【第261回】『労務管理Q&A~「社員のやる気」を高めるためにどうすれば良いか?⑦~』
- 田村陽太
- 4 日前
- 読了時間: 4分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~「社員のやる気」を高めるためにどうすれば良いか?⑦~』についてお話ししたいと思います。
これまでの連載では、社員のやる気を高めるために、会社側が取り組むべきことと、従業員側に求められるスキルや姿勢について、それぞれの視点からお話ししてきました。
今回はその最終回として、これまでの内容をまとめながら、「やる気を引き出すための本質」について整理していきたいと思います。
会社側にとって大切なこと:「温かく見守り、役割を意識づける」
社員のやる気を高めるために、会社側にとって最も大切なことは、従業員一人ひとりの業務に対して、最後まで温かく見守る姿勢を持つことです。
そしてその上で、「あなたの役割はここにある」「あなたは必要とされている」と意識づけを続けることが重要です。
会社には様々な役職や立場の人がいますが、それぞれの従業員が担う業務やその難易度は異なります。たとえ役職が低くても、その人にしか果たせない役割があります。
業務内容が違っても、全員が会社にとって必要な存在であるという前提を忘れてはなりません。
また、従業員が担っている業務が、
所属する部署の方針と合致しているか
部署の方針が会社の方向性と一致しているか
という観点で、常に確認・調整しながら見守ることも大切です。
従業員自身が「自分の仕事が会社の成長につながっている」と実感できることで、自然とやる気は高まっていきます。
従業員側にとって大切なこと「業務を可視化し、意味づける力」
一方、従業員側に求められるスキルとして、これまでお話ししてきたように、「ただ業務をこなす」のではなく、自分が何をしているのかを言語化・明示化することが非常に重要です。
なぜなら、仕事には無意識にこなしている作業や感覚的な対応が多く、「自分が何をできるのか」「どんな能力を身につけているのか」を認識するのは、意識しなければ難しいからです。
業務の「見える化」で得られる自信とやる気
そのためには、
自身の業務を言語化し、職務経歴書などに書き出してみる
上司や同僚との面談で、自分の取り組みを言葉で説明する
社外の人(家族や友人など)に、自分の仕事内容を話してみる
といったアクションを通して、自分の業務を可視化していくことが有効です。
こうして感覚的だった業務が論理的に整理されていくことで、「自分のやってきたことは無駄じゃなかった」「着実にスキルが身についている」と実感でき、今の仕事への満足感や、これからの成長へのやる気につながっていくのです。
やる気は「会社と従業員の協働」で生まれるもの
ここまでの内容を踏まえると、社員のやる気を引き出すためには、会社だけが努力しても、従業員だけが頑張っても不十分だということが分かります。
会社と従業員、双方がやる気を高める努力を続けること。その「協働」こそが、持続的なモチベーションと成長の原動力になります。
会社の思いだけが空回りしたり、従業員だけが一生懸命に立て直そうとしても、
いずれどちらかが疲れてしまい、やる気の循環が止まってしまうこともあるでしょう。
信頼と制度が、やる気を育てる
理想的な流れとしては、まず会社側が先に信頼される行動や仕組みを整えることが必要です。
この連載でお話ししてきたような、
意図を伝えるマネジメント
フィードバックの丁寧さ
面談や目標管理の質の向上
日々の業務に対する承認の姿勢
といった取り組みを、会社側が継続的に実践していくことが第一歩です。
その姿を見た従業員が、
「この会社でなら頑張っていけるかもしれない」
「自分の仕事をちゃんと伝えてみよう」
と感じるようになり、主体的にスキルの言語化や行動改善に取り組めるようになります。
やる気のある社員を育てるには、信頼関係のある職場づくりが欠かせません。
今回のような「社員のやる気を高めるための制度設計」や「労務管理」に関するご相談、
または労務顧問のご依頼など、いつでもお気軽にご連絡ください。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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