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  • 執筆者の写真田村陽太

【第136回】こんな時どうする?Q&A~(役員報酬の決め方と社会保険料)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。

あけましておめでとうございます。昨年も大変お世話になりました。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。



本日は「こんな時どうする?Q&A~(役員報酬の決め方と社会保険料)」についてお話します。



年末や3月の年度末を迎えると、次期決算年の役員報酬を決定する時期として、役員報酬をいくらに設定すれば良いかというご相談を頂く事が増えてきます。



今回は、会社を経営している役員の方に役員報酬を支給する際の負担となる社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の仕組みと、それに応じた役員報酬の決定方法についてお話していきたいと思います。



まず役員の方が加入できる社会保険ですが、役員報酬をもらっている役員であれば、



労災保険(特別労災)・・・加入できる場合がある

雇用保険・・・原則加入できない

健康保険(介護保険)・・・加入できる

厚生年金保険・・・加入できる



というルールとなっております。ちなみにですが、労災保険に関しては中小企業の社長様で従業員を雇用しており、雇用している従業員と同じような業務をしている社長の場合は、加入できる場合があります。



そして健康保険と厚生年金保険に関しては役員報酬が支給されている場合は加入する事ができます。役員報酬額に応じて社会保険料の負担額が異なりますが、月額の役員報酬の額が一定を超えると、健康保険料と厚生年金保険料額が上限額の支払いで済むというルールがあります。その額とは、



健康保険料(介護保険料)・・・月額1,355,000円

厚生年金保険料・・・月額635,000円


です。



役員報酬が635,000円を超えると厚生年金保険料の負担はそれ以上増えず、1,355,000円を超えると、健康保険料の負担もそれ以上増えないというルールがあります。(2023年1月現在)



よって毎月の役員報酬が比較的高い役員の場合は、想定以上に健康保険料、厚生年金保険料の負担が少なくなっているというのはこのような理由からとなっております。



また賞与の支払いに関しても社会保険料の負担額の計算ルールがあり、


健康保険料(年間の賞与額)・・・573万円

厚生年金保険料(月額の賞与額)・・・150万円



を超えると、上記社会保険料の負担は上限額の支払いで済むというルールがあります。(2023年1月現在)



ですので、年間の役員報酬総額が大きい方は、

役員報酬だけで支給するパターンだけでなく、役員報酬+賞与という形で支給する事を考えるのも一つです。



賞与の額が一定額を超えると、健康保険料と厚生年金保険料の負担額は一定になるので、役員報酬+賞与の支給スタイル次第では、役員負担(本人負担)の社会保険料が減るのはもちろん、会社負担の社会保険料、子ども・子育て拠出金の負担も減ります。



その場合、役員に賞与を支給する場合は「事前確定届出給与」という税務上のスキームで対応する必要がある為、事前に税務署や顧問の税理士様にご相談いただく事が宜しいかと思います。



ただそれと同時にデメリットもありまして、本人負担の社会保険料の負担が減る事によって、役員の課税所得が増え、所得税や住民税額が増える事も懸念点の一つです。また会社負担の社会保険料の負担が減る事によって会社の利益が増える為、会社の法人税負担が増える事も懸念点の一つです。



役員報酬の支払いに関しては、社会保険労務士が関わる部分と税理士が関わる部分両方ともに支援してもらう場面が出てくるので、一度決算が終わりそうなタイミングで、社労士、税理士にそれぞれ相談していただく事をおすすめします。



役員報酬を支給する当時の役員の年齢やライフプラン、家族構成によっては、会社が支給すべき役員報酬の額も異なってきますので、一度ご相談くだされば幸いです。



本日は「こんな時どうする?Q&A~(役員報酬の決め方と社会保険料)」についてお話しました。弊所では、従業員を雇用しない役員だけの株式会社様等の法人の社会保険手続き、社会保険料シミュレーション等も行っておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせくだされば幸いです。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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