こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は日本企業が外国人労働者を雇用する上で比較的接点が多い、外国人留学生の雇用時における注意点についてお話していきたいと思います。
最近では、外食するにしても外で買い物をするにしても、外国人店員に接客してもらう機会が増えてきています。本ブログを読まれている皆さんは、よく外で見かける外国人店員がどのような在留資格で日本の企業で働いているかをご存知でしょうか。
コンビニでの接客や棚卸、飲食店での接客調理等、比較的専門性を不要とする業務で勤務している外国人は以下の3つの在留資格と考えられます。
➀特定技能
➁永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
➂留学、家族滞在(資格外活動許可あり)
➀特定技能の在留資格については今度のブログで雇用の進め方について詳しくお話させて頂きます。➁の身分系資格については就労制限もないので日本人が日本で働くのと同様、どの業種でも働く事が出来ますし、労働時間の制限もなく働ける在留資格です。
ただ、身分系資格は、通常の日本人と同様求職活動が出来る都合上、身分系資格の求職者と企業が接点を持つ機会は難しく、外国人社員を雇用したい企業にとっては、知り合いのつてや人脈、コネクションで採用するパターンが多い資格でもあります。
➂の留学、家族滞在ビザの「留学」に関しては、資格外活動許可を入管庁からもらっている留学生であれば風営法営業に関わる仕事以外は働く事が出来ます。また、「留学」ビザなので基本的には大学や専門学校等に在籍して勉強しているので、求人者の企業としても各学校に求人票を掲載してもらう事で、留学生の雇用を比較的円滑に進める事が出来ます。
➀~③の状況を鑑みると、比較的若い年齢でコンビニや飲食店等で勤務している外国人社員は留学ビザで勤務している方が多い事が分かるかと思います。
本日はそのような➂の留学ビザで来日している留学生の雇用をする上での雇用管理のポイントや注意点についてお話していきたいと思います。
まず大前提となるのが、留学ビザで来ている外国人が資格外活動許可を申請している事です。その上での大原則として留学生は週28時間以内での勤務となります。大学等の夏季休業や冬季休業、もしくは春季休業等の予め決められている期間中には、1日8時間週40時間までの勤務が認められます。
よって在留資格の都合上、どうやっても1日8時間を超えて、週40時間を超えての勤務の残業をさせる事は難しい事となります。また、本在留資格「留学」で来日している以上、留学生の学校の成績が悪かったり、学業とアルバイトの両立が上手くいかなかったりする場合は、在留資格の取り消しや資格外活動が不許可になる可能性もありますので、注意が必要です。
また留学生の勤務形態は「雇用」であって「業務委託」や「請負」という形は認められない事も重要です。必ず時給〇〇円や日給〇〇円という形で支払い、各都道府県の最低賃金以上の支払いが必要となりますので、この点も注意が必要です。
また留学生の雇用も日本人を雇用するのと同様、勤務時間によって各種社会保険に加入させる必要があります。労災保険への加入はもちろん、雇用保険に関しては昼間学生の場合は適用除外となりますが、夜間大学生や夜間大学院生の際には週20時間以上勤務の際には雇用保険に加入できますので、その場合の手続きも失念しないようにする注意が必要です。
健康保険・厚生年金保険の加入に関しては、通常の勤務となる労働者(週40時間勤務)と比較して常時3/4以上勤務する事が前提となるので、週28時間以内での勤務の留学生はたとえ夏季休業中が週40時間勤務できたとしても、その勤務形態が「常時」ではないため加入が出来ない事となります。
また留学生等の外国人社員を勤務させる上で、会社が留学生に配慮する点として日常の生活に関する支援も行う事もとても重要です。例えば、国民健康保険や国民年金、住民税のお支払い等各種税金のルールや、ゴミ出しや自転車・バイクの乗車ルール等母国と日本では大きく異なっている事があるので、アルバイトだからと留学生任せにするのではなく、日常生活のお悩みについて留学生の相談にのってあげることも企業として非常に重要です。
本日は「外国人留学生の雇用時における注意点」についてお話させて頂きました。「留学生は外国人だから。」と雇用する際に難しく考えてしまう経営者の方もいますが、大丈夫です。基本的には通常の日本人を雇用するのと同様、まずは各種法律の遵守を徹底する事を第一の目標としましょう。
それにプラスアルファ、外国人留学生が職場で円滑に働いてくれるようフォローしたり、留学生が入社してくれるよう、自社の職場環境を外国人でも働きやすいように整備したりというステップが非常に重要です。弊所でも外国人留学生の雇用に関する相談を受け付けておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。
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