top of page
検索
執筆者の写真田村陽太

【第131回】なぜ日本企業の国際化対応は進まないのか?(後編)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「なぜ日本企業の国際化対応は進まないのか?(後編)」についてお話します。



前回までのおさらいとして、海外駐在員経験者が上層部や経営層で活躍していく仕組みづくりをするために以下の3点が重要だとお伝えしました。



① 海外事業部の業務を多くの社員に経験させる機会を作る

② 海外駐在中の人事評価やスキルチェックをしっかりと行う

③ 海外駐在員の権限を会社の経営層と並ぶ地位まで高める



そして今回は前回の続きで、③以降からの詳細な説明を行っていきます。また最後に日本企業が今後国際化対応を進めていく為に重要な事を私からの提言・まとめとしてお話しさせていただきたく思います。



➂についてですが、②で説明しました通り、海外駐在員の業務はいわば海外現地法人の「マネジメント層」、「経営層」として多くの事に取り組みます。海外駐在員の業務を経験する事で、会社の経営の中身についての深い理解や実際の経営マネジメントでのトラブルシューティングの力や問題解決能力もついてきます。



ですので、通常の社員であれば日々上司や上長に承認を得て行っている業務に関しても、海外駐在員経験者であれば、自身の今までの体験や知識の蓄積から「経験値」として回答できる機会や自分自身の業務に対する自信もついてくると思います。



ですが多くの日本企業ですと、今まで会社の経営判断に多く関わってきた海外駐在員でも、最終的に重要な意思決定事項等については、日本企業の本社に委ねなければならない事が多々あります。



例えば現場にいる海外駐在員にとっては「初回のロットでは売上の見込みが立たなくても、この顧客を獲得すれば将来的には大きなビジネスチャンスに繋がる」というような感覚を持っていたとしても、本社にお伺いを立ててみたものの最終的には本社の意向で海外新規顧客の契約を失注してしまうという事がよくあると聞きます。



よって、海外駐在員としての経験が、社員一人一人の「個人」の能力や自信を培う事には貢献したとても、駐在員経験者が良いポストに配置転換されなかったり、海外駐在員の知見や能力をうまくその部署で生かしきれなかったりと、「会社」の知見・人財として活用できていない事に大きな問題があると個人的には考えております。



①②でもお話ししましたが、たとえ海外駐在員という業務の大変さを広く社内に理解してもらえたり、海外駐在員の能力や評価を適正に行えたりしたとしても、駐在員経験者が後に就くポストの管理職や上司に権限があれば、海外駐在員経験者が培った海外ビジネスに関する知見や能力は100%会社で生かしきることが出来ません。



よって、私個人的な一つの提言としてですが、経営に関する各事項についての一定の基準を作り、その基準範囲内であれば海外駐在員自身が本社にお伺いを立てずに経営判断を行う事が出来る仕組みを作る事が非常に重要だと考えます。



具体的には海外駐在員が行う各経営判断に関してクラウド上で本社の経営層が見えるように共有・管理して、各経営判断に関して経営層がアドバイザリーとしてコメントを残す形式が一つ考えられます。



そうする事で、海外事業の各経営判断に関して、より経営層が理解を深める事で、社内の海外ビジネスが円滑に進むのはもちろん、海外駐在員に権限を委譲するのと同時に、しっかりと経営層が各事項に関してアドバイスを残す事で、駐在員、本社の経営層の責任範囲を明確に出来ることがメリットとなります。



いずれにしても該当の海外駐在員の今までのスキルや性格等も考慮に入れて、適切な組織体制を構築していく事が非常に重要です。



本日は「なぜ日本企業の国際化対応は進まないのか?(後編)」についてお話しました。今回までで日本企業が国際化対応を進めていく為の概念レベル、実務レベルでのお話を具体的にお話させていただきました。



色々とお話をさせていただきましたが、企業の国際化対応を行う上で重要な事は、「より多くの人に海外ビジネスを知ってもらい、そして実際に海外ビジネスを体験してもらう事で、その大変さを理解してもらう」事だと個人的には思っております。



一度体験する事で「自分は海外ビジネスが得意なのか、苦手なのか」が分かりますし、本来その得意分野が「海外ビジネス」である社員が社内全体で情報として共有された後に、海外事業部に該当社員が配置されているという状態が、海外ビジネスを行っていく企業の体制としてはふさわしい状態であると考えております。



弊所でも海外駐在員の労務管理や海外事業部の組織体制構築のアドバイスについてサポートしておりますので、ご用命があればいつでもご相談ください。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



社会保険労務士事務所Sun&Careerホームページはこちらです。




インターネットラジオ・ポッドキャスト番組「企業と従業員の働き方を考える 『社労士ラジオ  サニーデーフライデー』」のリンクはこちらです。




社労士労務顧問、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター、ポッドキャスト番組制作等のご依頼はお問い合わせフォームまでご連絡ください。



Comentários


bottom of page