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執筆者の写真田村陽太

【第23回】従業員を海外出張させる際の労務管理で重要な事(⑨出張からの報告、暗黙知等の洗い出し、情報共有)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日のテーマは、従業員に海外出張をさせようと考えている企業が労務管理を円滑に行う上で必要なプロセスの第九段階目である、「⑨出張からの報告、暗黙知等の洗い出し、情報共有」をする上で重要な事をお話したいと思います。



海外出張から帰ってきた後、社員に出張報告書を求める会社も多いかと思います。報告書自体が社内の出張旅費の稟議申請の為だけになっており、自身の出張での経験が部課の同僚や上司、経営層にうまく伝達できていない事例が多くあります。



それを防ぐために海外出張から帰ってきた後、必ず部署内で出張報告会を行いましょう。出張者に10分~20分程度のプレゼンテーションをしてもらい、何点かのポイントを絞って報告をしてもらいます。話すポイントとしては、



・出張目的の達成度

・本社での今後の業務の課題

・次期出張者での伝達事項(業務面、現地の状況、安全衛生等)


を中心に組み立て、会社で内容を別途カスタマイズして頂いても構いません。



プレゼン後の質問の時間は上司のみで構いません。ただ、必ず出張者に報告プレゼンテーション資料を作成するように指示することが重要です。これは、出張者の「出張目的の必達」等の気の引き締めと、出張に行かない(行けない)バックオフィス社員に「しっかりと出張中に業務を遂行している、出張の成果を出している」事を示す事で、社内の公平性を担保するためです。



また報告会を通じて、自身で出張中に得た経験や感想、感覚等の暗黙知をあぶり出すコンテンツ作りが重要です。



以前のブログの回「⑥海外営業部署内での出張知識に関する情報共有」でお話しましたが、

出張者が海外出張中に感じた違和感や業務における課題に関して、事細かく情報共有してもらうためにどうすれば良いでしょうか。


海外営業畑が長い社員の中には、出張報告会ではしっかり報告せず、通常の業務に戻って部下や同僚に対しては自身の海外出張の武勇伝を語る人もいます。出張知識が部課の情報ではなく、個々の情報になっていては、会社の研修体制、社内リスクマネジメントの体制として不十分です。


報告会において、出張者に出張中に得た経験や感想、感覚等の暗黙知を報告してもらうためのコツとして、出張中の「シーン」や「登場人物」に絞ってプレゼンテーションを作ってもらう事が重要です。



出張中に行った企業や工場、展示会のブース等、事前に出張に行く前に決めていた出張場所や、出張中に会った販売代理店や顧客の購買担当者、工場長等、「その場所、その人物」にポイント絞って報告してもらうと良いです。例えば、出張中にどう対応してもらったか、以前の出張時とどう対応が変化したか、今後自身はどう接したら良いか等報告してもらう事が重要です。



海外営業の担当は個人商店になりやすいというお話を以前のブログの回「⑥海外営業部署内での出張知識に関する情報共有」でもお話しましたが、担当の国の代理店の社員に関して、

他の地域の担当はあまり詳しく知らないという事があります。



担当社員が「あの国の代理店の社員は態度が悪い。」と社内で言っていたとしても、別の社員がたまたまその代理店社員からの電話対応を受けた時に「あれ、態度が良いな。」と別の感想を抱き、社内で営業戦略を立てるのが難しいという企業様の声をよく聞きます。



個人商店に業務的になりやすいからこそ、他の社員に自身の業務の大変さを、悪く言うと「盛って」報告する事が海外営業部署には良くある話です。なので、ポイントを絞ってかつ詳細に出張者に報告してもらい、全社員が出張者の業務が分からない事がないよう、次期その国の担当になった際に他の社員が対応出来るようにすることが重要です。


以上で、出張からの報告、暗黙知等の洗い出し、情報共有をする重要な事をお伝えしました。海外出張社員の労務管理は日頃の手続きや労務よりも、社内の風土を良くしたり、透明性を高めたりする等、現場改善が出来ているかで出来不出来が如実に分かる分野です。



労務管理や現場改善が上手くできていれば、海外出張社員のモチベーションが高まり、企業の海外マーケットでの売上も向上します。弊所でも精一杯サポートしておりますので、お気軽にお問い合わせください。




全12回海外出張社員の労務管理の記事を読んでいただきありがとうございました。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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