのか、計画的に有給休暇を消化する仕組みを導入しているのかどうか等、自身の休暇の権利がどれだけあるのかを外国人社員に対して明確にするのが大切です。



外国人社員は日本人社員と比べて労働契約に関する権利意識が非常に強いです。特に言われなくても有給休暇を積極的に使いたいという方は外国人社員に沢山いますが、労働基準法で定められている事項、ルールに関してはしっかりと熟知して企業側が運営している事を外国人社員に事前に伝える事は労使の関係を円滑にするのに非常に重要です。


【3.残業をすること、させる事に関して】


外国人社員は日本人社員と違い、「上司がまだ残業しているから残業しよう。」や「新入社員だから定時に帰るのは申し訳ない。」等の情に流されて働いている社員は極めて少数です。


労働契約で決まっている業務や就業時間が終わればすぐさま帰宅し、プライベートときっぱり区別するのが当たり前の文化です。労働契約の締結の際にも残業をさせる可能性がある事を伝え、時間外・休日労働に関する協定(36協定)という個別の労働契約以外の、別の協定で外国人社員に残業をさせる権利があるという事もしっかりと説明する事が重要です。




【4.税金等の給与控除に関して】


外国人社員が「総支給額」と「手取り額」の違いをしっかりと認識しておらず、当初想定していた給与が振り込まれていない事からトラブルに繋がる事が良くあります。



海外では従業員は給与を会社からもらった後、自身で各種税金や積立金の支払いを行うのが多いので、会社から振り込まれる額が労働契約上の給与額と異なる事に違和感を抱く事が多いようです。



日本独自の保険料控除(社会保険料や源泉所得税、住民税の控除)や積立金控除(財形貯蓄、旅行積立)に関しても事前に説明をしっかりと行い、日本独自の税金徴収システムである事等も含めて説明をして、外国人社員に理解してもらう事が重要です。


【5.各種保険に関して】


就業形態、就業時間に応じて必ず加入しなければいけない公的保険と、自身で任意で加入しなければならない民間保険の違いをしっかりと説明しておきましょう。



特に公的保険(労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険)に関してはなぜ必ず加入しなければならないのか、加入すべきことのメリットまで事前に契約締結の際に説明する事が重要です。


本日は外国人社員との雇用契約を締結する際の重要な事に関して語りました。書面だけでなく、従業員本人とのコミュニケーションを含めた契約締結が大事である事が理解いただけたかと思います。次回もこの続きをお送りいたしますのでお楽しみにしてください。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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