こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日のテーマは、従業員に海外出張をさせようと考えている企業が労務管理を円滑に行う上で必要なプロセスの二段階目である、「②海外事業対象国の治安、地理、医療体制、文化等に関する調査」の重要性についてお話したいと思います。
海外出張に行く目的として良く考えられるのは、(1)顧客との商談(2)展示会出展(3)工場、販売代理店の視察かと思います。各ケースにて考えられる治安、地理、医療体制、文化の知識が習得できていなかったことによる事業活動におけるリスクについて簡潔にご説明させて頂きます。
【治安】
・ホテルから顧客の会社へ直行する場合にタクシーを利用する際には、必ずホテルと提携しているタクシーもしくはライセンス登録がしっかりしているタクシーを利用する事が重要です。
ホテルの敷地外で客待ちしているタクシーや道路を流しているタクシー等は出来るだけ利用しないようにしましょう。タクシーでの誘拐事件や身代金要求目的の拘束トラブル等が多発している地域もあるので、出張に行く地域がそのようなトラブルが無いか治安の確認をしましょう。
・人が多く集まる場所(展示会場、イベント会場等)では地域によっては、自爆テロや放火等の事件が起こる事もあります。事前に地域的な宗教等の対立の有無や宗教上での重要な日(イスラム教における安息日の金曜日等)を確認し、ニュースを見たり、代理店社員からヒアリングしたりして、綿密な情報収集をしましょう。
【地理】
・スコールやゲリラ豪雨等の雨季の雨量が激しい地域、地震多発地域で顧客と商談する際には交通渋滞の影響で客先への訪問時間が大幅に遅れたり、万が一向かう事ができなかったりという事もありますので、時間管理には注意しましょう。
また、場所によっては交通機関が全く整備されていない地域もあり、現地の移動手段を確保するのも難しい地域があるので事前に確認しましょう。
・日本の気候と違い、夜になっても40℃近く気温が高い状態で、かつ非常に乾燥している国もありますので、体調管理には十分に注意しましょう。
【医療体制】
・宿泊先、販売代理店、顧客の所在地付近の信頼できる医療機関の候補を見つけて必ず情報共有しましょう。万が一情報収集しにくい場合は信頼できる販売代理店に問い合わせる、現地日本国大使館に問い合わせましょう。比較的規模が大きい地域の大使館では外務省医務官が常駐している所もありますので、適切な情報が得やすくなります。
・展示会場で機器の設置や試運転作業等、代理店と一緒に作業を行う際には労働災害にも注意しましょう。海外出張中でも労災の対象となれば申請できますが、基本的には被災者が立替えて後から労基署に費用の請求をして医療費の返金となりますので、一時的に多額の費用の前払いが必要となるので事前に従業員に周知しておきましょう。
【文化】
・現地顧客との商談後に食事を一緒にする事がありますが、必ず市販のペットボトル飲料水を購入し、ペットボトルのフタが完全に閉まっている事を確認しましょう。また生ものは絶対食べず、加熱してある料理を食べましょう。
・海外での展示会出展の目的は名刺交換ではなく、商談を行う事です。展示会に対応すべき社員は契約決定の決裁権があり、製品・サービス知識がしっかりとした従業員を派遣しましょう。
うっかり軽はずみで展示会で話した内容(納期や入金条件、契約金額)が、契約内容に反映されてしまったりする等、国内での展示会出展以上に特に集中して商談に取り組むように従業員への周知を徹底する事が重要です。
以上となります。次回は海外現地の連絡体制、大使館等の公共機関、パートナーとの関係構築を行う上で重要な事をお伝えしますのでお楽しみにしてください。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。
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