【第321回】『「休む事」への抵抗感を組織でどう変えていくか?』
- 田村陽太

- 1 日前
- 読了時間: 6分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『「休む事」への抵抗感を組織でどう変えていくか?』というテーマでお話ししたいと思います。
最近では、ワークライフバランスの重要性がよく語られるようになりました。
仕事だけに時間や体力を使うのではなく、心身を休めたり、私生活を充実させたりする事が、結果的に仕事への前向きな気持ちや、やりがいに繋がるという考え方も広がってきています。
また、年次有給休暇の取得促進や、育児・介護に関する休暇制度の整備など、国としても「休む事」を後押しする制度を増やしてきました。
ただ、実際の職場では、まだまだ休む事への抵抗感が残っていると感じます。
「自分が休むと周りに迷惑をかけるのではないか」
「休むと評価が下がるのではないか」
「休んだ後に仕事が溜まるくらいなら、休まない方が楽なのではないか」
このように考えてしまう方も少なくありません。
しかし、従業員が心身ともに健康で働き続ける為には、休む事への抵抗感を少しずつ変えていく必要があります。
今回は、休む事への抵抗感を変えていく為に大切だと思う3つの視点をお話しします。
① 周囲への影響に対する抵抗感を減らす
まず大きいのは、周囲への影響に対する抵抗感です。
同じ業務量の中で誰か一人が休めば、一時的に他の人の負担が増える事があります。
その為、本人は休みたいと思っていても、
「周りに申し訳ない」
「不満に思われるのではないか」
「自分だけ休んでいると思われたくない」
と感じてしまいます。
この抵抗感を減らす為には、会社や管理職からの明確なメッセージが必要です。
単に「休んでいいですよ」と言うだけではなく、
「〇〇さんが休む間、この部分をみんなでカバーしましょう」
「復帰した後は、今度は〇〇さんにこの部分を手伝ってもらいましょう」
というように、休む人と支える人の両方に対して説明する事が大切です。
休む事は、誰か一人のわがままではありません。
今は誰かを支える側でも、自分が体調を崩したり、家族の事情が出たりした時には、今度は支えてもらう側になるかもしれません。
この「お互い様」の関係を、精神論ではなく会社のメッセージとして伝える事が重要です。
② 評価や処遇への影響に対する抵抗感を減らす
次に大きいのは、休む事で評価や処遇に影響するのではないかという不安です。
法律上、休暇取得を理由に不利益な扱いをする事は問題になります。
しかし、実際の職場では、心理的に「休まずに出勤している人の方が頑張っている」と見られやすい面もあります。
特に、長時間働く事や、休まず出勤する事が評価されやすい職場では、休む事への抵抗感は強くなります。
だからこそ、会社は「時間」だけで評価しない仕組みを作る必要があります。
例えば、
年度の始めに目標を明確に設定する
その目標に対して、どの程度達成できたのかで評価する
業務時間の長さではなく、成果や役割、普段の改善行動、周囲への貢献などを評価項目として整理する
こうした仕組みがある事で、社員は「休んだから評価が下がる」のではなく、「自分の役割を果たしているかで評価される」と考えやすくなります。
休暇を取りやすい会社にする為には、休暇制度だけでなく、評価制度も一緒に見直す必要があります。
③ 本人自身の抵抗感を変える
3つ目は、本人自身の中にある抵抗感です。
働く従業員の中には、
「働き続けている方が余計な事を考えなくて済む」
「休んだ後に仕事が溜まるくらいなら、休まない方がいい」
と感じる方もいると思います。
確かに、短期的には休まない方が楽に感じる事もあります。
しかし、休まない事が続けば、心身の疲労は少しずつ積み重なっていきます。
そして、気づいた時には大きく体調を崩してしまう事もあります。
そして、私は休む事を「自分の為だけ」と考えなくてもよいと思っています。
むしろ、会社や周囲の為に休むという考え方も大切です。
自分が休む事で、他の人も休みやすくなる
自分が休む事で、業務の共有や引き継ぎが進む
自分が休む事で、会社が時間ではなく成果や役割で評価する方向に変わるきっかけになる
このように考えると、休む事は単なる個人の権利ではなく、組織をより良くする行動にもなります。
休む事への抵抗感を変えるには、本人だけでなく、会社全体で「休む意味」を捉え直す事が必要です。
まとめ 休む事は、組織を弱くするのではなく強くする
休む事への抵抗感を変える為には、
周囲への影響に対する不安を減らす事
評価や処遇への不安を減らす事
本人自身の休暇に対する捉え方を変える事
この3つが大切です。
休暇制度を作るだけでは、休みやすい職場にはなりません。
周囲がどう受け止めるか
職場の評価制度がどう設計されているか
本人自身が休む事をどう意味づけるか
これらが揃って初めて、休む事への抵抗感は少しずつ減っていくと思います。
休む事は、会社に迷惑をかける事ではありません。
むしろ、誰かが休める会社は、業務が見える化され、引き継ぎが進み、特定の人に依存しすぎない組織になります。
そう考えると、休む事は組織を弱くする行動ではなく、組織を強くする行動でもあります。
サンキャリアとしても、休む事を前向きに捉え、社員一人一人が健康に働き続けられる職場づくりを、これからも支援していきたいと考えています。
本ニュースをご覧になり、人事労務管理に関するご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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