【第258回】『労務管理Q&A~「社員のやる気」を高めるためにどうすれば良いか?➃~』
- 田村陽太
- 5月9日
- 読了時間: 4分
更新日:4 日前

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~「社員のやる気」を高めるためにどうすれば良いか?④~』についてお話ししたいと思います。
前回までは、【社員のやる気を高めるために、会社側として大切なこと】として、以下の3点をお伝えしました。
① 上司からの指示や業務内容について、目的や背景をしっかり伝えること
② 指示した業務の進捗や成果について、必ずフィードバックを行うこと
③ 現在の立ち位置と今後の目標(「今」と「未来」)を都度明確に示すこと
今回からは、「やる気を引き出すために、従業員側に求められるスキルや姿勢」について掘り下げてお話ししていきたいと思います。
私が考える、従業員が意識すべきことは、以下の3つです。
① 各業務で身につけたスキルを自分自身で言語化しておく
② 身につけた業務内容を、他の同僚や上司に説明・教育する習慣を持つ
③ 第三者に対して、自身の業務をわかりやすく説明できるスキルを持つ
まず①ですが、業務を進める中で身につけたスキルや知識を、自分の言葉で整理・言語化しておくことが非常に重要です。
日々、何気なく行っている業務の中にも、実は細かな知識や実務能力が求められており、想像以上に高度なスキルを発揮していることもあります。
感覚でこなしている作業でも、一度文章に書き出したり、客観的に棚卸ししたりすることで、自分が思っていた以上に多くの業務経験を積んでいることに気づくはずです。
そのためにも、定期的に自分の業務内容を振り返る習慣を持つことが大切です。
おすすめの頻度は最低でも「月に1回」です。業務の振り返りを習慣化することで、やる気の維持や自己成長の実感にもつながります。
この振り返りに役立つツールが、「職務経歴書」です。
一般的には転職活動時に作成するものという印象が強いかもしれませんが、実は転職を考えていないときこそ作成しておくのがおすすめです。
なぜなら、普段行っている業務が、自分の経験やスキルとして蓄積されていることに気づき、自信を持てるきっかけになるからです。
また、いざ職務経歴書が必要になったときに慌てて作ると、重要な経験を思い出せなかったり、内容が薄くなってしまったりすることがあります。
時間をかけてじっくり棚卸しすることで、「自分だけで完結する業務」「他者と連携して行う業務」など、さまざまな経験を冷静に整理できます。
このように多角的に自分のキャリアを見つめ直し、充実した職務経歴書を定期的に作成する習慣を持つことで、さらに自己肯定感が高まり、仕事へのやる気にもつながります。
やる気というのは、他人の優秀さを見たときに自然と湧いてくるものではありません。
むしろ、「他人の姿を素直に見習おうと思えるだけの心の余裕」がある状態――それは、自分自身に絶対的な自信がある状態でこそ、はじめて生まれるものだと思います。
社会人研修やセミナーなども効果的ですが、受講前に何か一つでも「自分はこれが得意だ」と思える自信を持たせておくことで、研修の吸収率が大きく高まります。
なぜなら、研修の本質は「受講すること」ではなく、「受講後に自分の業務で実践し、改善につなげること」だからです。
自信があれば、新しいことに挑戦して失敗しても、すぐに立ち直れます。
やる気とチャレンジ精神を育むうえで、「自信を持てる機会を意識的に作ること」が、非常に大切なのです。
本日は『労務管理Q&A~「社員のやる気」を高めるためにどうすれば良いか?④~』についてお話ししました。次回も引き続き、続編をお届けしたいと思います。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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