【第329回】『退職代行への対応で会社が大切にしたい姿』


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『退職代行への対応で会社が大切にしたい姿』というテーマでお話ししたいと思います。
退職代行とは、自分で直属の上司や人事担当者に退職を伝えるのではなく、弁護士事務所や代行会社などを通じて、退職の意思を会社に伝える方法です。
会社側からすると、突然外部の方から連絡が来る為、驚いたり、寂しさを感じたり、場合によっては怒りを覚えたりする事もあるかもしれません。
「最後くらい直接言ってほしかった」
「同じ職場で働いてきたのに、なぜ代行なのか」
「引き継ぎはどうするのか」
このように感じる経営者や管理職の方も多いと思います。
ただ、退職代行を使う側にも事情があります。
ハラスメントや労働問題を抱えていて、直接伝える事で事態が悪化する事を避けたい場合もあります。
重要な業務やプロジェクトを任されていて、強い引き止めに遭う事を恐れている場合もあります。
単に気まずいからという理由だけではなく、本人なりに直接言えない事情がある事も考えなければなりません。
では、退職代行から連絡が来た時、会社はまず何をすべきなのでしょうか。
今回は、会社が大切にしたい対応を3つの視点から整理してみたいと思います。
① 連絡してきた相手の立場を確認する
まず大切なのは、連絡してきた相手がどのような立場なのかを確認する事です。
相手が従業員本人の代理人弁護士なのか?
ユニオン等の労働組合として連絡してきているのか?
それとも、本人のメッセージを伝える退職代行業者なのか?
この確認は非常に重要です。
弁護士であれば、代理人として会社と交渉できる場合があります。
一方で、一般の退職代行業者の場合は、本人の退職意思や希望を伝える事はできても、有給休暇の消化、未払い残業代等の各種請求、退職条件の調整などについて、本人に代わって交渉する事には制限があります。
その為、会社としては、最初に感情的に反応するのではなく、
「どのような立場でご連絡頂いているのか?」
「本人からどの範囲の依頼を受けているのか?」
「書面や委任状など確認できるものはあるのか?」
を落ち着いて確認する事が大切です。
ここを曖昧にしたまま話を進めると、後から会社側も対応に困ってしまいます。
② 代行側とのやり取りも誠実に行う
次に大切なのは、退職代行側とのコミュニケーションを誠実に行う事です。
退職代行を使われると、会社側としては裏切られたような気持ちになる事もあるかもしれません。
しかし、その対応は、辞める本人だけでなく、会社に残る従業員も見ています。
表向きには「退職代行なんて非常識だ」と言っている社員の中にも、本心では「自分も同じように辞めたい」と感じている人がいるかもしれません。
その時に会社が感情的な対応をすると、残る社員は、
「この会社は辞める人に対してこういう対応をするんだ」
と感じます。
反対に、退職の形に納得できない部分があったとしても、会社が冷静に、誠実に、必要な手続きを進めていれば、残る社員の受け止め方も変わります。
もちろん、相手の言い分をすべて受け入れる必要はありません。
貸与物の返却、業務の引き継ぎ、退職日など、会社として確認すべき事はしっかりと確認する必要があります。
対応できる事は対応する。しかし、対応できない事は、理由を添えて伝える。会社として必要な手続きは、就業規則や雇用契約に沿って進める。
このように、感情ではなく、しっかりとした手続きと説明で対応する事が重要だと考えています。
③ 本人に直接連絡したい気持ちを一度抑える
3つ目は、退職代行を飛び越えて、従業員本人に直接連絡しない事です。
経営者や上司の立場からすると、
「一度だけでも本人と話したい」
「直接気持ちを聞きたい」
「感謝や残念な気持ちを伝えたい」
と思う事もあるかと思います。
その気持ちはもちろん、私は自然なものだと思います。
ただ、従業員本人は何らかの理由で、直接会社とやり取りしたくないから退職代行を使っています。
そこで会社が本人に直接連絡してしまうと、本人にとっては大きな負担になります。
場合によっては、会社への不信感をさらに強めてしまうこともあります。
会社としては、退職の形に思うところがあったとしても、まずは代行側を通じて必要な手続きを進めるべきです。
退職は、会社側の理想どおりに進むとは限りません。
だからこそ、最後の対応ほど会社の姿勢が出ると私は考えております。
まとめ 退職代行への対応は日頃の組織づくりにも繋がる
退職代行から連絡が来た時に大切なのは、
連絡してきた相手の立場を確認する事
代行側とのやり取りも誠実に行う事
本人へ直接連絡したい気持ちを一度抑える事
この3つです。
退職代行を使われた事自体を、会社自身で責める必要はありません。
一方で、会社として何も感じなくてよいという事でもありません。
本音としては、「直接話してほしかった」と感じることもあると思います。
だからこそ、その思いは退職時にぶつけるのではなく、日頃の組織づくりの中で伝えていく事が大切です。
言いにくい事でも、自分の責任範囲については自分で伝える
自分で対応できない部分は、上司や会社が引き受ける
クレームやトラブルが起きた時も、すぐに誰かへ丸投げするのではなく、どこまでが自分の責任で、どこからが上司の責任なのかを確認しながら対応する
こうした積み重ねが、退職の場面にも表れます。
退職代行への対応は、単なる退職手続きではありません。
会社が人とどう向き合うのか、残る社員にどのような姿勢を見せるのかが問われる場面だと私は思います。
サンキャリアとしても、退職時の実務対応だけでなく、日頃から言いにくい事も伝え合える職場づくりを支援していきたいと考えています。
本ニュースをご覧になり、人事労務管理に関するご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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