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  • 代表 田村陽太

【第30回】日本企業が海外駐在員の労務管理を行う上で重要な事(①就業規則や雇用契約書により海外駐在・派遣させる事の周知・合意)

最終更新: 4月13日


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。




本日は【海外駐在員を派遣するまでの人事部がすべきステップ】の第一段階目、①就業規則や雇用契約書により海外駐在・派遣させる事の周知・合意をする上で重要な事をお話致します。



海外駐在員の中には、海外の現地子会社の代表として就任する場合や、管理職として就任する等様々なパターンがありますが、海外駐在員として勤務するとなった場合、どの企業の所属となるかという視点で考えると、大きく二つに分けられます。それは「在籍出向」と「転籍」の2つです。



「在籍出向」とは、出向元の企業(元々雇用されていた企業)との雇用関係を残したまま、子会社等へ出向するパターンです。



就業規則上に異動に関しての規定を設けて、会社独自の出向規程を作成し、出向についての詳細なルールを設けている企業が多いです。雇用関係が出向元と変わらず、勤務地が変更するという事のみであれば、就業規則での規定により、従業員への同意なくとも出向させることが出来ます。



しかし、出向した社員が出向先の使用者から指揮命令され、使用従属関係として見られる内容であれば、出向元が労働者派遣事業許可を取得しなければ派遣法違反として扱われる場合がありますので注意が必要です。



在籍出向の形態で派遣させる企業の海外駐在員に任せる業務内容として、「海外子会社や海外連携代理店への経営や技術指導」、「現地海外子会社の従業員の育成やキャリアアップ教育」等の出向先の事業の営利目的や出向先の事業の労働力としての派遣ではなく、あくまで出向元の事業の営利目的で派遣する体制にしておくことが重要です。



「転籍」とは出向元企業との雇用関係を完全に終了させ、出向先にて新たに雇用契約を結ぶパターンの事を言います。



転籍に関しては、雇用関係が出向先に変更となるため、労働契約の内容が不利益となる可能性もある事から、出向規程への明示や労働者への説明や合意も必要です。



転籍に関しては、上記でお話させて頂きました、出向先と駐在員の指揮命令関係が見られる場合や、駐在先での業務が出向元の事業の延長でなく、単なる出向先の事業の労働力の一つとして見られるような駐在形態となる場合は、転籍とするパターンが多いです。



転籍の形態をとる場合に関しては、出向元との雇用関係が消滅するので、出向元で加入していた労災保険や雇用保険、健康保険、厚生年金保険等の日本での社会保険に関しては資格を喪失します。



また、海外現地での労働災害補償保険に加入する必要があったり、海外での傷病保険や民間企業で運営されている個人年金に加入する必要があったりはもちろん、日本国内で加入していた雇用保険も喪失してしまう事から、万一転籍先で退職した際に、日本国内で就職活動を行っている間の失業手当(基本手当)が支給されなかったりというリスクもあります。



給与形態や福利厚生も出向先の就業規則に従う必要があるため、出向元で長年加入していた退職金が一旦清算されてしまったり、給与も出向先のルールで運営されることから支給金額が少なくなったり等、駐在員にとってデメリットとなる場合もあります。



上記を踏まえて、企業が従業員を海外駐在させる際に重要な事として、

・海外駐在時の業務内容

・海外駐在時の給与、福利厚生等の雇用形態に関して



を従業員へしっかりと説明を行う事が、将来的な企業と従業員のトラブルを低減し、また海外駐在員の勤務モチベーションを低下させない重要な事の一つです。



弊所でも就業規則の整備や出向規程、海外駐在赴任規程、賃金規程の作成代行、作成アドバイスも承っておりますので、いつでもご連絡ください。



以上で、就業規則や雇用契約書により海外駐在・派遣させる事の周知・合意をする上で重要な事をお話しました。次回は➁海外駐在員勤務時の給与待遇・福利厚生・職務内容・人事制度等の社内設計について詳しくお話したいと思います。

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