こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~⑦』についてお話していきたいと思います。
前回までで【外国人社員が産休・育休を取得する際の会社が取り組むべき事項】として、
① 育児介護休業法や産休・育休取得制度の紹介を定期的に行う
② 産休・育休取得に関する意向や休業・復帰イメージを面談する
③ 業務の引継ぎや休業中・復帰後の業務開始イメージを共有しておく
④ 育児介護休業法上、就業規則上対応すべき人事労務管理手続きを行う
があるというお話をしました。今回も④の【育児休業中の人事労務手続き】の続きからお話していきたいと思います。
【育児休業中の人事労務手続き】
②育児休業中の社会保険料の免除手続き
育児休業等を開始した日の属する月から育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの健康保険料(介護保険料も)と厚生年金保険料が、会社・従業員ともに免除となります。
育児休業を取得した日から速やかに、もしくは遅くとも育児休業終了日から1カ月以内に管轄の年金事務所へ「育児休業等取得者申出書」を提出する必要があります。
基本的には、産休・育休を取得した従業員の給与はノーワークノーペイの下無給となる会社が多いので、この育児休業中の社会保険料免除に関しては、従業員にとっては当然に進められているものと考えがちです。
そのため、会社の人事担当者は産休・育休を取得した従業員ごとのタイムスケジュールを作り、産前産後休業・育児休業それぞれの段階に入ったら速やかに年金事務所への手続きを行うよう、日程の計画を立てておくことが非常に重要です。
③育児休業中の育児休業給付金の手続き
育児休業中に関しては、ノーワークノーペイの原則の下、休業中は無給という扱いでも法律上特に問題はありません。育児休業中の生活保障の意味合いの下、管轄のハローワークに対して「育児休業給付金」の申請を行うことが出来ます。
育児休業給付金を申請できる対象者としては、育児休業開始前2年間に11日以上勤務した月が12か月以上入っている雇用保険加入者となります。この育児休業開始前2年間に自己都合の休職等があった場合、その期間は雇用保険加入期間に含まれないため、当該12か月の要件を満たさない可能性があるので、育児休業給付金の申請の際には注意が必要です。
例えば、外国人社員ですと、夏休みや冬休みに宗教上の理由で、長期的に母国へ帰国する可能性があったり、親族や家庭上の都合で帰国する等、長期的に休みを取得する可能性があります。
外国人社員本人が自身の有給を使い果たした後も長期的に休業して欠勤扱いとなった場合は、この「育児休業開始前2年間に11日以上勤務した月が12か月以上あるか」の条件に抵触する可能性がありますので注意が必要です。
また育児休業給付金の申請は原則2か月おきに1回まとめて休業分の給付金を申請する事となります。本給付金を申請するにあたっては従業員本人の署名・捺印等が必要になるので、都度捺印した申請書を郵送等で会社に送り返してもらうのかの事前確認も必要になるかと思います。
また、本育児休業給付金を申請するにあたって、確認書を事前に従業員に出してもらう事で育児休業給付金申請にあたる一切の署名・捺印を省略して申請できる事も可能です。こちらは従業員本人の意向を事前に確認して、確認書を本育児休業給付金の申請の際に受領するかどうかも確認しておくことが重要です。
本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~⑦』についてお話させて頂きました。次回も続きからお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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