こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~②』についてお話していきたいと思います。本日は、具体的に外国人社員が産休・育休を取得する際の留意点や実務上の注意点を中心にお話させて頂きたいと思います。
まず会社が取り組むべき事項を以下に記します。
① 育児介護休業法や産休・育休取得制度の紹介を定期的に行う
② 産休・育休取得に関する意向や休業・復帰イメージを面談する
③ 業務の引継ぎや休業中・復帰後の業務開始イメージを共有しておく
④ 育児介護休業法上、就業規則上対応すべき人事労務管理手続きを行う
以上4点が主となります。
まず①ですが、対象の外国人社員が妊娠・出産の段階に至っているか関係なく、定期的に現状の育児介護休業法についての知識習得や情報共有の時間を設けることが非常に重要です。
例えば、
・就業規則の改正事項部分を従業員に伝達する際に合わせてその他の概要部分も伝える
・人事労務管理分野の法改正があった際に合わせて概要を部分を伝える
・月に1回等、定期的に労務相談窓口を設け、従業員からの相談に応える
等が挙げられます。事前に会社から産休・育休取得の流れが従業員と共有されていれば、比較的早く会社へ妊娠・出産の報告をしてくれる従業員が増える傾向が高いです。早く従業員から妊娠・出産の報告を受ければ、その分会社は人材の確保や業務の引継ぎ等、人事労務管理に着手する事が出来ます。
そのため、早く従業員から育児休業に関しての報告をもらえるよう、産休・育休取得の報告が無い通常時から従業員の産休・育休に関する知識を定着できるよう心掛ける事が大事です。
また、外国人社員への育児介護休業法の情報共有の際には、母国語で資料を作成してあげることが望ましいです。母国語の資料作成は工数もかかりますので、会社的に対応が難しいようでしたら、英語に翻訳したものをまず会社として作成する事でもまず十分だと個人的には思います。
なぜなら、英語が対象社員の母国語では無いとしても、英語の資料であればその文章の中身を理解できる他の外国人社員や知人も比較的多いですし、知人等頼れる方がいなければ、自身で外注して翻訳等の対応を行うことも出来る為です。
英語で資料をお渡し等する際には、資料を使いながら口頭で外国人社員に補足説明してあげることが対応として重要です。もちろん日本語の読解やコミュニケーションが円滑な外国人社員には日本語で説明することでも可能です。その際は、内容の理解度を定期的に外国人社員に確認して説明するよう心掛けることが重要です。
次に②ですが、外国人社員から産休・育休取得の連絡を受けた場合に、「産休・育児休業を取得したいのか」についての意向を確認する必要があります。厚労省のHPに育休取得の意向を確認する「育児休業取得に関する意向確認チェックリスト」が掲載されていますので、適宜ご利用ください。
育児休業取得に関する意向確認チェックリスト
その後、出産予定日や産休・育休取得期間、どのような職場復帰を目指すか等を外国人社員と面談していく段取りとなります。こちらも厚労省HPのリンク「育休復帰支援プラン策定のご案内」の中に育休復帰支援面談シートがありますので、外国人社員との面談時に適宜ご利用ください。
育休復帰支援面談シート
この面談を行うにあたっては、先述しました①の事前の育児介護休業法についての理解や自社の就業規則・育児介護休業制度についての知識が従業員に十分にあるかが、面談の成功を非常に左右します。
またこの②の面談が産休・育休を取得する外国人社員と面と向かってじっくり話せる時間となります。この面談の時間に今後どのようなキャリアを考えているか、引継ぎ等自身以外の他の従業員への配慮等がしっかり出来ているか等、外国人社員の育休取得の真意をしっかりと把握できるチャンスでもあります。
①を綿密に行った上で、産休・育休についての理解度確認や、今後のキャリアの意向確認の意味も込めて面談を行っていきましょう。
本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~②』についてお話させて頂きました。次回も続きからお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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