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  • 田村陽太

【第103回】こんな時どうする?Q&A~(海外在住の従業員をフルリモートで雇用した場合の注意点)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日はこんな時どうする?Q&A~(海外在住の従業員をフルリモートで雇用した場合の注意点)についてお話していきたいと思います。



新型コロナウイルスの影響で海外に住む外国人や日本人を日本で雇用するのではなく、海外にそのまま住んでもらいながらフルリモートで勤務してもらうパターンも増えてきました。その場合での労務管理の注意点や各種所得税や社会保険等の税関連との関係性についてお話したいと思います。



まず従業員を雇用し、給与を支給する事で発生する所得税との関係性についてお話したいと思います。日本で納付する所得税は、その給与をもらう従業員が居住者なのか、非居住者なのかにより大きく違います。非居住者とは1年を超えて日本を離れて海外に住む人の事を言い、今回フルリモートで働く海外在住の従業員は非居住者と想定して考えます。



非居住者の場合は、日本での所得税に関しては「国外源泉所得」として基本的に支払う義務はありません。その代わりに海外の滞在国では支払う義務が発生しますので確認が必要です。



ただ、一般の従業員ではなく役員としてフルリモートで従事する場合は「国内源泉所得として」所得税20.42%の源泉徴収をして給与を会社は支払う必要があります。その為、非居住者は納税管理人を立て源泉徴収された所得税を確定申告する必要が出てきますので注意が必要です。



また、海外フルリモートでの業務内容が、単なる日本国内で行う業務と同一の内容であれば基本的には国外源泉所得として所得税を徴収されませんが、海外フルリモートの内容が海外での自社製品の営業活動や広告活動等、「海外代理店」や「海外支店」として認められそうな業務であれば、海外に日本の事務所があると「PE認定」され、国内源泉所得として源泉所得税20.42%を徴収される可能性もありますので、フルリモートでの業務内容に関しても日本企業はしっかりと管理しなければなりません。



次に社会保険との関係性についてお話したいと思います。



雇用保険、健康保険、厚生年金に関しては居住者・非居住者かどうかは関係なく、日本本社の所属で指揮命令下にあり、労働の対価として給与が支払われている場合には週の労働時間に応じて各種社会保険に加入する事が出来ます。ただ、労災保険に関しては基本的に勤務国での属地主義をとっているので、加入する事が出来ません。



ただ、フルリモートで働く従業員の滞在国が、日本と社会保障協定を締結している国でない場合は、場合に応じて滞在国と日本双方の社会保険料を支払わなければならないという事も発生しますので、事前にどの滞在国の従業員を雇用するかの確認を行う事が重要です。



また社会保険協定締結国であれば、雇用期間が5年以内では、滞在国での社会保険のみ加入、5年を超えた場合は原則的に日本での社会保険加入となりますので、フルリモートの方を雇用する前から週〇〇時間程度雇用し、社会保険に加入させるのかどうか等の労働条件を事細かに決めておくことが非常に重要です。



また上述した労災保険が原則加入できない事から海外フルリモートになった際に労災保険の特別加入を行うという事も選択肢の一つとして考える必要がありますし、それでなければ滞在国の公的労災保険、民間の労災保険に加入する事も視野に入れなければなりません。



最近ではフルリモートで働きたいと考える現地在住の日本人(例えば海外の大学で勉強する日本人学生や駐在員と帯同する駐妻や駐夫等)も非常に多いですが、一方で日本企業の籍で雇用されるからといって、特に労働条件を気にせず入社してしまい、後々労働条件や待遇面で会社と揉めて労働トラブルとなる事もよくあります。



また海外フルリモートでの雇用は会社と従業員との間に時差的空間的距離がある事から、日本企業の本社の籍で働いているという「自分事」で考える精神が希薄になってしまう従業員も多くいます。定期的なミーティングや業務進捗報告、またリモート参加可能による食事会や飲み会等の企画を行う事で、一緒の会社で働く一体感を醸成していく事も非常に重要です。



本日はこんな時どうする?Q&A~(海外在住の従業員をフルリモートで雇用した場合の注意点) についてお話させて頂きました。



最近では従業員に海外出張や海外駐在をさせるだけでなく、フルリモートで雇用する選択肢を希望する日本企業からよく問い合わせを受けますが、所得税や社会保険加入等注意すべき点が沢山あります。海外関係の雇用に関する相談をいつでも受け付けておりますので、弊所にお気軽にお問い合わせください。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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