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  • 執筆者の写真田村陽太

【第124回】M&Aをする際にチェックすべき労務管理のポイント(売り手編、後編)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「M&Aをする際にチェックすべき労務管理のポイント(売り手編、後編)」についてお話します。



売り手側がM&Aに臨む際に労務管理の点で重点的に対応すべきことは以下が挙げられます。



【M&Aで重要な労務管理でのポイント(売り手側)】


① 法的に遵守すべき労務事項は必ず抜けもれないようチェックする

② 経営者・役員関係の社会保険加入等のチェックも忘れずに

③ どちらの言い分も通る労務管理事項については、エビデンスをしっかり残す



本日はその続きの③の説明と、買い手側の従業員のあるべき労務管理の姿に関してお話ししていきたいと思います。



③ どちらの言い分も通る労務管理事項については、エビデンスをしっかり残す



前回①では、各種法律で罰則が設けられている労務管理事項に関しては優先的に対処すべきであることをお伝えしました。一方で「明確に違反とは言えないが、従業員からの訴訟等によっては大きな労務管理違反となる可能性のある事項」についても買い手側としては事前にチェックしておく必要があります。



例えば、直近で退職者が多い職場ですと、


・無断欠勤後自然退職となった方

・会社からの解雇と読み取れる辞め方であっても自己都合退職となった方

・すでに退職済であるが本来未払い残業代等が発生していた方



これらに関しては、現在在籍する従業員ではない分、労務管理上今すぐ対応すべきではない事項かもしれないですが、万が一退職した従業員から「不当解雇」「未払い残業」請求があった場合に追加で対応すべき内容となります。



また最近では同一労働同一賃金の問題も挙げられます。


・非正規雇用(パート、契約社員)への各種手当が未支給

・嘱託雇用社員の基本給、賞与等の支給比率が著しく減少



等に関しても、法律上、「〇〇手当を支給しなければならない」「正社員に比べて〇〇%以上の給与水準を保たなければならない」等は無いが、同一の事例であれば非正規社員にも正社員と同一の待遇をすべきであるという裁判例も最近では出ています。



上記の同一労働同一賃金に関して万が一会社に対してクレームしてきた場合は、在職中、退職済であるに関わらず、売り手側の企業は相手側とのやり取りや資料準備、数回にも及ぶ話し合い等の負担が発生するのはもちろん、場合によっては解決金の支払い等も発生する可能性を秘めています。



解雇案件や同一労働同一賃金等の問題に関しては、各種労働法で企業に対して違反しないように法律上明文化されている項目もありますが、具体的な罰則まで規定していない項目も中にはあります。



また、それらの法律違反を犯したことにより具体的な慰謝料や解決金が発生するかのコストが具体的に見えない事から、今すぐに取り組む必要がないと考える企業がいる事も確かです。



ですが、本来の労務管理の目的は、「従業員から訴訟等の労務トラブルが起きるまでの予防をしっかりと行う事」です。「会社としては違反しているかも?」と少しでも懸念した事項に関しては、


(1)会社として最低限やるべきこと

(2)従業員からクレームされうる事項に関しての洗い出し

(3)会社が合理的に説明できるための資料準備



これらに関しては必ずしっかりと準備し、やっておくことをお勧めします。



本日は「M&Aをする際にチェックすべき労務管理のポイント(売り手編、後編)」についてお話しました。次回は「M&Aをする際にチェックすべき労務管理のポイント(買い手編、前編)」をお送りいたします。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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