こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~③』についてお話していきたいと思います。
前回は【外国人社員が産休・育休を取得する際の会社が取り組むべき事項】として、
① 育児介護休業法や産休・育休取得制度の紹介を定期的に行う
② 産休・育休取得に関する意向や休業・復帰イメージを面談する
③ 業務の引継ぎや休業中・復帰後の業務開始イメージを共有しておく
④ 育児介護休業法上、就業規則上対応すべき人事労務管理手続きを行う
があるというお話をしました。今回は③からお話していきたいと思います。
③ですが、対象の外国人社員が産休・育休を取得する前に業務の引継ぎをしっかりと行うことがまず重要です。これは産休・育休を取得する社員に限らず、間もなく退職される社員の引継ぎでも同じことが言えますが、その理由としては、産休・育休を取得される方は自身の出産・育児が自身の一番の関心事として重要な事項となっているため、引継ぎが上手く進まないパターンがある為です。
そのため引継ぎが上手くいかないと、対象の外国人社員が産休・育休に入り、代替社員が業務を引き継いだ途端に、顧客対応等で不明点が発生し、業務が滞る事もよく発生します。
そのため、出産される外国人社員にとって心身共にゆっくり休んでもらう産休・育休期間に、代替社員が連絡を取ったり、簡単な業務を行ってもらう必要が出てきたりする可能性もあります。
そのため、業務の引継ぎで一番重要な事は、外国人社員が産休・育休を取得されると分かった途端にすぐ、代替社員がすべて中心に顧客関係の業務を行っていく事が重要です。つまり、顧客とのやり取りや実務に関しても、すでに会社で共有・保管されている書類等を自身で確認しながら、代替社員を主として顧客対応を行っていくという事です。
代替社員が業務を直接顧客と進めていく上で不明となっている部分や背景等、最低限事前に確認すべき事は、産休・育休を取得される外国人社員と必ずやり取りを行い、引継ぎを行うことが重要です。
そして、引継ぎが完了したら、産休・育休を取得する外国人社員、代替社員、先述2名の直属の上司の3名で面談を行うことが非常に重要です。その面談の際に産休・育休を取得される外国人社員、代替社員双方で、顧客案件ごとの業務のやり方や優先事項の順位等も異なることが分かる事も多いです。
そのため、引継ぎの際に上司が介入しない場合ですと、今まで対応していた産休・育休を取得される社員の以前のやり方を踏襲して、業務が引継ぎされるパターンが多くあります。
よって弊所が推奨する引継ぎ時の面談としては、上司が双方の社員とヒアリングをした結果、産休・育休を取得される社員からデメリット・リスク等のアドバイスを都度共有してもらいつつも、会社のリスク管理的にどちらの社員のやり方でも大差が無いのであれば、基本的には代替社員の引継ぎの進め方で行っていく事を、産休・育休を取得される社員とも合意を取っておくことが重要です。
もし万が一、業務の引継ぎの際に、産休・育休を取得される社員の業務上のミスやエラー等重要度の大小関係なく発見した場合は、必ず産休・育休を取得される社員に会社として指導・改善を行っていく事が非常に重要です。
代替社員が中心となって業務引継ぎを行っていくべき理由としては、先述しました出産・育児を控えている社員は業務の引継ぎにあまり本腰を入れて対応しにくいという理由が一つあります。
そして、もう一つ重要な理由としては、「既存の業務に対して新しい視点を入れる事で、更なる業務効率化やミス・エラーの防止を図ることが出来る」為です。
業務を担当する人の入れ替わりが無く、専属の社員のみで業務を担当すると、どうしても新しい方法を取り入れて、より良い業務方法を取り入れる事が難しかったり、本来早期に対処すべきミスやエラーが長期的に社内で滞留し、顧客満足度が低下したりする事が考えられます。
そのため、産休・育休等で遅かれ早かれ業務の引継ぎが起きる場合は、妊娠・出産の報告があると同時に業務の主担当を代替社員に入れ替える程度でも早すぎる事はないと私個人的には思います。
本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~③』についてお話させて頂きました。次回も続きからお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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