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執筆者の写真田村陽太

【第225回】『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~④』



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~④』についてお話していきたいと思います。



前回は【外国人社員が産休・育休を取得する際の会社が取り組むべき事項】として、



①    育児介護休業法や産休・育休取得制度の紹介を定期的に行う

②    産休・育休取得に関する意向や休業・復帰イメージを面談する

③    業務の引継ぎや休業中・復帰後の業務開始イメージを共有しておく

④    育児介護休業法上、就業規則上対応すべき人事労務管理手続きを行う



があるというお話をしました。今回も③の続きからお話していきたいと思います。



業務の引継ぎですが、出来れば産前休業に入る3か月前位から行うことが出来ればベストです。これは退職される社員の業務を引き継ぐ際にも、3か月程度あれば余裕をもって引継ぎを行うことが出来る事と同じことが言えます。



話は少し脱線しますが、よく会社の就業規則で、「退職は3か月前までに申し出る事が従業員的に厳しすぎるのでは?」というお話を会社の担当者から聞くことがありますが、私個人的には厳しいとは思いません。



対象社員が退職すると分かり、代替社員に完全に引き継ぐためには、代替社員が完全に引き継いだ業務を理解して対応できる事も必要ですし、代替社員の確保が難しければ、新しい社員の求人募集をし、面接を行う等採用活動を行わなければなりません。



いずれにしても、退職する3か月前に申し出る事を従業員に社内ルールとして要求する事は厳しく無いと個人的には思います。また、退職までの申出期限を先述のようにしている理由として一番重要な事は、先述しました通り、業務の引継ぎの際に、産休・育休を取得される社員の業務上のミスやエラー等を重要度大小関係なく発見し、会社運営上のリスク管理に対して早期に対処する事です。



従業員が退職する事は、法律上会社と従業員の間の雇用関係の終了のみしか意味をもたらさないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、退職というたった手続き一つでも、雇用していた会社と関係を持つ顧客やその他第三者との関係にも影響をもたらします。



出来れば求人募集や雇用契約の締結等、入社時にも書面での取り交わしだけでなく、就業規則の内容の確認依頼や口頭での説明等で、退職の申出期限等基本的な就労ルールについて各従業員とコンタクトはとっておくことが非常に重要です。



その際に、従業員から意見やクレーム等がある場合は、今後当該従業員の労務管理に関しても、特に注意深く重点的に対応していく事が非常に重要であると個人的には思います。



話を元に戻しますと、休業中・復帰後の業務開始イメージを面談等で事前に共有してもらうことも重要です。なぜなら、職場復帰後もフルタイム等で働きたいのか、短時間勤務で働きたいのか等、職場復帰のイメージは、出産・育児をされる社員によって千差万別だからです。



そして、出産前に考えている復帰イメージと、実際に出産された後の復帰イメージも人によって大きく変わる場合もあります。そのため、産休に入る前と実際に出産された後の、最低でも2回は職場復帰イメージを産休・育休を取得される外国人社員から面談し、ヒアリングしておく事が非常に重要です。



また面談の際には具体的に職場復帰のイメージを対象社員から語ってもらう事も重要です。その際に、職場復帰した後1~3年等短期的なイメージではなく、職場復帰して10年後、20年後とどのように働いていきたいかを語ってもらうことが重要です。



そのようにして面談を行う事は、現時点で対象社員の労務管理や人材育成において会社で出来ていない事や対応すべきことを洗い出す上でも非常に重要です。また、産休・育休を取得される従業員の自社に対する愛着度や勤務継続の意思を確認する指標としても非常に重要です。



参考までに、雇用保険法上の育児休業給付金は、本給付金を受給する際も職場に復帰する育児休業中の経済的支援を目的とした制度であり、労働者が休業後に雇用を継続することが前提となっています。



必ず勤務継続や職場復帰のイメージがしっかりしているかをヒアリングしていく事が、会社の育児休業給付金受給の幇助等の疑いを晴らし、不正受給のリスクを減らす上でも極めて重要かと個人的には思います。



本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~④』についてお話させて頂きました。次回も続きからお話していきたいと思います。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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