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【第333回】『海外赴任の前に会社が本当に伝えるべき事とは?』

執筆者の写真: 田村陽太
田村陽太
5 時間前
読了時間: 6分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。




本日は『海外赴任の前に会社が本当に伝えるべき事とは?』というテーマでお話ししたいと思います。




日本企業が海外事業を展開する際、現地法人や海外支社に日本人社員を駐在させる事があります。




海外拠点では、日本の商品・サービスの品質やブランドを守る事に加え、現地社員の力を借りながら営業活動や事業運営を進める必要があります。




現地の商習慣や文化、人脈を理解し、海外拠点と日本本社の方針と繋ぐ事も、駐在員に期待される役割です。



ただ、会社にとって重要な海外赴任が、本人にとっても前向きな出来事とは限りません。




私自身は、海外で働く事や、外国の方々と一緒に仕事をする事に非常に魅力を感じています。



しかし、誰もが同じ価値観を持っているわけではありません。




仕事や家族の生活、言葉への不安などから、海外赴任に積極的になれない方もいると思います。



だからこそ、会社は「海外拠点に人が必要だから行ってほしい」という業務命令だけで終わらせず、なぜ赴任が必要なのか、本人にどんな意味があるのかを丁寧に伝えるべきだと考えています。




今回は、海外赴任の前に会社が伝えておきたい3つの事をお話しします。




① 海外赴任の目的を、経営の視点から伝える




まず大切なのは、海外赴任の目的をしっかり伝える事です。



会社として海外市場に進出するのは、現地での売上を増やす為かもしれません。




日本市場だけでは得られない顧客や技術、アイデアを見つけ、将来の事業に繋げる為かもしれません。



こうした経営上の背景を、赴任する本人にも説明する必要があります。




ところが実際には、



「現地社員をマネジメントしてほしい」


「現地で売上を上げてほしい」




という個別の業務内容や役割だけを伝えてしまう事があります。




もちろん、担当業務や目標を明確にさせる事は大切です。




しかし、それだけでは、海外で働く事が会社全体の中でどのような意味を持つのかが分かりません。




「なぜ今、この国なのか?」


「なぜ出張ベースではなく、海外拠点に人を置く理由は何か」


「そこで得た経験を、会社の次の成長にどう活かしたいのか」



こうした大きな目的が分かれば、本人も日々の業務を単なる指示としてではなく、自分で考えて進める仕事として捉えやすくなります。



海外赴任は、単に現地の仕事をこなす為ではなく、会社の経営戦略を実現する為の重要な役割なのだと伝える事が大切です。




② 帰任後も含めたキャリアを説明する




次に大切なのは、海外赴任が本人の将来にどう繋がるかを伝える事です。




海外駐在員の人事管理で難しいのは、赴任中の仕事だけでなく、帰任後の配置や評価まで考える必要がある点です。



海外で現地社員をマネジメントし、事業を動かす経験を積んだのに、帰国後にその経験を活かせる仕事がない。



そうなれば、駐在員本人は「海外に行った意味は何だったのか?」と感じてしまうかもしれません。



だからこそ、赴任前から駐在期間の目安、求める成果、身につけてほしい力、その先に想定する役割を共有しておく事が大切です。




例えば、現地法人での経営管理経験を、帰任後の経営企画や海外事業の統括に活かすという道も考えられます。



もちろん、数年後のポストを確約できない会社もあるかと思います。



その場合も、約束できる事と、現時点での見通しを分けて正直に伝えるべきです。



また、赴任させたら終わりではなく、赴任中も定期的に本人の希望や成果を確認し、帰任後のキャリアを一緒に考える事が重要です。



海外赴任を「片道切符」にするのではなく、本人が将来を見据えて挑戦できる状態を作る事が大切だと思います。




③ 通常の人事異動とは違う役割だと伝える




3つ目は、海外赴任が国内の配置転換とは異なる挑戦である事を伝える事です。




国内であれば、知らない部署に異動しても、日本語で相談できる相手や、過去の経験を共有できる人が身近にいる事が多いでしょう。



一方、海外拠点では、日本人社員が数人、場合によっては本人だけという事もあります。



現地の商習慣や文化、社員の価値観を理解しながら、その場で判断しなければならない場面も増えます。



本社から指示が届いても、現地の実態に合わなければ、状況を説明し、別の進め方を提案する必要があります。



だからこそ、駐在員には専門的な知識だけでなく、自分で考え、現地社員と信頼関係を築き、本社と交渉する力が求められます。



海外赴任は、単なる勤務地の変更ではありません。日本本社と現地社員の間に立ち、事業を動かしていく特別な役割です。



会社としては、その難しさを伝えた上で、現地で判断できる権限や相談先、生活面の支援も明確にする必要があります。



「特別な役割だから頑張ってほしい」と期待するだけではなく、会社も本人が挑戦できる環境を用意する。



この両方が必要だと思っています。




まとめ 赴任前に伝えるのは仕事内容だけではない




海外赴任の前に会社が伝えるべきなのは、



なぜ海外で事業を行い、なぜ本人に赴任してほしいのか


その経験が本人の将来にどう繋がるのか


通常の異動とは異なる難しさとそれを支える会社の体制




この3つです。



海外赴任は、会社にとっての経営判断であると同時に、本人の仕事や生活を大きく変える出来事です。



だからこそ、単に「行ってください」と命じるだけではなく、会社の目的と本人の希望をしっかりすり合わせる事が重要です。




私は、海外駐在員を送り出す事自体が海外事業の目的になってはいけないと思っています。



本人が現地で何を学び、その経験を会社と自分の将来にどう活かすのか。そこまで考えて初めて、意味のある海外赴任になるのではないでしょうか。




サンキャリアとしても、海外赴任前の説明から赴任中のマネジメント、帰任後のキャリア形成まで、会社と駐在員の双方が納得できる国際人事・労務管理を支援していきたいと考えています。



本ニュースをご覧になり、人事労務管理に関するご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。






執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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