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【第314回】『子の看護等休暇と年次有給休暇、どちらを使うべきか?』

  • 執筆者の写真: 田村陽太
    田村陽太
  • 2 日前
  • 読了時間: 6分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「子の看護等休暇と年次有給休暇、どちらを使うべきか?」というテーマでお話ししたいと思います。



最近の法改正により、子の看護等休暇が以前よりも使いやすい制度になりました。



これまでは、急な子どもの発熱やけが、予防接種、健康診断といった場面で利用するイメージが強かったと思います。



しかし現在は、感染症に伴う学級閉鎖等への対応や、入園式・卒園式・入学式への参列といった場面でも利用できるようになっています。



育児中の方が、子どもの急な事情や大切な行事に対応しやすくなる事は、仕事と育児を両立していく上で非常に重要です。



一方で、実務上よく悩ましいのが、



「子の看護等休暇を使うべきか」

「年次有給休暇を使うべきか」



という問題です。



子の看護等休暇は、会社の規定により有給化する事もできますが、法律上は賃金の支払いまで義務づけられている制度ではありません。



その為、会社の規定で無給としている場合、月給制の方であれば欠勤控除の対象になる事があります。



そうなると、手取り額が下がる事を避ける為に、従業員本人が年次有給休暇を使いたいと考えるケースもあるでしょう。



では、会社としては、子の看護等休暇と年次有給休暇のどちらを使わせるべきなのでしょうか。



私個人としては、会社が一方的に「こちらを使いなさい」と決めるのではなく、制度の趣旨を丁寧に説明した上で、本人が納得して選択できる状態を作る事が何より重要だと考えています。



今回は、その理由を3つの視点から整理してみたいと思います。




① 年次有給休暇の趣旨を伝える




まず大切なのは、年次有給休暇の趣旨を会社がきちんと伝える事です。



年次有給休暇は、本来、労働者が心身の疲労を回復し、リフレッシュする為の制度です。



もちろん、実際の実務ベースでは家族の事情や私用、通院など、様々な理由で使われています。



ただ、会社としては、



「有給休暇は、労働者が体を休めて、また仕事にしっかり向き合う為の大切な制度です」



という考え方を改めて周知する事が大事です。



子どもの急な発熱や学級閉鎖の度に年次有給休暇を使い続けると、本来の従業員のリフレッシュの為に使える日数が減ってしまいます。



その結果、本人が休みたい時に休めなくなったり、疲労がたまったまま働き続ける事になったりする可能性もあります。



会社としては、単に「有給を使ってもいいですよ」と伝えるだけでなく、年次有給休暇には年次有給休暇としての役割がある事をしっかりと説明する必要があります。




② 子の看護等休暇の趣旨を伝える



次に大切なのは、子の看護等休暇の趣旨を伝える事です。



子の看護等休暇は、子どもの病気やけが、予防接種、健康診断、感染症による学級閉鎖等、また入園式・卒園式・入学式への参列など、子どもに関する事情に対応する為の制度です。



つまり、育児中の従業員が、子どもの事情によって仕事との調整が必要になったときに使う為の休暇です。



この制度がある事で、育児中の方は、急な事情が発生した時にも会社に相談しやすくなります。



ただし、会社規定上無給としている場合には、本人の手取りに影響する事があります。



そのため、実務上は、



「制度としては子の看護等休暇が使えます」

「ただし、会社規定上は無給の扱いになります」

「有給休暇を使う事もできますが、それぞれの休暇は制度の趣旨が異なります」



というように、本人が判断できる情報を整理して伝える事が重要です。



休暇は行使できるのであれば、もちろん従業員の権利ですが、権利を使う為には、制度の意味を理解している事も大切です。



③ 育児中の方だけでなく、全体の公平性も考える



子の看護等休暇を有給化するなど、育児中の方を支援する制度を整える事は非常に大切です。国の方でも両立支援等助成金で企業支援を行っています。



一方で、会社としては、単身者の方や子どもがいない家庭の方とのバランスも考える必要があります。



育児中の方だけが手厚く見えてしまうと、他の従業員から不公平感が出る事もあります。



もちろん、企業として育児と仕事を両立する方の支援をする事自体が悪いわけではありません。



ただ、制度を整備する際には、



子の看護等休暇を有給化するのか

別の特別休暇も整備するのか

介護や通院など、他の社員の事情にも対応できる制度を整備するのか

具体的に誰にどのような支援をするのか



といった全体設計が必要です。



会社は、従業員それぞれの生活事情に配慮しながらも、組織全体として納得感のある制度を作っていく事が何より大事です。



休暇制度は、単に休みを増やす為のものではありません。



働く人が無理なく働き続ける為の仕組みであり、同時に、組織全体の協力によって成り立つものです。




まとめ|どちらを使わせるかではなく、制度の意味を伝える



子の看護等休暇と年次有給休暇のどちらを使うべきかの問いに対して、私は、会社が一方的に決めるものではないと考えています。



大切なのは、



年次有給休暇の趣旨を伝える事

子の看護等休暇の趣旨を伝える事

組織全体の公平性も考えて制度設計する事



この3つを意識して、従業員の判断を仰ぐのが適切だと私は考えます。



休暇は制度としてあるのであれば、もちろん従業員の権利です。ただ、その使い方を完全に本人任せにするのではなく、会社や人事の目線から、制度の存在意義や周囲への影響を伝えていく事が大切です。



「この休暇は何の為にあるのか」

「自分が休む事で、組織はどのように機能出来ているのか」

「他の従業員とのバランスをどう考えて社内制度を作っているか」



こうした事を丁寧に共有する事で、休暇制度はより使いやすく、納得感のあるものになります。



サンキャリアとしても、育児中の方が安心して働き続けられる環境づくりと、組織全体の公平性が両立できる制度設計を、これからも支援していきたいと考えています。




本ニュースをご覧になり、人事労務管理に関するご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。







執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。


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