こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日のテーマは、従業員に海外出張をさせようと考えている企業が労務管理を円滑に行う上で必要なプロセスの第七段階目である、「⑦海外出張ルート、タイムスケジュールの部署内共有」に関して重要な事をお話したいと思います。
海外営業を行っている国・地域ごとに部課編成を行っている企業が多いかと思いますが、出張社員のフライトスケジュールは把握しているが、出張日ごとの各社員の現地でのスケジュールを時間単位で把握している企業は少ないのが現状ではないでしょうか。
展示会のようなスケジュールが立てやすい行事の出張であれば何より、現地顧客との商談や工場視察・検収立会等になるとスケジュールが立てにくく変動的になるため、暫定的なスケジュールで各社員の出張動向を管理しているというのが現状という企業が多いです。
海外出張を行う社員の労働時間・労働環境を管理する上でのネックの一つとして、日本との時差があります。「時差の影響で本国での就業時間が終了した後でも出張社員が勤務している状態」という、本社の社員が出張社員の労働時間・労働環境を監視できない、「海外出張社員任せになる時間」が生まれてしまう事が海外出張社員の労務管理の難しさの一つです。
例えば本社の社員が一日の仕事を終えて退勤した後に、出張社員が現地で交通事故に巻き込まれたり、顧客の工場内で負傷してしまったり、顧客との飲み会でアルコール中毒になり病院に緊急搬送されたり等突発的な労災事故に遭った際の海外現地への連絡体制や指示が行き届かない可能性があります。
その為、以前のブログの第14回~第16回まででお話したように現地の販売代理店や大使館、医療機関との連絡に即座に対応出来るように、日別ごとの具体的な出張ルートや1時間ごとの日程を含めた出張社員のタイムスケジュールを綿密に作成しておきましょう。
例えば出張社員のスケジュールの中には現地国内移動の為に早朝出勤せざるを得ないスケジュールがあった際に、タイムスケジュールを作成する上で確認しなければいけないのが、
・本社での始業時刻までの出張社員の通勤・労働時間における具体的なスケジュール
・移動手段は何か(タクシー、現地代理店の社用車、飛行機等)
・本社の退勤時刻以降の出張社員の通勤・労働時間における具体的なスケジュール
・出張日ごとの勤務間インターバルの確保状態(顧客との飲み会やタイトなスケジューリングによる休息時間がしっかり確保できているか等)
が代表的な確認ポイントです。そして日本本社の始業時刻前や終業時刻後の、現地で出張社員が何か災害・トラブルに遭った際に本社が対応すべき事として以下のポイントが重要です。
・緊急連絡先(メールや電話番号等)の出張社員への共有
→現地でトラブルがあった際にまず本社へ連絡する体制の整備を行う。
・緊急連絡先担当者への出張社員スケジュール情報共有
→出張社員と緊急連絡先担当者が事前に面談をしておくことが望ましい。
・緊急連絡先担当者の社内業務フローチャートや業務マニュアルを作成しておく。
→トラブル別での現地提携連絡先、本社で準備するべき事項・情報をまとめたもの、人事担当・海外営業部員が出社後迅速に対応するために事前に現地出張社員に確認すべき事項をまとめたマニュアルを作成する事が重要です。
万一のトラブルが遭った際に迅速に日本本社で対応出来るように綿密な社内体制を整えていく事が重要です。弊所でも社内マニュアルや連絡体制整備のアドバイス等を請け負っておりますので、またお気軽にご連絡ください。
以上で「海外出張ルート、タイムスケジュールの部署内共有」において重要な事をお伝えしました。次回は海外出張時の密な連絡、相談体制を確保するために行う際の重要な事をお話します。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。
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