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【第316回】『海外駐在員と現地ローカル社員の理想的な関係とは?』

  • 執筆者の写真: 田村陽太
    田村陽太
  • 21 時間前
  • 読了時間: 6分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「海外駐在員と現地ローカル社員の理想的な関係とは?」というテーマでお話ししたいと思います。



日本企業が海外事業を展開する際、海外支社や現地法人を設立し、そこに日本人駐在員を配置して活動する事はよくあるかと思います。



日本から出張ベースで対応する方法もありますが、現地に拠点を置く事で、日々の営業活動や販売促進、メンテナンスがしやすくなります。



また、日本企業としてのブランドイメージを現地で伝えやすくなり、日本の商品やサービスが海外で流通する際の品質管理もしやすくなります。



その意味で、海外に拠点を設ける事は、単なる営業拠点づくりではなく、現地で信頼を積み重ねる為の重要な経営判断だと私は思います。



一方で、海外拠点を運営する際に難しいのが、日本人駐在員と現地社員の関係です。



一般的には、日本人駐在員が現地法人の責任者として赴任し、そこから現地社員を採用していきます。現地社員を採用する事で、現地の商習慣、人脈、税務、法務などの情報を得やすくなり、事業も進めやすくなります。



ただ、実務上は現地社員に任せながら、最終的な権限は日本本社が持っているというケースも多くあります。



ここに、日本人駐在員の難しさがあると感じています。



現地ではトップとして見られるが、本社から見れば一社員でもある。



この二つの立場の間で、どのように現地社員と向き合うかが、海外拠点の雰囲気や成果を大きく左右するのではないでしょうか。



今回は、海外での日本人駐在員と現地社員の理想的なバランスについて、私なりに整理してみたいと思います。




① 日本人駐在員は「現地のトップ」でありながら、本社の一社員でもある



理想を言えば、現地法人のトップである日本人駐在員が、現地で判断し、現地社員の意見を踏まえて事業を動かせる状態が望ましいと思います。



しかし実際には、人事、予算、給与、賞与、重要な契約、事業方針など、多くの権限を日本本社が持っている事があります。



その為、現地社員が日本人駐在員に意見を伝えても、最終的に本社から「それは難しい」と判断される事があります。



この状態が続くと、現地社員から見ると、日本人駐在員は「トップのようでトップではない人」に見えてしまいます。



自分たちの話を聞いてくれるけれど、結局は本社の判断で変わってしまう。



そう感じてしまうと、日本人駐在員への信頼や忠誠心を持ちにくくなります。



だからこそ、日本人駐在員には、現地のトップであると同時に、本社の一社員でもあるという二重の立場を自覚する事が必要です。



この立場を曖昧にしたままで振る舞うと、現地社員にも本社にも中途半端な説明しかできなくなります。




② 現地社員の声を本社に届ける姿勢が信頼になる



現地社員にとって重要なのは、自分たちの意見が必ず通る事だけではありません。



もちろん、給与や賞与、インセンティブ、業務改善など、自分たちの要望が反映される事は大切です。



ただ、それ以上に大切なのは、自分たちの考えや働きぶりが、日本本社にきちんと伝わっていると感じられる事です。



現地社員が一生懸命営業活動をしても、給与や賞与の決定権が本社にある場合、日本人駐在員だけでは報いる事ができない場面があります。



その時に、日本人駐在員が「本社が決めた事だから仕方ない」と言うだけでは、現地社員の気持ちは離れてしまいます。



大切なのは、現地社員の声を一生懸命聞き、本社に対してきちんと説明し、必要であれば交渉する姿勢です。



たとえ結果が変わらなかったとしても、「自分たちのトップは本社に伝えてくれている」と感じられれば、現地社員の納得感は変わります。



つまり、日本人駐在員は日本本社への単なる伝言係ではありません。



現地の状況、文化、商習慣、社員の努力を理解した上で、本社が判断できる形に翻訳して届ける事です。



日本人駐在員の価値は、ここにあると感じています。



現地で起きている事を本社が正確に理解できなければ、本社の判断もどうしても日本側の感覚に寄ってしまいます。だからこそ、駐在員は現地社員の言葉を単に報告するだけでなく、背景や温度感も含めて伝える必要があります。




③ 頭ごなしに否定せず、現地と本社の間に立つ



現地社員から要望や改善提案が出たときに、日本人駐在員が本社側の立場だけで「それは無理です」「会社としてできません」と頭ごなしに否定してしまうと、現地社員の意欲は下がってしまいます。



もちろん、本社の方針や予算上、会社としてできない事はあります。



ただ、その場合でも、なぜ難しいのかを説明し、代替案を考え、どこまでなら実現できるのかを一緒に探る事が大切です。



日本人駐在員は、現地社員をマネジメントする立場でありながら、日本本社と交渉する立場でもあります。



これは、同じ企業グループの一員でありながら、ある意味では別会社として本社と交渉していくようなものです。非常に難しく、心理的なストレスも大きい役割だと思います。



しかし、この役割を引き受ける事が、現地社員からの信頼に繋がります。



現地社員は、自分たちの為に本社と向き合ってくれる人を見ています。



自分たちの要望が通るかどうかだけでなく、その要望を真剣に扱ってくれているかを見ています。



まとめ 海外駐在員は「本社の代理人」ではなく「現地と本社を繋ぐ人」



海外拠点における日本人駐在員と現地社員の理想的な関係は、単に日本人駐在員が上に立ち、現地社員を管理する関係ではないと思います。



大切なのは、



日本人駐在員が現地のトップでありながら、本社の一社員でもある事を理解する

現地社員の声を本社に伝え、必要に応じて交渉する

頭ごなしに否定せず、現地と本社の間に立つ



この3つです。



海外拠点の運営では、本社の方針を現地に伝える力も必要です。そして、同時に現地の声を本社に届ける力も必要です。



この両方を持つ事が、日本人駐在員に求められる大切な役割だと考えています。



現地社員にとって、日本人駐在員は単なる上司ではありません。



自分たちの働きぶりを本社に届けてくれる存在であり、日本本社の考えを現地に分かりやすく伝えてくれる存在でもあります。



この橋渡しの役割を丁寧に果たせるかどうかが、海外拠点の信頼関係を大きく左右するのだと思います。



海外事業は、制度や拠点を作るだけではうまくいきません。最終的には、現地で働く人同士がどれだけ信頼し合えるかにかかっています。



サンキャリアとしても、海外駐在員や現地社員の関係作り、海外拠点における人事労務管理を、これからも支援していきたいと考えています。



本ニュースをご覧になり、人事労務管理に関するご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。


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